五輪出場の可能性が報じられたラーム(左)とメルテザッカー(右)[写真]=Getty Images
ワールドカップ優勝のタイトルとともに、代表からの引退を発表した元主将のバイエルンに所属する所属DFフィリップ・ラームと、アーセナル所属のDFペア・メルテザッカーの2選手が、来夏のリオデジャネイロ・オリンピックでサプライズ代表復帰を画策していることが明らかになった。
20日付のドイツ紙『ビルト』が「オリンピックに向けたセンセーショナルプラン」として独占スクープしたもので、「オリンピックはメルテザッカーにとって、残された最後の大きな夢。ただ、若い選手の出番を奪うようなことはしたくないと考えている」、「同じことがラームにもあてはまる。バイエルンのキャプテンも、輝かしいキャリアに“オリンピアン”の肩書きを加えたいだろう」と両選手のオリンピックへの思いを代弁。
センセーションと煽るには、根拠として不十分ではあるが、話題性としては十分だ。また、メルテザッカーのウルリケ夫人は、かつてハンドボールの元ドイツ代表として活躍した選手。残念ながら、2008年の北京オリンピックでは予選で十字じん帯を断裂し、出場を断念せざるを得なかったが、夫人の夢を代わりに叶えるというのであれば、ありえるかもしれない。
出場権獲得には、チェコで開催中のU-21欧州選手権でベスト4に入ることが必要で、オリンピックでは1チーム3人までのオーバーエイジ枠が認められている。
ドイツ代表が最後にオリンピックに出場したのは1988年のソウル大会。メンバーには、2年後にワールドカップ優勝を果たすことになる、現アメリカ代表監督のユルゲン・クリンスマン、トーマス・へスラー、カールハインツ・リートレらが名を連ね、銅メダルを獲得した。
同紙は、クリンスマン氏らが「いまだにオリンピックの経験を熱く語る」ことに触れ、「選手村、世界中から集まるアスリートに多種多様な競技。全く新しい世界の経験は、フットボール億万長者にとっても魅力的だ」と断言。ラーム&メルテザッカー復帰説第2の根拠とした。
オリンピックはシーズン序盤戦や、開幕前の仕上げ時期に重なることから、選手を出したくないクラブ側と出場を求める各国サッカー協会がもめるというのが恒例行事。
それを見越してか、ドイツサッカー連盟のハンジ・フリックSD(スポーツディレクター)は、U-21欧州選手権の開催地プラハで「リーグからはサポートの約束を取り付けている。チャレンジになるとは思うが、解決策を見つけたい。なにしろ、最後のオリンピック出場からずっと遠ざかっているのだから」と発言。ブンデスリーガを管轄するDFL(ドイツ・フットボールリーグ社)からのバックアップを背景に、クラブ側の理解を求めていくことをドイツメディア『Sport1』が伝えている。
フリック氏は「予選とオリンピックで別のチームを作ることはしない」とも言っており、バルセロナ所属のGKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンやホッフェンハイムに所属するFWケヴィン・フォラントなど、A代表歴もある選手を抱える現U-21代表がリオに行くことになりそうだ。
同メディアによると、1988年のオリンピック期間中はブンデスリーガを中断させていたという。いつになくオリンピックへの気運が高まっているドイツ。来夏は一度限りのドリームチームが見られるかもしれない。