バイエルンの下部組織で育った選手たち [写真]=Getty Images
欧州トップクラブの下部組織で育ち、“期待のホープ”と称された選手たちの現況を紹介するシリーズ。第10回目は、トーマス・ミュラーやバスティアン・シュヴァインシュタイガー、さらにフィリップ・ラーム氏など、ドイツ代表に数多くの生え抜き選手を送り込んだバイエルン編をお届けする。
*2013年以降にクラブの下部組織に在籍した選手を対象とした
*カッコ内は(生年月日/国籍/所属クラブ/ポジション)
写真=Getty Images
■ミッチェル・ヴァイザー
(1994年4月21日/ドイツ/レヴァークーゼン/DF)
経歴:バイエルン→カイザースラウテルン(レンタル)→ヘルタ・ベルリン→レヴァークーゼン
無尽蔵のスタミナを生かし、タッチライン際で躍動する右サイドのスペシャリスト。2012年にケルンからバイエルンに加入し、トップチームでは約20試合に出場した。残念ながらポジションを奪うことはできず、3年後に退団することとなったが、ヘルタ・ベルリンで評価を高め、今季レヴァークーゼンへと移籍した。
■ベンノ・シュミッツ
(1994年11月17日/ドイツ/ケルン/DF)
経歴:バイエルン→リーフェリング→ザルツブルク→ライプツィヒ→ケルン
最終ラインならどこでもこなすポリバレントな選手として、バイエルンに13年間在籍。トップチームでは出番がなく2013年に退団を余儀なくされたが、ザルツブルクを経由して入団したライプツィヒでブンデスリーガデビューを飾った。今季から2部のケルンに在籍しており、1部昇格を目指して日々奮闘している。
■フェリックス・ゲッツェ
(1998年2月11日/ドイツ/アウクスブルク/DF)
経歴:バイエルン→アウクスブルク
ドイツ代表MFマリオ・ゲッツェの弟で、兄の後を追うようにして2014年の夏にドルトムントからバイエルンの下部組織に加入した。足下のテクニックに優れているのは同じだが、小柄でファンタジスタタイプの兄とは異なり、フェリックスは大型DFの有望株として期待されている。今夏、出場機会を求めてアウクスブルクへ完全移籍すると、ブンデスリーガ第7節で“兄弟対決”が実現した。
■マルコ・フリードル
(1998年3月16日/オーストリア/ブレーメン/DF)
経歴:バイエルン→ブレーメン(レンタル)
10歳の若さでバイエルンに加入し、各カテゴリーで主力選手として活躍してきた左サイドバック。直接FKでゴールを奪うこともでき、同じオーストリア出身のDFダヴィド・アラバの後継者として注目を集めている。今年1月には、1年半のレンタルでブレーメンへ移籍。新天地ではセンターバックもこなすなどプレーの幅を広げており、さらに“アラバっぽい”選手に近づいている。
■エムレ・ジャン
(1994年1月12日/ドイツ/ユヴェントス/MF)
経歴:バイエルン→レヴァークーゼン→リヴァプール→ユヴェントス
バイエルンには、2009年から2013年まで在籍。各年代別のドイツ代表でも中心選手として活躍するなど、10代の頃から将来を嘱望されていた。しかし、中盤の層の厚いトップチームでは出番が少なく、レヴァークーゼンへ移籍。1年で実力を証明すると、リヴァプールへのステップアップを果たした。今春には古巣復帰が取り沙汰されたが、ユヴェントスに加入。初のセリエA挑戦を選んだ。
■アレッサンドロ・シェプフ
(1994年2月7日/オーストリア/シャルケ/MF)
経歴:バイエルン→ニュルンベルク→シャルケ
2009年にバイエルンの下部組織に入団すると、スペイン代表MFチアゴ・アルカンタラと比較される技巧派MFとして地元ファンの注目を集めた。しかし、トップチームへの昇格は叶わず、2014年に退団。ニュルンベルクを経て移籍したシャルケでは、チームトップクラスのスタミナを誇るタフガイとして活躍する。
■ジュリアン・グリーン
(1995年6月6日/アメリカ/グロイター・フュルト/MF)
経歴:バイエルン→ハンブルガーSV(レンタル)→シュトゥットガルト→グロイター・フュルト(レンタル→完全)
アメリカ人の父とドイツ人の母のもとアメリカで生まれ、幼少期にドイツへ移住。2010年にバイエルンに入団すると、19歳でトップチーム昇格を果たした。同時期に開催されたブラジルW杯では、アメリカ代表の一員として出場。ベルギーとの決勝トーナメント1回戦で得点をあげて、歴史にその名を残した。しかし、“ロッベリー”が全盛期のバイエルンに居場所はなく、2016年冬に退団。現在は、MF井手口陽介が所属する2部グロイター・フュルトでプレーする。
