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ワーゲン社に2兆円の制裁金…“子会社”ヴォルフスブルクへの影響は?

2015.09.28

バイエルンに敗れたヴォルフスブルク [写真]=Bongarts/Getty Images

 自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が排ガス規制を逃れるため、ディーゼル車に不正なソフトウェアを搭載し、アメリカ合衆国政府から2兆円とも言われる制裁金を科されるとされる事件は、同社をバックに持つブンデスリーガ1部所属のVfLヴォルフスブルクをも巻きこんでいる。

 2007年にVWの会長となり、23日に今回の件で辞任したマーティン・ヴィンターコーン前会長は、少年時代にTSVミュンヒンゲンでゴールキーパーとしてプレーするなど、サッカーへの愛着も人一倍強く、アウディでトップを務めていた際にも、同社がスポンサーとなっているバイエルンの取締役に就任していた。『Sportschau.de』によれば、バイエルンという超巨大クラブの内部を知ったヴィンターコーン氏は、VWに籍を移して以降、ヴォルフスブルクバイエルンと同じようなビッグクラブへ育てあげることを目標にしていたという。

 2008-09シーズンに悲願のブンデスリーガ制覇を成し遂げたものの、多くのシーズンで彼らの定位置は中位だったヴォルフスブルクの改革は、今年に入りようやく軌道に乗り始めた。デュッセルドルフで行われたスポーツビジネスの見本市『Spobis』で、ヴィンターコーン前会長の右腕であるシュテファン・グリューゼム氏は「我々が目指すところは世界のトップレベルに到達すること」と、今後の積極投資を約束。それは早くも結果に反映され、昨シーズンはリーグ2位、DFBポカール優勝という好成績で幕を下ろした。

 そんな矢先に起きた騒動だけに、多くの人は「果たしてこれがヴォルフスブルクにどのような影響を与えるのか?」に注目している。

 しかし、同クラブの強化部長を務めるクラウス・アロフス氏は、「VWは我々に多くの投資を行ってくれているが、それは決してヴィンターコーン前会長“だけ”の意向ではなかった。このクラブは、彼の趣味で成り立っているわけではないんだ。それに我々の経営に参加することは、VWという企業全体から見れば、かなり小規模になる」と話し、経営規模の縮小や、選手の売却などには直結しないと考えている様子。そして「確かに私は(ヴィンターコーン前会長の右腕である)取締役のガルシア・ザンツ氏と会談した。しかし、この件がどのような影響をチームに与えるかということについては全く話さなかった。なぜなら、それは必要な話ではないからだ」と、あくまで“問題なし”を強調している。

 昨季のような強さを維持し、これから強豪としての地位を築いていくのか、それとも親会社の危機が飛び火し、凋落の日を迎えてしまうのか――クラブ史上2度目の欧州チャンピオンズリーグに出場中のヴォルフスブルクは今、正念場を迎えている。

文=鈴木智貴

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By 鈴木智貴

ドイツ在住。ライター兼サッカー指導者

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