今シーズン、リーグ優勝を果たしたバイエルンは史上初となるブンデスリーガ6連覇を達成 [写真]=Getty Images
ブンデスリーガ第29節、バイエルンが敵地でアウクスブルクを4-1で下し、2017-18シーズンのリーグ優勝を決めた。今回の優勝によりバイエルンは史上初となるブンデスリーガ6連覇を達成。1999-00シーズン以来18年ぶりとなる本拠地での優勝決定とはならなかったが、アウクスブルクはミュンヘンから地理的に近いこともあり、多数のファンが詰めかけた。試合後に選手たちは「6」の数字が大きくあしらわれた優勝記念Tシャツを身にまとい、前人未到の快挙達成の喜びをファンと分かち合った。そこで今回、6連覇に至ったバイエルンの過去6シーズンを振り返ってみたい。
■12-13シーズン

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■リーグ戦成績:29勝4分1敗 98得点・18失点
バイエルンが復活の狼煙を上げたのは、ブンデスリーガ50周年という記念すべきシーズンだった。バイエルンはユルゲン・クロップ監督率いるドルトムントに2連覇を許しており、特に11-12シーズンは主要3大会を準優勝で終えるなど、タイトルに飢えていた。11-12シーズンに1991年以来となる監督復帰を果たしたユップ・ハインケスは、チーム全員に守備の意識を浸透させた。攻撃面では2013年のバロンドールの最終候補になったフランク・リベリーを筆頭に、トーマス・ミュラーやマリオ・マンジュキッチが勝負所でゴールを量産。シーズンを通してわずか1敗の強さで、当時の史上最速となる第28節でのリーグ優勝を達成した。さらにはチャンピオンズリーグ、国内カップ戦を含めて主要タイトル3冠に輝いたことで、未だこのチームを史上最高と推す声も多い。
■主要メンバー(★=新加入)
GK:マヌエル・ノイアー
DF:フィリップ・ラーム、ジェローム・ボアテング、ダンテ★、ダヴィド・アラバ
MF:ハビ・マルティネス★、バスティアン・シュヴァインシュタイガー、トーマス・ミュラー、トニ・クロース、フランク・リベリー
FW:マリオ・マンジュキッチ★
監督:ユップ・ハインケス
■13-14シーズン

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■リーグ戦成績:29勝3分2敗 94得点・23失点
3冠を達成したバイエルンだが、より攻撃的で魅力あるサッカーの実現に向け、ジョゼップ・グアルディオラ監督を招聘。指揮官は、戦術理解度の高いフィリップ・ラームを中盤の底にコンバートし、自らの代名詞であるポゼッションサッカーを浸透させながらも、劣勢時には躊躇なくカウンターやパワープレーを繰り出すなど、結果にこだわった采配により多くの勝ち星をもたらした。第9節から27節までリーグ戦19連勝を記録し、史上最速となる第27節終了時点でのリーグ制覇を達成。チャンピオンズリーグ連覇こそ逃したが、カップ戦のタイトルを防衛して国内2冠に輝いたことで、今後に期待を抱かせるシーズンとなった。
■主要メンバー(★=新加入)
GK:マヌエル・ノイアー
DF:ラフィーニャ、ジェローム・ボアテング、ダンテ、ダヴィド・アラバ
MF:フィリップ・ラーム、アリエン・ロッベン、バスティアン・シュヴァインシュタイガー、トーマス・ミュラー、トニ・クロース、マリオ・ゲッツェ★
FW:マリオ・マンジュキッチ
監督:ジョゼップ・グアルディオラ★
■14-15シーズン

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■リーグ戦成績:25勝4分5敗 80得点・18失点
2000-01シーズン以来、クラブ史上4度目となるリーグ3連覇を達成。2シーズン目を迎えたグアルディオラ監督は、司令塔のシャビ・アロンソを中盤の核に据え、従来の4-2-3-1を基軸としながらも、3バックや3トップの布陣を試すなど、自らのカラーをさらにチームに反映させていた。革新的で魅力あるサッカーを展開しながらも、前半戦を無敗で終えるなど結果を残したことが賞賛を集めた一方、第18節ヴォルフスブルク戦で大敗するなど、カウンターサッカーに対する脆弱さを露呈することもあり、目標だったチャンピオンズリーグはベスト4で阻まれるなど、ペップ政権への風当たりは強くなっていった。
■主要メンバー(★=新加入)
GK:マヌエル・ノイアー
DF:ラフィーニャ、メディ・ベナティア★、ジェローム・ボアテング、フアン・ベルナト★
MF:フィリップ・ラーム、シャビ・アロンソ★、アリエン・ロッベン、トーマス・ミュラー、フランク・リベリー
FW:ロベルト・レヴァンドフスキ★
監督:ジョゼップ・グアルディオラ
■15-16シーズン