■ピエール・エミール・ホイビュルク
(1995年8月5日/デンマーク/サウサンプトン/MF)
経歴:バイエルン→アウクスブルク(レンタル)→シャルケ(レンタル)→サウサンプトン
2009年に母国デンマークのブレンビーからバイエルンの下部組織に入団。2013年には、クラブ史上最年少記録となる17歳251日でブンデスリーガデビューを飾った。しかし1年半のレンタル移籍を終えたあと、コンスタントな出場機会を求めて退団を志願。“身の丈に合ったクラブ”として、サウサンプトンへ移籍し、今季で3年目となるシーズンを迎えた。
■ルーカス・ショル
(1996年7月5日/ドイツ/ノルトハウゼン/MF)
経歴:バイエルン→ノルトハウゼン
父メーメット・ショルは、バイエルンに15年間在籍し、公式戦469試合出場117得点を記録。勝ち取ったタイトルも「21」を数える。さらに、ドイツ代表でもユーロ1996優勝を経験。類まれなセンスとテクニックで“天才”と称された選手だった。そんな偉大な父を追いかけるように、バイエルンの下部組織に入ったルーカスだが、プロの世界は厳しく、昨年1月に退団。現在は4部相当のノルトハウゼンに在籍している。
■シナン・クルト
(1996年7月23日/ドイツ/ヘルタ・ベルリン/MF)
経歴:バイエルン→ヘルタ・ベルリン
U-15から年代別のドイツ代表に選ばれてきた有望株で、2014年にボルシアMGからバイエルンの下部組織に加入。翌年4月にはトップチームデビューを飾った。しかしその試合を最後にトップチームでの公式戦出場はなく、2016年にヘルタ・ベルリンに完全移籍。その際に買い戻しオプションがつけられていたが、目立った活躍はなく今夏に“有効期限切れ”となってしまった。
■ジャンルカ・ガウディーノ
(1996年11月11日/ドイツ/無所属/MF)
経歴:バイエルン→ザンクト・ガレン(レンタル)→キエーヴォ→無所属
ショルと同じように、元ドイツ代表MFのマウリツィオを父に持つ二世選手。2004年からバイエルンに在籍し、2014-15シーズンの開幕戦でブンデスリーガデビューを果たしたときには、現地メディアで大きく取り上げられた。しかし、その後は思うような活躍を見せられず、昨年夏にキエーヴォへ完全移籍。ここでも1年で契約解除となり、現在はフリーとなっている。
■ファビアン・ベンコ
(1998年6月5日/ドイツ/LASKリンツ/MF)
経歴:バイエルン→LASKリンツ
優秀な選手を輩出するバイエルンの下部組織のなかでも、飛び抜けた才能の持ち主と評価されていたレフティー。ジョゼップ・グアルディオラ監督のラストシーズンとなった2015-16シーズンにはトップチームの冬合宿に帯同し、近い将来のレギュラー奪取が期待された。しかし、トップチームではカップ戦1試合の出場にとどまり、今夏にオーストリア1部リーグのLASKリンツへの完全移籍が発表された。
■ニクラス・ドルシュ
(1998年1月15日/ドイツ/ハイデンハイム/MF)
経歴:バイエルン→ハイデンハイム
クラブOBのドイツ代表MFトニ・クロース(現レアル・マドリード)がアイドルだと言うように、中盤で配給役となって試合にリズムとデンポを生み出すMF。セカンドチームではキャプテンを務めていたが、トップチームデビュー戦でゴールを決めた直後に移籍を明言し、今夏バイエルンを離れた。新天地は2部のハイデンハイム。加入1年目からレギュラーとして活躍しており、今後の飛躍が期待される。
■ティモシー・ティルマン
(1999年1月4日/ドイツ/ニュルンベルク/MF)
経歴:バイエルン→ニュルンベルク(レンタル)
スピードに乗ったドリブルが魅力で、U-18ドイツ代表では10番を背負ったウインガー。過去にはバルセロナが引き抜きを狙ったが、バイエルンが頑なに放出を拒否したと報じられた。今季はトップレベルでの経験を積むために、昇格組のニュルンベルクへレンタル移籍。生まれ故郷のクラブでブレイクスルーを狙う。
■パトリック・ ヴァイラウフ
(1994年3月3日/ドイツ/アルミニア・ビーレフェルト/FW)
経歴:バイエルン→ヴュルツブルガー・キッカーズ→アルミニア・ビーレフェルト
U-15から各年代別のドイツ代表に名を連ね、バイエルンのセカンドチームでは「第二のトーマス・ミュラー」と称された。しかし、公式戦でミュラー本人と共演する機会は訪れず、2年前に退団。2部からプロキャリアをスタートし、少しずつ実績を積み重ねている。
(記事/Footmedia)
By Footmedia