欧州選手権ではともに戦った盟友。しかし“デア・クラシカー”では互いが敵となり熱い火花を散らすことになる
11月19日のブンデスリーガ第11節2日目、香川真司が所属するドルトムントは、宿敵バイエルン・ミュンヘンを本拠地に迎える。“デア・クラシカー”と呼ばれる、このドイツサッカー頂上決戦には、全世界から注目が集まっており、どちらにとっても負けが許されない一戦となる。
本稿では、ワールドカップ優勝経験者(該当記事はこちら)に続いて、今夏開催された欧州選手権(EURO)2016でチャンピオンとなったポルトガル代表のメンバーであり、同時にブンデスリーガへ戦いの場を移した2選手にスポットライトを当てる。
【ドルトムント:ラファエル・ゲレーロ】
22歳のゲレーロは、フランス生まれのポルトガル人。昨季まで所属していたFCロリアン(フランス)、そしてポルトガル代表では左SBを務め、EUROではベストイレブンにも選ばれるなど、その評価はうなぎ登りだった。したがって、同大会前にゲレーロの獲得が決まったのは、ドルトムントにとって幸いだった。
当初はあくまで新主将マーセル・シュメルツァーのバックアッパーと予想されていたが、トーマス・トゥヘル監督はゲレーロの攻撃センスに着眼。切れ味鋭いドリブルと正確なパスを持つ同選手は、即座に主力としての地位を築き、攻撃的MFとして新たな一面を我々に見せている。今季途中、負傷により離脱した期間はあったものの、ここまで公式戦12試合に出場し、3ゴール5アシストを記録するなど、結果も十分。臨戦態勢は完璧に整っている。
【バイエルン:レナト・サンチェス】
ゲレーロより3歳若いサンチェスだが、これまで獲得したタイトルの数では、ややリードしている。2015/16シーズン、ベンフィカ(ポルトガル)でリーグとカップ戦優勝の2冠を達成すると、2016年のゴールデン・ボーイ・アワード、そしてEUROでもベスト・ヤング・プレーヤーを受賞。間違いなく、将来のサッカー界を背負うことになる逸材なのだ。
今夏プレシーズン中に太ももを負傷したため開幕には間に合わず、ここまでフル出場も0回など、やや出遅れてしまった感はある。だが、ブンデスリーガ6試合、ドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)1試合、欧州チャンピオンズリーグ(CL)3試合でピッチに立ち、王者バイエルンで着実に経験を積んでいる。白熱必至の“デア・クラシカー”でカルロ・アンチェロッティ監督がサンチェスを起用すれば、同選手にとって素晴らしい成長の場となるはずだ。