ドルトムントのレジェンドとして初来日を果たした元チェコ代表FWヤン・コレル [写真]=須田康暉
2001年から2006年までボルシア・ドルトムントに在籍し、2002年のブンデスリーガ制覇に貢献したヤン・コレル氏が11月に初来日を果たした。BVBのアンバサダーとして日本で様々なイベントに参加したレジェンドが、インタビューに応じてくれた。
――クラブでどんな仕事をしているのですか? 今回の訪日の目的は何でしょう?
コレル クラブのアンバサダーとして各国を訪れ、マーケットの深耕と拡大に務めている。レジェンドチームでもプレーしていて、今年で3年目になるよ。最近ではロマン・バイデンフェラー、カールハインツ・リードレ、パトリック・オボモイエラが来日したし、2017年にはファーストチームも来た。そうやって日本のクラブやサッカースクールとの間で築いてきた友好的な関係を保つことも、今回の目的の一つだ。
――来日は何回目ですか?
コレル 今回が初めてなんだ。チェコ代表として日本と対戦したことはあるけど、場所はプラハだったからね。今でもよく覚えているけど、2004年の欧州選手権前のテストマッチで、僕らは0ー1で敗れた。いい準備になったよ(笑)。
――日本の印象はどうでしょうか?
コレル 食べ物がおいしいね。寿司や焼き肉は最高だ。まだあまり見て回っていないけど、明日はファンとの観光ツアーがあって名所を案内してもらう。日本の人たちはとても親切だしフレンドリーだね。歓迎されていると感じるよ。
――ドルトムントでのデビュー戦を覚えていますか?
コレル もちろん。ニュルンベルクに2ー0で勝った。当時はまだジグナル・イドゥナ・パルクという名前ではなく、ベストファーレンシュタディオンだったけど、8万人の大観衆に興奮したよ。
――それ以外で印象的な試合はありますか?
コレル ドルトムントに来て1年目にブンデスリーガ優勝を経験できた。2002年のことだ。その優勝を決めたブレーメンとの試合で、75分にエベルトンが決勝点を決めた。我を忘れるほど喜んだよ。ドルトムント時代で一番印象に残っている試合だし、僕のキャリアのハイライトの一つだ。
――代役ゴールキーパーを務めた試合もありましたね。
コレル それも特別な試合だ(笑)。ミュンヘンでのバイエルン戦でイェンス・レーマンがレッドカードをもらってしまい、僕がゴールを守ることになった。でも失点しなかったよ。名キーパーだからね(笑)。キッカー誌にも、その週のベストキーパーに選ばれた。二度とゴメンだと思ったけどね(笑)。
――BVBで特に仲が良かった選手は誰ですか?
コレル 代表でも一緒だったトマーシュ・ロシツキー。それからエベルトン、マルシオ・アモローゾ、デーデーの“ブラジリアン・マフィア”とも仲良くなった(笑)。面白い奴らだったよ。チームバスではいつもイェンスが隣だった。
――チェコ代表では歴代最多の55ゴールを決めています。代表の当時のチームメートとは今も連絡を取り合っていますか?
コレル ウラジミール・スミチェル、カレル・ポボルスキー、ロシツキー、パベル・ネドベド、ペトル・チェフ……今も皆とつながっているよ。たまにプライベートで一緒にサッカーをしているんだ。チェフとはロンドンでアイスホッケーをしたりもする。
――2006年にモナコへ移籍しました。クラブの経営危機の影響もあったのでしょうか?
コレル そういうわけではなかったと思う。5年間プレーして、環境を変えてみたいと思ったんだ。今もプラハのほかに、モナコにも家がある。
――当時の経営危機の後、クラブは見事に復活して毎試合大勢の観客を集めるに至っています。復活の要因は何でしょうか?
コレル (ハンスヨアヒム)バツケCEOが精力的に働いた成果だよ。彼とは長い付き合いになる。それから、ユルゲン・クロップという情熱的な監督。この2人の存在が大きかったと思う。そして、もちろんサポーターだ。彼らはクラブを信じ続けてくれたし、あの応援でチームを救ってくれた。2万5000人で作る南スタンドの“黄色い壁”。あの壁が危機をはね返したんだ。
――現チームでの注目の選手を教えてください。
コレル ユースならユスファ・ムココだね。Uー19チームでプレーしていて、すでに並外れた実力を持っている。正しい方向へといい形で成長していると思うよ。ファーストチームならジェイドン・サンチョ。あの若さでキープレーヤーとして活躍している。僕みたいな選手? いないなあ(笑)。今のサッカーは当時とは違うからね。
――日本人選手で印象に残っている選手はいますか?
コレル 中田(英寿)や本田(圭佑)はいい選手だったね。でも、何と言ってもシンジ(香川真司)だよ。国籍は関係ない。あんな選手ならまたBVBに来てほしいね。
――日本のBVBファンにメッセージをお願いします。
コレル いつもBVBを応援してくれてありがとう!
インタビュー:村瀬隆宗
写真:須田康暉