ドルトムントの下部組織で育った選手たち [写真]=Getty Images
欧州トップクラブの下部組織で育ち、“期待のホープ”と称された選手たちの現況を紹介するシリーズ。第11回目は、2005年の破産危機をきっかけに育成重視の路線に方針を変更、その後マリオ・ゲッツェやクリスティアン・プリシッチら若い才能を次々と輩出するドルトムント編をお届けする。
*2013年以降にクラブの下部組織に在籍した選手を対象とした
*カッコ内は(生年月日/国籍/所属クラブ/ポジション)
写真=Getty Images
■ヘンドリック・ボンマン
(1994年1月22日/ドイツ/1860ミュンヘン/GK)
経歴:ドルトムント→1860ミュンヘン
2013年に4部ロートヴァイス・エッセンからドルトムントのセカンドチームに加入。将来性を高く評価されての引き抜きだったが、トップチームにはロマン・ヴァイデンフェラーとトマン・ビュルキの両代表GKが立ちはだかっており、在籍4年間で“第3GK”以上の役割を務めることはできなかった。昨季から1860ミュンヘンに所属する。
■ドミニク・ライマン
(1997年6月18日/ドイツ/ホルシュタイン・キール/GK)
経歴:ドルトムント→ホルシュタイン・キール
U-18、U-19、U-20のドイツ代表歴を持ち、昨年夏に行われたU-20W杯にも出場。ドルトムントの未来の正守護神として大きな期待を集めたが、出場機会の確保を優先して今夏に2部ホルシュタイン・キールへの完全移籍を果たした。2017年夏には日本遠征メンバーの一員として、来日している。
■ヤンニク・バンドウスキ
(1994年3月30日/ドイツ/ボーフム/DF)
経歴:ドルトムント→1860ミュンヘン(レンタル)→ボーフム
190センチ近い長身が特徴の左サイドバックとして、2011年にドルトムントに加入。2015年1月には1860ミュンヘンへレンタル移籍し、2部リーグで15試合に出場した。ドルトムントではトップチーム昇格とはならず、2016年から2部ボーフムに在籍。ただ大ケガに見舞われたこともあって、新天地ではリーグ戦6試合の出場にとどまっている。
■コライ・ギュンター
(1994年8月16日/ドイツ/ジェノア/DF)
経歴:ドルトムント→ガラタサライ→ジェノア
ドルトムントに加入した当初はFWだったが、チームにDFが足りなかったという理由で最終ラインにコンバートされるとこれが大当たり。足元の技術に長けたセンターバックとして、マッツ・フンメルス(現バイエルン)と比較されるほどの選手になった。しかし、当時のトップチームはCLの上位を争うほどのレベルを誇ったため、ギュンターに与えられた出番は片手で数えるばかり。20歳を迎える前にガラタサライへの完全移籍を決断し、今季からジェノアでプレーする。
■ジェレミー・ドゥツィアク
(1995年8月28日/ドイツ/ザンクトパウリ/DF)
経歴:ドルトムント→ザンクトパウリ
2009年にシャルケからドルトムントの下部組織に“禁断の移籍”を果たした左サイドバック。その後、着実に成長を遂げて、2015年3月のハノーファー戦でトップチームデビューを果たした。ドイツ代表でもU-16から各年代のメンバーに名を連ね、2014年にはU-19欧州選手権優勝を経験。将来を嘱望されたが、その後伸び悩み、2015年からザンクトパウリでプレーしている。
■ヨン・ゴレンツ・スタンコヴィッチ
(1996年1月14日/スロヴェニア/ハダースフィールド/DF)
経歴:ドムジャレ→ドルトムント(レンタル)→ハダースフィールド
ドルトムントには、2014年から2016年の約2年間在籍。母国スロヴェニアのドムジャレからのレンタル移籍だった。トップチームでは出番がなかったが、セカンドチームで不動のセンターバックとして活躍。その経験を携えてイギリスに渡り、ハダースフィールドで念願のプレミアリーグデビューを飾った。
■パスカル・シュテンツェル
(1996年3月20日/ドイツ/フライブルク/DF)
経歴:ドルトムント→フライブルク(レンタル→完全)
複数のポジションをこなすユーティリティープレーヤーであり、トーマス・トゥヘル元監督からは「運動量、パス能力、そしてインテイジェンスを兼備した選手」との評価与えられていた。しかし、2015年12月のCLでトップチームデビューを果たした直後に、フライブルクへレンタル移籍。その後Uターンすることはなく、昨年夏に完全移籍が決まった。
■ケレム・デミルバイ
(1993年7月3日/ドイツ/ホッフェンハイム/MF)
経歴:ドルトムント→ハンブルガーSV→カイザースラウテルン(レンタル)→フォルトゥナ・デュッセルドルフ(レンタル)→ホッフェンハイム
