1月からシュトゥットガルトでプレーするグロスクロイツ [写真]=Bongarts/Getty Images
昨夏に日本代表MF香川真司が所属するドルトムントを去り、ガラタサライでトレーニングを積んでいた元ドイツ代表MFケヴィン・グロスクロイツ。しかし既報のように、同選手はホームシックが原因で昨年内にドイツへ戻り、年明け後の1月6日、シュトゥットガルトと新たな契約を結んだ。
するとグロスクロイツは23日に開催されたブンデスリーガ第18節、そして30日の第19節で、シュトゥットガルトの右SBとして90分間躍動。降格危機にあえぐクラブを連勝に導き、重要な戦力として早くもチームに定着している。
しかし、半年後にユーロ2016への出場が決まっているドイツ代表のヨアヒム・レーヴ監督の目には、トルコから逃げ帰ってきた同選手のことが、どうも心許ないように映っているらしい。1月中旬、ブンデスリーガを運営するドイツ・フットボールリーグ社(DFL)の新年祝賀会に出席した同監督は、グロスクロイツをドイツ代表に招集する意思がないことをほのめかした。
「イスタンブールでガラタサライの監督と話したんだ。すると彼は私に『ケヴィンはほぼ毎週末、金曜から日曜まで実家に帰っていた』と言うではないか。チームの一員であることを認識している人間は、そんなことはしない」
ちなみにドイツ紙『ビルト』によると、実際には “木曜”から日曜までの週4日間を、両親と弟が住むドルトムントで過ごしていたようである。これまでにもグロスクロイツは、ケルンのファンにドネルケバブを投げつける、ホテルのロビーで立ちションをするなどの問題行動がたびたび報じられ、そして今回の契約解除騒動。さすがのレーヴ監督も「彼がどのように自分のキャリアを扱ってきたか、それについて理解できない部分もある」と、上述のDFL新年祝賀会で苦言を重ねている。
しかしこの反響は大きかった。それから数日後、ドイツ第1国営放送での番組に出演したレーヴ監督は「あれは良くなかった。もっと別のやり方があったはずだ」と、自らの発言を謝罪した。続けて「ケヴィンは(ドルトムント時代も含めて)約1年も試合に出ていなかった。しかしそれでも、彼がシュトゥットガルトで成功を収めてくれることを願っている」とコメントし、火消しに走っている。
当の本人、グロスクロイツはCS放送『Sky』に対し、「レーヴ監督にもレーヴ監督なりの意見があるからOKだよ。僕の視線は未来に向いている。今はシュトゥットガルトというクラブのために全力を尽くすだけだ。その他のことは、正直どうでもいいんだよ」と、オトナの対応を見せた。
ただし、このまま高いパフォーマンスを継続すれば世論は盛り上がり、レーヴ監督もグロスクロイツ招集について考えざるをえない。果たしてシュトゥットガルトの背番号15がドイツ代表にカムバックする日は来るのだろうか。
文=鈴木智貴
By 鈴木智貴