フランスに敗れたドイツ代表 [写真]=Anadolu Agency/Getty Images
7日に開催されたユーロ2016準決勝で開催国フランス代表相手に0-2で敗れ去ったドイツ代表。その試合では、負傷によりFWマリオ・ゴメス(ベジクタシュ)が欠場し、代役としてFWトーマス・ミュラー(バイエルン)が1トップに入ったものの決定的な働きはできず、途中で投入されたMFマリオ・ゲッツェ(バイエルン)も指揮官の期待には応えられなかった。ポゼッション率65パーセント、パス成功率もフランスを6パーセント上回る90パーセントで、終始ボールをコントロールしていたのはドイツ代表だったが、試合をコントロールしていたのはフランス代表だった。
ZDF(ドイツ第2国営放送局)で解説者を務める元ドイツ代表GKオリバー・カーン氏は、問題をこう指摘する。
「ゴールを決める人間がいなかった。ドイツには、アントワーヌ・グリエスマン(アトレティコ・マドリード)のような、1~2回のチャンスをモノにできる選手が欠けていたんだ。ポストプレーをこなし、ヘディングで競ることができるだけでなく、ゴメスが大会中に見せてきたような高いクオリティを持つセンターフォワードが必要だ」
2014年のブラジル・ワールドカップを最後にFWミロスラフ・クローゼ(ラツィオ)はドイツ代表引退を表明し、その後ヨアヒム・レーヴ監督は攻撃のオプションを模索し続けた。しかし後継者は見つからず、今大会ドイツ代表で最多得点を記録したのは、ベシクタシュでトップフォームを取り戻したゴメス。すでに31歳の同選手を再び招集し、ベテランに頼らざるをえなかったことは、ドイツ代表における点取り屋不在の状況を如実に物語っている。
カーン氏は言う。
「スローガンは『貫通力』だ。ミロ(クローゼ)がいなくなってからのここ数年間、我々はゼロトップについて議論してきた。しかし問題の核心は、『なぜ我々は、(クラシカルな)センターフォワードを軽視するようになってしまったのか』ということだ。もちろん全体的に見れば、ドイツ代表はこの大会で良い試合をしていた。したがって、すべてをぶち壊す必要はない。しかし我々は今、再びストライカーを育成していかなければならない」
またドイツ誌『スポーツビルト』も得点力不足を同代表の課題とし、「レーヴ監督は今後どのFWを召集すべきか」というタイトルでオンライン調査を実施。ドイツ時間11日13時現在で約1万5900票が集まり、最多得票は30パーセントのFWダヴィー・ゼルケ(ライプツィヒ)だったが、次点は「それ以外のFW」という結果になった。目下、ドイツのサッカーファンが最も期待しているFWは、ブンデスリーガ1部初昇格を成し遂げたライプツィヒでエースとして活躍する同選手を置いて他にはいないようだ。
文=鈴木智貴
※『スポーツビルト』のオンライン投票結果は下記の通り。
マックス・クルーゼ(ヴォルフスブルク)…5パーセント
ダヴィー・ゼルケ(ライプツィヒ)…30パーセント
ダニエル・ギンチェク(シュトゥットガルト)…17パーセント
ユリアン・シーバー(ヘルタ・ベルリン)…1パーセント
サンドロ・ヴァーグナー(ホッフェンハイム)…6パーセント
ピエール・ミシェル・ラソッガ(ハンブルガーSV)…4パーセント
ニルス・ペーターゼン(フライブルク)…5パーセント
マルク・ウート(ホッフェンハイム)…2パーセント
それ以外のFW…21パーセント
マリオ・ゴメス(ベジクタシュ)…9パーセント
By 鈴木智貴