ユース年代はシャルケとドルトムントの両下部組織に在籍したが、プロデビューを飾ったのはハンブルガーSV時代のこと。その後、2部のクラブへ貸し出される時期もあったが、2016年に加入したホッフェンハイムで才能を開花させた。今ではリーグ屈指の司令塔として、リヴァプールが獲得に乗り出すほどの選手へと成長を果たした。
■丸岡満
(1996年1月6日/日本/レノファ山口FC/MF)
経歴:セレッソ大阪→ドルトムント(レンタル)→セレッソ大阪→V・ファーレン長崎(レンタル)→レノファ山口FC(レンタル)
セレッソ大阪U-18在籍中に行われた欧州遠征でのプレーが評価され、プロデビュー前に渡独。セカンドチームを主戦場としながらも、2014年9月にはブンデスリーガ初出場を果たした。約2年間の海外挑戦を経て、2015年12月にセレッソ大阪に復帰。満を持してJリーグデビューを飾ったが、ここまでは持ち味を十分に発揮しているとは言い難く、昨季はV・ファーレン長崎、今季はレノファ山口へ期限付きで移籍した。
■ゼニス・ブルニッチ
(1998年5月22日/ドイツ/ドルトムント/MF)
経歴:ドルトムント→シュトゥットガルト(レンタル)→ドルトムント
7歳の頃にドルトムントの下部組織に入団。すると、ユースチームで数々のタイトルを獲得し、クラブ期待の若手ボランチとして着実な成長を遂げていった。ユルゲン・クロップ元監督からトップチームへの帯同を認められ、トゥヘル元監督のもとでプロデビュー。昨季はシュトゥットガルトへのレンタル移籍を経験したが、近い将来のレギュラー候補としてファンの期待は大きい。
■フェリックス・パスラック
(1998年5月29日/ドイツ/ノリッチ/MF)
経歴:ドルトムント→ホッフェンハイム(レンタル)→ノリッチ(レンタル)
2015年のU-17W杯でドイツ代表の主将を務めるなど、世代屈指のタレントとして10代から将来を嘱望されてきた。その風貌から、ついた呼び名は「マリオ・ゲッツェ二世」。しかしトップチームでレギュラーを奪うまでには至らず、昨季はホッフェンハイム、そして今季はドルトムントのセカンドチームで指導を受けていたダニエル・ファルケ監督が率いるノリッチへ武者修行に出向くこととなった。
■クリスティアン・プリシッチ
(1998年9月18日/アメリカ/ドルトムント/MF)
経歴:ドルトムント
アメリカのペンシルベニア州に生まれ、2015年にドルトムントと契約を交わした。飛び級でU-19チームに入ると、2016年1月に17歳133日でブンデスリーガデビュー。近年最高のタレントとして、クラブのみならず、アメリカ代表でも「最年少記録」を次々に塗り替えてきた。今年9月に20歳の誕生日を迎えたばかりだが、すでに公式戦100試合以上の出場歴を誇る。
■ヤコブ・ブルーン・ラーセン
(1998年9月19日/デンマーク/ドルトムント/FW)
経歴:ドルトムント→シュトゥットガルト(レンタル)→ドルトムント
今季ここまで好調のドルトムントをけん引する選手の一人だ。快足を生かした縦への突破で相手を翻弄。U-17時代からのチームメイトであるプリシッチはもちろんのこと、主将マルコ・ロイスとも息のあったプレーを披露し、一躍ブレイクを果たした。母国デンマークでも、次世代のエースとして大きな期待を集める。
■マーヴィン・ドゥクシュ
(1994年3月7日/ドイツ/フォルトゥナ・デュッセルドルフ/FW)
経歴:ドルトムント→パーダーボルン(レンタル)→ザンクトパウリ→ホルシュタイン・キール(レンタル)→フォルトゥナ・デュッセルドルフ
大型ストライカーとしてトップチームに昇格したものの定着ならず、2016年に退団。しかし、昨季はレンタル先のホルシュタイン・キールで18得点12アシストを記録して、2部得点王に輝くなど大ブレイクを果たした。この活躍を受けて、今夏にフォルトゥナ・デュッセルドルフへ完全移籍。3年ぶりにブンデスリーガの舞台に立った。
■ヤンニ・セッラ
(1998年3月13日/ドイツ/ホルシュタイン・キール/FW)
経歴:ドルトムント→ボーフム(レンタル)→ホルシュタイン・キール
2014年のドルトムント加入後に、センターバックからストライカーへコンバート。これが功を奏し、190センチ以上の高さを生かしたダイナミックなFWとして、ドイツの年代別代表にも選ばれた。しかし、足元のテクニックが凡庸であることがアキレス腱となり、トップチームでは出番を与えられず。今夏に2部ホルシュタイン・キールへの完全移籍が発表された。
(記事/Footmedia)
By Footmedia