近年のドルトムントは国内のみならず、欧州の舞台でも確固たる地位を築いている。ドイツの絶対的王者バイエルンとの直接対決は、ドイツ版クラシコを意味する『デア・クラシカー』と呼ばれ、世界中から注目を浴びるほどになった。
しかし、そんな頂上決戦とは別に、ドルトムントにとっては文字通り、クラブの威信をかけた戦いがある。それは、「全ダービーマッチの母」とさえ形容される、シャルケとのルール・ダービーだ。
ブンデスリーガ公式サイトによると、両者にライバル感情が芽生えたきっかけは、1947年5月18日、当時まだ格下だったドルトムントが、地域リーグで圧倒的な強さを誇っていたシャルケを下し、リーグ優勝を決めたからだという。ドイツで最もサッカーが盛んなルール地域に、2人の王者はいらない――彼らの敵対心は、直接対決を繰り返すごとに、増加していった。
By 鈴木智貴
ドイツ在住。ライター兼サッカー指導者