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■リーグ戦成績:28勝4分2敗 80得点・17失点
グアルディオラ監督の契約の最終シーズンも、安定した強さを発揮し、国内リーグでは史上初となる4連覇を達成した。負傷続きだったアリエン・ロッベンとリベリーに代わって新加入のドウグラス・コスタとキングスレイ・コマンがインパクトを残し、また、最前線のロベルト・レヴァンドフスキがリーグ史上6人目となる30ゴール超えの快挙を達成。ミュラーも自己最多の20ゴールをたたき出すなど、爆発的な攻撃力を見せつけた。一方、守備面においても20試合の完封というリーグ記録に到達。指揮官は前シーズンの反省を踏まえてか、攻守に幅広く貢献できる新加入のアルトゥーロ・ビダルを中心に据えた、従来より堅実なサッカーを実践したものの、チャンピオンズリーグ制覇の夢を叶えることはできなかった。このシーズンを含め、グアルディオラ政権の成否は専門家の間でも意見が分かれるところではある。
■主要メンバー(★=新加入)
GK:マヌエル・ノイアー
DF:フィリップ・ラーム、ハビ・マルティネス、ジェローム・ボアテング、ダヴィド・アラバ
MF:アルトゥーロ・ビダル★、キングスレイ・コマン★、トーマス・ミュラー、チアゴ・アルカンタラ、ドウグラス・コスタ★
FW:ロベルト・レヴァンドフスキ
監督:ジョゼップ・グアルディオラ
■16-17シーズン

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■リーグ戦成績:25勝7分2敗 89得点・22失点
名将カルロ・アンチェロッティを招聘したバイエルンは、前政権下から引き続き4-3-3の布陣でスタートしたものの、第11節でドルトムントに敗れ首位から陥落するなど序盤は安定感を欠いた。そこで指揮官は不調のミュラーに見切りをつけ、チアゴ・アルカンタラをトップ下に据える4-2-3-1へと布陣を変更。前政権下のしがらみから解放されたように選手たちは自由を謳歌し、第12節から15試合にわたり無敗を記録した。2シーズン連続で30ゴール超えを記録したレヴァンドフスキを筆頭に、ロッベンとリベリーも健在をアピール。守備面では新加入のマッツ・フンメルスが負傷したボアテングの穴を見事に埋め、ラストシーズンとなったラームとX・アロンソのパフォーマンスも出色であった。ただし、最大の目標であったチャンピオンズリーグはベスト4の壁に阻まれ、カップ戦も準決勝止まりに終わったことで、手放しで喜べないシーズンとなってしまった。
■主要メンバー(★=新加入)
GK:マヌエル・ノイアー
DF:フィリップ・ラーム、ハビ・マルティネス、マッツ・フンメルス★、ダヴィド・アラバ
MF:シャビ・アロンソ、アルトゥーロ・ビダル、アリエン・ロッベン、チアゴ・アルカンタラ、ドウグラス・コスタ
FW:ロベルト・レヴァンドフスキ
監督:カルロ・アンチェロッティ★
■17-18シーズン

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■リーグ戦成績:23勝3分3敗 76得点・21失点 ※第29節終了時
迎えた今シーズンは第3節ホッフェンハイム戦で黒星を喫するなど、滑り出しはやや不安定であった。一部の主力選手と監督の不和が囁かれ、チャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマン戦に敗れたことをきっかけに、危機感を強めたクラブは昨年9月にアンチェロッティを更迭し、通算3度目となるハインケスの電撃復帰を発表。政権交代によりミュラーやリベリーら、燻っていた選手たちが再び輝きを見せ始め、第14節からは10連勝を記録。負傷離脱中のマヌエル・ノイアーの穴を埋めたスヴェン・ウルライヒや、ラームの後継者として台頭したジョシュア・キミッヒらの奮闘も追い風となった。最終的には2位シャルケに勝ち点20差をつけ、5試合を残してリーグ優勝を決めた。ただし本当の意味で成功のシーズンとなるかどうかは、5シーズンぶり2度目の3冠を成し遂げられるかどうかにかかっている。
■主要メンバー(★=新加入)
GK:スヴェン・ウルライヒ
DF:ジョシュア・キミッヒ、ニクラス・ズーレ★、マッツ・フンメルス、ダヴィド・アラバ
MF:トーマス・ミュラー、ハビ・マルティネス、ハメス・ロドリゲス★
FW:アリエン・ロッベン、ロベルト・レヴァンドフスキ、フランク・リベリー
監督:カルロ・アンチェロッティ→ユップ・ハインケス★
By サッカーキング編集部
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