リーグ最年少監督のナゲルスマンがホッフェンハイムを率いてリーグに旋風を巻き起こしている
今季のブンデスリーガは上位を珍しいクラブが占めている。11月18日にレーバークーゼンを破ったライプツィヒがついに首位へ浮上。バイエルン・ミュンヘンはいつも通りの強さを見せ、ドルトムントもそう勝ち点は離れていない。さらにはケルンやヘルタ・ベルリン、アイントラハト・フランクフルトといったクラブがチャンピオンズリーグ出場圏内を虎視眈々と狙っている。この状況を誰が予想しただろうか?
ホッフェンハイムも予想外の好調を見せるチームの一つだ。2016年を最下位で迎え、昨季は降格の危機に陥っていたが、2月にユリアン・ナゲルスマンが指揮官に就任したことで劇的な変化を遂げた。ナゲルスマンは今夏に就任予定だったものの、昨季途中に前倒しでU-19チームから昇格。体調不良で辞任したベテラン指揮官のフーブ・ステフェンス氏に代わり、正反対の若手指揮官が誕生した。当時28歳での就任はもちろんブンデスリーガ史上最年少。大きな注目を浴びたこの監督交代は劇的な効果をもたらした。ナゲルスマンの大胆な攻撃スタイルによってチームは降格圏を脱出、1部残留を果たしたのだ。
若手指揮官の成功の秘訣は戦術に限らない。「ユリアンは真っ正直な人間だ。彼はいつでも、誰に対してでも率直に話をするんだ」と守備の要であるニクラス・ズューレは明かす。「就任初日から、彼は僕らの自信を奮い立たせてくれた。彼はただ『もうこれ以上悪くなることはない。私は君たちの素晴らしいフットボールが見たいんだ』と話しただけだった。追い詰められた状況で、あれほどの信頼を示してくれたのは素晴らしいことだった。そこから巻き返しが始まったんだ」
クラブはナゲルスマンが適任だと確信していたが、懐疑的な声も多かった。「ユリアンは若いが、未熟ではない」というスポーツディレクターのアレクサンダー・ローゼン氏は「彼の経歴をチェックしてみるといい。彼はすでに10年間も学んでいる。知識は一つの指針に過ぎない。キャラクターやカリスマ性も必要な要素だ」と断言した。その言葉を証明するように、現在29歳となった指揮官は今のところ、どんな疑いをも消し去っている。
「どんな状況でも僕らにはプランがある。驚くほど柔軟なシステムなんだ」とドイツ代表の招集も勝ち取ったズューレが戦術について説明する。「試合中に3、4、5バックへと簡単にスイッチできる。対戦相手は予測が難しいだろうね。それが僕らの大きな強みだ」
第10節のバイエルン戦でも、ホッフェンハイムはその強みを効果的に発揮して勝ち点1の獲得に成功。試合後、今季最後まで上位をキープする可能性を問われたナゲルスマンは、「まだライバルたちが恐れて固まってしまうほどではないだろうね」と彼らしい言葉で返答した。確かにまだ恐れはないだろう。だが、確実に新たな尊敬の念は生まれているはずだ。