高校生に直接指導を行ったヴァイデンフェラー
ドルトムントで長らく活躍し、ドイツ代表としても2014年のブラジル・ワールドカップ優勝メンバーの1人であるロマン・ヴァイデンフェラー氏が来日し、15日には東京都の大森学園高等学校のサッカー部で特別練習を実施した。
昨シーズン限りで現役を退いたヴァイデンフェラー氏。今回の来日はドルトムント、そしてプーマの広報活動の一環として実現し、メディア出演などを行った。その中で、高校でのクリニックを実施。現役高校生を約1時間にわたり直接指導した。
練習ではGKを中心に指導。部員に自らキックするなどして、セービングや難しい体制からのボール処理、クロスボール処理など、いくつものメニューを実践し、気になる点があれば都度止めてアドバイス。好プレーは大きな声で褒め、球出しをミスした時は「It’s my fault」と謝罪するなど、誠実な人柄も随所にうかがわせた。
GK練習を終えるとミニゲームに参加。GKではなく、フィールドプレーヤーとして参加したが、左足から繰り出される正確なロングフィードに部員たちも沸いた。
練習後には生徒たちの質問に答える時間も用意され、「大舞台で緊張しないのか?」の問いに対しては「ない」と回答。「例えば眠れないとか腹痛があっても、集中できれば払しょくできる。サッカーをする場所に来たら、サッカーをやるという考えに勝手に切り替わるので、緊張はないですね」とのこと。「仮にした場合」と前置きした上でも「試合に向けて、変わらないルーティンに基づいて行動をしていた。いつも友達に連絡をしたり、家族の様子を電話で聞いたりして、試合に対しての心の持っていき方を作っている。『相手にクリスティアーノ・ロナウドがいる』と考えてしまうと緊張してしまうが、家族や友人のことを考えると、サッカーを一瞬忘れられる。それで自分を取り戻して、サッカーをやろうという気持ちに持っていくんだ」と、メンタリティーの作り方をアドバイスした。
練習後、ヴァイデンフェラーに感想を聞くと、「いいチームだし、成長を望むたくさんの若者がいて、たくさんのエネルギーを感じたよ。前を向いて攻撃的な姿勢を示していたね。後ろを向かず、前を向いてプレーしようとすることは大切なことだし、ポジティブな印象を受けたよ」と評価。特に力を入れたGKへの指導では「利き手、利き足ではない手足をもっと伸ばした方がいいね」と実戦的な話もしてくれた。
大森学園は今冬の高校選手権予選で東京都Bブロック・ベスト16で敗退。前年もベスト8で敗退と、上位進出はできているものの、まだ道のりは遠い。チームは新体制へと移っているが、今回直接指導を受けた2年生GK和島淳介は、「プロのオーラがありました」と目を丸くする一方で、「練習中、ミスをした時に『そういう時もある』と思うのではなく、試合の最初のプレーで『そういう時』が出てしまったら終わってしまうから、練習のための練習をするなという言葉は印象的でした」と金言を得たようで、「そういった意識で今後やっていきたい」と、気持ちを新たにしたようだ。
ヴァイデンフェラーは最後、生徒たちに向け、「プロになるためには気持ちが大切。うまくいった時でも、いかない時でも、もっとうまくなりたいと思うことが大切です。ミスをした時にも次うまくいくと思うことが大事」と、改めて気持ちの大切さを説き、「パスを出す、顔を上げている、周りを見渡す能力があります。そのままもっとうまくなれるよう、サッカーを突き詰めていってください」という言葉を残し、部員全員とハイタッチをして、学校を後にしている。
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト