ウニオン・ベルリンの躍進を支えたフィッシャー監督 [写真]=Getty Images
ウニオン・ベルリンは15日、ウルス・フィッシャー監督と双方合意の上で契約を解除することを発表した。アシスタントコーチのマルクス・ホフマン氏がクラブを離れることも同時に伝えられている。
現在57歳のフィッシャー監督は現役時代に母国スイスの複数クラブでプレーし、現役引退後に指導者へ転身。古巣のチューリッヒでトップチームの監督キャリアをスタートさせると、トゥーンとバーゼルを経て、2018年夏に初の海外挑戦を決断。ウニオン・ベルリンの監督に就任していた。当時のウニオン・ベルリンは2部に身を置いていたものの、就任初年度となった2018-19シーズンのブンデスリーガ2部を3位で終えると、昇降格プレーオフで勝利し、クラブ史上初となる1部昇格を実現。1部初挑戦となった2019-20シーズンは、ブンデスリーガを11位で終えて残留へ導いていた。
翌2020-21シーズンは7位でフィニッシュし、ヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)出場権を獲得。クラブを初の欧州コンペティション出場へと導いた。フィッシャー監督に率いられたクラブはここから階段を駆け上り、2021-22シーズンは5位で終えてヨーロッパリーグ(EL)、2022-23シーズンは4位で終えてチャンピオンズリーグ(CL)出場を決めていた。
今季は公式戦の初陣となったDFBポカール1回戦のアストリア・ヴァルドルフ戦を4-0で制すと、ブンデスリーガでも開幕戦でマインツ、第2節でダルムシュタットをともに4-1で下し、連勝スタートを達成。しかし、その後は大不振に陥り、ブンデスリーガ、CL、DFBポカールを含めた公式戦で12連敗を喫した。CL・グループステージ第4節ナポリ戦を1-1で終えたことで連敗は止まったものの、続くブンデスリーガ第12節レヴァークーゼン戦では0-4と大敗。現在ブンデスリーガでは最下位に沈んでいる。
このような状況を受けて、13日の午後にはディルク・ツィングラー会長とフィッシャー監督の会談が設けられ、双方が納得した上で正式に退任が決まったという。ウニオン・ベルリンでは公式戦通算224試合を指揮した。
ツィングラー会長はクラブ公式HPを通して、退任が決まった経緯を説明。これまでの功績に感謝を伝え、別れを惜しんだ。
「先日、私はウルス・フィッシャーが優れた監督であると宣言したばかりだ。彼の人柄、そしてここで収めた成功は、この数年のクラブを象徴するものであり、数多くの新しいチャンスの扉を開いてくれた。この5年半の間、我々は互いに尊敬し合い、信頼を深め、率直かつ誠実に意見を交わすことができる関係になった。そして今、我々は共に意見を伝え合い、別々の道を歩む時が来たという結論に達した」
「私個人にとっても、ウニオン・ファミリー全体にとっても、非常に悲しい瞬間だ。直近数週間のネガティブな流れを断ち切ることができなかったのは痛いが、彼と共に過ごした時間や祝福してきた成功を振り返れば、私には感謝と誇りの気持ちしか存在していない。この別れは辛いものだが、ウルス・フィッシャーはいつでも両手を広げて迎えてくれる友人として去っていく」
また、フィッシャー監督自身もコメントを発表。現時点での成績を踏まえてチームに変化が必要だったと主張し、ウニオン・ベルリンで共に戦った人々への感謝を明かした。
「直近の数週間は非常に厳しいもので、多くの力を必要とした。我々は様々なことに挑戦し、チームも多くの努力をしてきたが、結果としては報われなかった。ここで常に感じてきた信頼にはとても感謝しているし、満足もしていた。だが、私自身は今現在のチームに変化を起こすのは正しいことだと感じている。時には違う顔、違う伝え方でチームに接することが、成長のきっかけになるものだろう」
「ウニオンという特別なクラブを知れたことに感謝の気持ちを表明する。このクラブで一緒に仕事ができた選手たち、マルクス・ホフマン、コーチングスタッフ、クラブの経営陣、スタッフ、そしてファンに感謝している。このような非常にポジティブなサポートを経験できたことは、私にとって非常に幸運なことだった。今後のウニオンの健闘を祈るとともに、ウニオンが1部に残留できることを確信している」
なお、正式に後任が決定するまでの期間、U-19チームの監督を務めていたマルコ・グローテ氏が暫定的にトップチームの指揮を執る。
By サッカーキング編集部
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