現時点でランキングをリードしているのは…? [写真]=Getty Images
FIFAワールドカップカタール2022とウィンターブレイクの中断期間を経て、ブンデスリーガがようやく再開を迎える。というわけで、今週末のリーグ再開を前に注目のデータをおさらいしておこう。今回は「デュエル勝利数」をピックアップする。
ブンデスリーガの“デュエル王”といえば、日本代表MF遠藤航だ。ワールドカップでもボールの奪い合いを制して日本代表のベスト16進出に貢献した遠藤は、2年連続でブンデスリーガの最多デュエル勝利数を誇っている。2020-21シーズンに「476回」で1位に輝くと、昨シーズンも「448回」で2年連続のデュエル王に輝き、昨年11月には自身の「サッカー観」を綴った著書『DUEL(デュエル)』(日本ビジネスプレス社)をリリースした。
そんな遠藤航だが、今シーズンは3連覇に黄色信号がともっている。まだシーズンは折り返し地点にも到達しておらず、後半戦で巻き返すことは十分に可能だが、15節を終えた時点では1位に60本以上も差をつけられて5位に留まっているのだ。それでは、熾烈を極める今季ブンデスリーガの「デュエル王争い」を見てみよう。
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■5位 遠藤航(シュトゥットガルト/日本代表) 181回
絶対的王者は、今季ここまでリーグ戦14試合に出場して「181回」の5位。1試合平均「12.9回」は、自己ベストを記録した2020-21シーズン(平均14.4回)に比べると平均で1.5回ほど少ない計算になる。それでも残留争いを演じるチームにあって、キャプテンとして中盤に君臨。データサイト『Whoscored』の選手個々の採点では、ギリシャ代表DFコンスタンティノス・マヴロパノス(7.22)に次ぐチーム2位の「6.99」を記録している。
デュエル王3連覇のためには残り19試合で60本以上の差を埋めないといけないが、日本が誇る中盤の支配者ならばそれも可能だと信じたい。
■4位 ミッチェル・ヴァイザー(ブレーメン/元U-21ドイツ代表) 186回
遠藤航を抑えて4位につけるのはブレーメンのドイツ人DFミッチェル・ヴァイザーだ。バイエルンに所属したこともある献身的な右サイドバックは、昨季レヴァークーゼンからブレーメンにローン移籍。2部に降格したチームを1年でブンデスリーガに返り咲かせて夏に完全移籍を果たした。
今シーズンは右ウイングバックとして献身的に上下運動を繰り返し、球際の強さも発揮して堂々の4位にランクイン。馬力あるドリブル突破が魅力だが、決してサイドに張り続けるだけの選手ではない。中央に切れ込むなどプレー範囲も広く、今季ここまで「159.3km」の運動量で走行距離でもリーグ9位にランクインしている。
さらに、今季は15節を終えた時点で既にシーズン自己最多となる6アシストを記録。アシストランキングでも4位タイにつけているのだ。11月のシャルケ戦では1試合で2アシストをマークして2-1の勝利に貢献。前半は縦突破からエースのドイツFWニクラス・フュルクルクのゴールをアシスト。後半には、右サイドで味方からのロングボールを胸トラップでチームメイトにつなぐと、そのリターンボールを左足でDFラインの背後にラストパス。日本代表DF吉田麻也の頭上を越えたボールはチームメイトの足元にピタリと収まり、それが決勝点となった。
■3位 フィリップ・ホフマン(ボーフム/元U-21ドイツ代表) 192回
3位にはボーフムのエースであるドイツ人FWフィリップ・ホフマンがランクイン。日本代表FW浅野拓磨のチームメイトは195㎝の恵まれた体躯を活かしたパワフルなプレーが魅力のアタッカー。昨シーズンはドイツ2部のカールスルーエでリーグ戦19ゴールの活躍を見せ、今季からボーフムでプレーしている。自慢のフィジカルでボールを保持してデュエルを制しているが、彼の最大の見せ場はやはり空中戦にある。
今シーズン、ブンデスリーガの並み居る巨漢プレーヤーを抑えて「空中戦の勝利数」で堂々の1位。2位以下に15本以上の差をつける「93回」で独走態勢に入っている。ここまでリーグ戦で4ゴールを決めているが、そのうち2本はコーナーキックからのヘディングシュート。チームは現在17位で降格圏に低迷しているが、エースが空中戦で勝ち続ければ後半戦の巻き返しにも期待できる。
■2位 クアディオ・コネ(ボルシアMG/U-21フランス代表) 201回
2位に入ったのはボルシアMGの若き才能、21歳のU-21フランス代表MFクアディオ・コネだ。昨シーズンからレギュラーに定着したコネは、今季も中盤の屋台骨として活躍しており“デュエル王の候補生”と呼ぶべき存在だ。走行距離やタックル数で上位にランクインしているわけではないが、常にボールに絡んでいる印象があり、デュエル数は堂々のリーグ2位。
球際にめっぽう強く、1対1の対人プレーで高い勝率を誇る。昨シーズンも27試合(34試合中)の出場数ながらデュエル勝利数で9位にランクイン。1試合平均「13.4回」は王者・遠藤航(13.6回)に迫る勢いだった。今シーズンは開幕時からスタメンを張っており、ドイツ代表MFユリアン・ヴァイグルとのダブルボランチで確実にデュエル勝利数を積み重ねている。
U-21フランス代表でも中核を任されているコネは、強靭な足腰でボールを奪うと一気に加速してボールを運ぶことができるオールラウンダータイプ。チェルシーやリヴァプールといった世界的なクラブも彼の動向に目を光らせている。
■1位 ジュード・ベリンガム(ドルトムント/イングランド代表) 245回
遠藤航が3連覇を達成するためには、この怪物を倒さないといけないのだ。19歳ながら世界最高のセントラルミッドフィルダーの1人に挙げられるイングランド代表MFジュード・ベリンガムは、まさに完成された選手である。今季ブンデスリーガで異次元のプレーを見せており、リーグ6位の走行距離でピッチ上を走り回ると、デュエル勝利数では2位以下に44本の差をつけて1位を独走している。
今季は若きリーダーとしてチームを牽引。昨年10月には腕章を巻いてピッチに立つと、チャンピオンズリーグでゴールを記録。「19歳98日」は同大会でゴールを決めた最年少のキャプテンとなった。そしてイングランド代表でも主軸に定着すると、ワールドカップでは全5試合にスタメン出場して1ゴール1アシスト。チームのベスト8入りに大きく貢献した。
シーズン前半戦の活躍を見ると、よっぽどのことがない限り今季の「デェエル王」はジュード・ベリンガムで決まりだろう。しかし、欧州の名だたるクラブが争奪戦を繰り広げているベリンガムには移籍の可能性があり、もし彼が冬の移籍市場でブンデスリーガを去ることになれば、遠藤航の“デュエル王3連覇”も見えてくる!?
(記事/Footmedia)
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