現在11位につけるシャルケの周囲が騒がしくなってきている。今シーズンはクラブ史上初の7000万ユーロ(約85億円)という大型投資を敢行したものの、成果は思いのほか上がらず、2009年以来となる欧州の舞台に上がれない事態が近づいている。これにより、来シーズンは本格的に予算の縮小も頭に入れなければならなくなってきたようだ。
26日付けのドイツ誌『シュポルト・ビルト』では、すでに「大失敗」のウクライナ代表MFイェウヘン・コノプリャンカが今夏で売却されることが決定的だと伝えられている。期待が大きかったスイス代表FWブリール・エンボロやスペイン人DFコケが大ケガをしてしまった不運もあったが、アルジェリア代表MFナビル・ベンタレブやフランス人MFベンジャミン・スタンブリの波のあるパフォーマンスも槍玉に挙げられている。
これらの今ひとつ成果の上がらない選手たちが批判される一方で、ヨーロッパのビッククラブたちは虎視眈々とシャルケの主力選手たちの獲得に目を光らせているようだ。同誌によれば、契約が今シーズンで切れ、これまでも噂が上がっているボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表DFセアド・コラシナツにはミランから5年で総額40億円のオファーがもたらされているという。本人はイングランド行きを希望しているようで、マンチェスター・Cやアーセナルなども候補に挙がっている。シャルケもミランと同額以上の年俸を提示しているというが、残留は絶望的な状況だ。
センターバックのセルビア代表DFマティヤ・ナスタシッチも1500万ユーロ(約18億円)の移籍金が提示されれば、放出を免れないという。27日付けのドイツ紙『ビルト』によれば、マンチェスター・Cが獲得を計画しており、マネージャーのクリスチャン・ハイデル氏はすでにバイエルンからレンタル中のドイツ代表DFホルガー・バトシュトゥバーの獲得を検討しているという。
また、26日付の『ビルト』紙では、来シーズンの放出リストを予想している。スタンブリとドイツ人MFヨハネス・ガイスのいずれか1人、さらにアルゼンチン代表FWフランコ・ディ・サントとDF内田篤人にもオファーがあればクラブは止める理由が無いという。同時に、今シーズンで契約が切れるオランダ代表FWクラース・ヤン・フンテラールや元ドイツ代表DFデニス・アオゴたちも次の仕事先を探さなければならない。
それに加えて、主力選手たちの流出も避けられないようだ。コラシナツやナスタシッチらの他にも、ドイツ代表MFマックス・マイヤーにはトッテナムがオファーを出し、カメルーン代表FWエリック・マキシム・チュポ・モティングもイングランド行きに心がなびいている模様。エースのドイツ代表MFレオン・ゴレツカにもヨーロッパの各クラブから好条件のオファーが届いており、本人が提示しているシャルケ残留の条件は欧州の舞台で渡り合えるだけの戦力を揃えることだという。
予算を削減する一方で、戦力アップを期待されているハイデル氏には厳しい夏が待ち受けている。ファンたちはラウール・ゴンサレスやフンテラールのようなトップスターの獲得を喜んだ時代を懐かしみ、中堅クラブに沈もうとしている現状にやきもきしていることだろう。