昇格を喜ぶRBライプツィヒの選手たち [写真]=Bongarts/Getty Images
2009年のクラブ発足以来、たった7年でブンデスリーガ1部昇格を成し遂げたRBライプツィヒ。大手飲料メーカー『レッドブル』をメインスポンサーに持ち、豊富な資金力でドイツトップリーグ参戦を決めた同クラブには、各方面から称賛の声が上がっている。
バイエルンのカール・ハインツ・ルンメニゲ社長はこの快挙について、「旧東ドイツ圏のクラブが再びブンデスリーガに上がってきたことは、このリーグにとって素晴らしいことだ。しかし、おそらく旧東ドイツのサッカーファンは、(多くの熱狂的ファンを抱える)ディナモ・ドレスデンの昇格が一番嬉しかったかもしれないがね」とコメント。またドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケ社長も「(旧東ドイツの)ザクセン州に1部所属クラブができたのは非常に嬉しく思っている。同州でのサッカー熱が高まるからね」と話し、「彼らは早速来シーズンにもヨーロッパリーグ出場権を得るかもしれない。彼らの中期目標はチャンピオンズリーグ出場だからね」と、昇格1年目から中位に食い込んでくることを予想している。
さらにブレーメンのクラウス・ディーター・フィッシャー名誉会長は、ライプツィヒが王者バイエルンの地位を脅かす存在だと見ているようで、「もし(『レッドブル』創業者のディートリッヒ)マテシッツが本気を出せば、彼らはリーグで最も上位に来るだろう」と語っている。
しかし、他クラブ首脳陣は、ライプツィヒに脅威を感じつつも、リーグタイトル獲得の可能性は少ないと感じている。
アウグスブルク、クラウス・ホフマン会長
「ライプツィヒはブンデスリーガ1部所属クラブを持つのに値する素晴らしい町だ。ブンデスリーガに大きな利益をもたらすだろう。しかし優勝の可能性はないね」
フランクフルト、ヘリバート・ブルッフハーゲン元社長
「再び旧東ドイツ地域のクラブがブンデスリーガ1部に参戦することになったことは素晴らしいことだね。彼らが展開するサッカーは美しいし、多くのファンを抱えている。しかし、バイエルンがいなくならない限り、ライプツィヒがマイスターシャーレ(優勝皿)を獲得することはないだろう」
ハンブルガーSV、ディートマー・バイアースドルファー会長
「きっとライプツィヒはブンデスリーガ昇格で満足するようなクラブではない。もっと高い目標を持っているはずだ。しかし他の17クラブが今すぐ恐れを抱くような存在にはまだなっていない」
ホッフェンハイムのメインスポンサー、『SAP』の創始者ディートマー・ホップ氏
「ブンデスリーガにとって大きな利益だ。彼らは育成部にも大金を投じ、その活動は地域の活性化につながっている。しかしバイエルンを追走する1番手の存在にはならないだろう」
ちなみに、潤沢な資金をバックに昇格を積み重ねてきたライプツィヒを、快く思っていない人物もいる。ダルムシュタットのリューディガー・フリッチュ会長は「個人的には、サッカークラブは企業の広告塔のような存在でないほうが望ましい」と、その存在に苦言を呈している。
ただし、ライプツィヒが有望株を獲得し、数年後を見据えたチーム作りを地道に行っているのも確かである。5年後、そして10年後、ライプツィヒがブンデスリーガ上位常連となっている可能性は、決して低くない。
文=鈴木智貴
By 鈴木智貴