今シーズン開幕前、ジョゼップ・グアルディオラ氏(現マンチェスター・C)に代わってカルロ・アンチェロッティ氏が指揮官に就任したバイエルン。ブンデスリーガ5連覇を目指す王者の戦術はどのように変化したのだろうか。ドイツ紙『ビルト』が分析している。
最大の変化は、システムの固定化だ。前任者のグアルディオラ氏は状況に応じて先発メンバーやシステムを頻繁に変えていたが、今シーズンから指揮を執るアンチェロッティ監督はシステムを[4-3-3]に固定しており、先発メンバーの入れ替えもそれほど多くない。
グアルディオラ前監督も[4-3-3]システムを使うことが多かった。3トップの後方にいる2人のオフェンシブハーフには、ドイツ代表FWトーマス・ミュラーや同MFマリオ・ゲッツェ(現ドルトムント)といった攻撃的な選手を起用する傾向にあった。
一方のアンチェロッティ監督は、ボランチが本職の選手をオフェンシブハーフで起用し、中盤の守備の安定化を図っている。そして昨シーズンまでオフェンシブハーフとしてプレーしていた選手を3トップの両翼に配置。彼らが中に入り込んでくることで生まれるスペースを、サイドバックがオーバーラップしてきて活用するのが今シーズンのバイエルンの攻撃の特徴と言える。
また、攻撃の組み立て方にも変化が見られる。昨シーズンまではドイツ代表DFジェローム・ボアテングや元スペイン代表MFシャビ・アロンソといった後方の選手たちのボールタッチ数が多く、特に最終ラインからロングボールを両サイドに散らす攻撃が主体だった。一方で今シーズンは、スペイン代表MFチアゴ・アルカンタラのボールタッチ数(1試合あたり)がチーム最多となっている。同選手を起点にピッチの中央で攻撃を組み立てようとしているのである。
さらに守備に注目すると、昨シーズンまでのバイエルンはボールを失った後に素早く奪い返しに行っていたが、今シーズンは一旦自陣に引いて守備のブロックを作り直し、相手の攻撃に対応する場面が多い。それによって、ボールを奪い返した後のカウンター攻撃の回数が増していると『ビルト』は分析している。
(記事/Footmedia)