2014-15シーズンのブンデスリーガを制したバイエルン [写真]=Getty Images for FC Bayern
文=鈴木智貴
現地時間14日20時半、バイエルンが日本代表DF酒井高徳所属のハンブルガーSVをホームに迎え、いよいよブンデスリーガ2015-16シーズンが開幕する。
本来であれば最も盛り上がるはずの優勝予想だが、残念ながら現在の同リーグは“群雄割拠”とは言えず、やはり今年も本命はバイエルンと見てほぼ間違いない。昨シーズンの戴冠をもって、現在クラブ史上4度目のリーグ3連覇中であるバイエルンは、夏の準備期間中にブラジル代表MFダグラス・コスタ、チリ代表MFアルトゥーロ・ビダル、シュトゥットガルトの正GKスヴェン・ウルライヒを補強。上位を狙えるチームが2つできるほどの戦力を保持している。この圧倒的な選手層は、長いリーグを戦う上で彼らの最も強力な“保険”として機能していくだろう。ブンデスリーガはこれまで4連覇を成し遂げたクラブはなく、バイエルンがその壁を破れるか注目される。
唯一、バイエルンの対抗馬となる可能性を秘めているのは、昨シーズンのブンデスリーガで2位に入り、シーズンを締めくくるDFBポカールで優勝を飾ったヴォルフスブルク。ベルギー代表MFケヴィン・デ・ブライネには移籍の噂が付いて回るが、残留すれば主力選手の流出を防いだことにより戦力は維持され、ドイツ代表FWマックス・クルーゼやペルー代表DFカルロス・アスクエスらがここに加わることになる。チャンピオンズリーグ出場権を獲得できるリーグ4位までに入るのは確実で、残された同大会へのチケットは実質2枚ということになる。そして、その2枚はおそらく戦力的に考えても、今シーズンのCLに出場するボルシアMG、レヴァークーゼンの他、日本代表DF内田篤人所属のシャルケ、日本代表MF香川真司所属のドルトムントなど、ルール地域の実力派4クラブで争うことになる公算が高い。
さて、勝負の世界は必然的に勝者と敗者に分かれるのだが、先述の6クラブが勝者グループに入りそうな一方で、降格の危機に直面する敗者側のクラブも当然出てくる。
経営規模、資金力、戦力、経験などからすれば、昇格組のインゴルシュタットとダルムシュタットのうち、最低でもどちらか片方は再び2部へ戻ることになるだろう。これからシーズンを戦う両クラブには申し訳ないのだが、2部からの昇格クラブ全てが翌シーズンで1部残留を果たしたケースは、ここ10年でたったの1度しかないのだ(2009-10シーズンのフライブルク、マインツ、ニュルンベルク)。
また他にも気がかりなのはアウクスブルク、そして日本代表FW大迫勇也とMF長澤和輝の所属するケルンだ。前者は今シーズン初めて欧州カップ戦に出場するが、同クラブの選手層はお世辞にも厚いとは言えず、2013-14シーズンのフライブルクのようにブンデスリーガでも調子を落としてしまいかねない。
ケルンは前線から中盤にかけて補強を行い、純粋な攻撃力はアップした。しかしその新加入選手らがオフェンスに重きを置きすぎ、美しさを捨てた鉄壁の守備で見事残留を勝ち取った昨年の“リアリスティックさ”を放棄してしまえば、クラブは一気に悪循環へはまってしまうかもしれない。守備の要であったCBケヴィン・ヴィマーがイングランドへ渡り、同じく主力CBドミニク・マローが負傷で離脱中なのも気になる点だ。
昨シーズンはバイエルンの3連覇、ドルトムントの不調、史上例を見ない大混戦となった残留争いなど、多くの話題を提供してくれたブンデスリーガ。今年は果たしてどんなドラマが生まれるのだろうか。
By 鈴木智貴