延長戦に一時勝ち越しとなるゴールを決めた田中 [写真]=Getty Images
DFBポカール準々決勝が30日に行われ、デュッセルドルフとザンクト・パウリが対戦した。
ともにブンデスリーガ2部に身を置きながら、DFBポカールではベスト8入りを果たしたデュッセルドルフとザンクト・パウリ。デュッセルドルフは1回戦でレギオナルリーガ・バイエルン(4部相当)のイラーティッセンを3-1で、2回戦でドリッテ・リーガ(3部)のウンターハヒンクを延長戦の末に6-3で破った。ラウンド16では伊藤達哉も出場したマクデブルク(2部)を2-1で下し、準々決勝まで辿り着いた。
一方、ザンクト・パウリは1回戦でオーバーリーガ・ニーダーザクセン(5部相当)のデルメンホルストを5-0で粉砕し、2回戦では延長戦までもつれ込む激闘の末、シャルケ(2部)を2-1で撃破。同試合では当時シャルケ所属の上月壮一郎(現:グールニク・ザブジェ)もピッチに立っていた。ラウンド16ではレギオナルリーガ・ズュートヴェスト(4部相当)のホンブルク相手に力の差を見せつけ、4-1と大勝。8強入りを果たした。
ブンデスリーガ2部でもデュッセルドルフが5位、ザンクト・パウリが首位と昇格を争うライバル同士の一戦。両者は27日に行われたリーグ戦でも対戦しており、当時は2-1でザンクト・パウリが勝利していた。
デュッセルドルフ所属の田中碧は先発出場、内野貴史はベンチスタートとなった試合は、立ち上がりの8分にデュッセルドルフがアクシデントに見舞われる。右サイドバックのポジションで出場していたエマヌエル・イヨハが負傷し、プレー続行が不可能に。急きょ内野がピッチへ送り出された。
デュッセルドルフは直後の15分、ペナルティエリア手前の位置でクリアボールに反応した田中がダイレクトで右足を振り抜くも、ジャストミートしたミドルシュートはわずかに枠の外へ。その後は一進一退の攻防が続いたが、35分にデュッセルドルフにビッグチャンスが到来。相手のロングフィードを内野が頭で跳ね返すと、田中がヘディングで繋ぎ、ピッチ中央で前を向いたヤニック・エンゲルハルトが中央を破るスルーパスを通す。抜け出したフィンセント・フェルマイがGKに倒されると、当初はオフサイドと判定されていたものの、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を経て判定が変更。デュッセルドルフにPKが与えられた。このPKをフェルマイがゴール左下隅に叩き込み、デュッセルドルフが先手を取った。
このままデュッセルドルフの1点リードで後半へ折り返すと、59分にザンクト・パウリが決定機を迎える。ペナルティエリア左でパスを受けたフィリップ・トロイが、切り返しで飛び込んできた田中のファウルを誘発し、PKを獲得。このPKをマルセル・ハルテルが落ち着いて沈め、ザンクト・パウリが試合を振り出しに戻した。
その後スコアは動かずに90分間が経過し、試合は延長戦に突入。すると延長前半の99分、同点弾のPKを与えてしまった田中が自らのミスを帳消しとする。敵陣中央で前を向いたクリストフ・ダフェルナーが右足を振り抜くと、ゴール左へ向かったミドルシュートはGKサシャ・ブルヒャートの横っ飛びセーブに弾き出される。このこぼれ球に田中が反応。鋭い出足で相手の前に入り、最後は倒れ込みながらも左足でゴールへ押し込んだ。田中にとって公式戦6試合ぶりとなる今季通算5点目で、デュッセルドルフが勝ち越しに成功した。
このまま時計の針は進み、120分間が経過したが、延長後半アディショナルタイムにはザンクト・パウリが意地を見せる。ペナルティエリア手前右寄りの位置でクリアボールを拾ったダネル・シナニが左足で浮き球のボールを放り込むと、ボックス内でのポジション取りを制したカルロ・ブカルファがヘディングシュート。強引に頭で押し込み、ザンクト・パウリが再び同点とした。
このままタイムアップの笛が吹かれ、決着はPK戦に委ねられた。両チーム成功が続く中、後攻のデュッセルドルフは2人目のクリストフ・ダフェルナーが止められる。その後、両チーム1人ずつ成功させると、ここからデュッセルドルフのGKフロリアン・カステンマイアーが躍動。ザンクト・パウリ4人目のマウリデス、5人目のハルテルのキックを完全に読み切り、2本連続で止めて見せた。5人目に関しては、キック時に自身がゴールライン上より前に出ていたためやり直しとなったが、2本のキックともに完全な読みで防ぎ切る。対するデュッセルドルフは4人目の田中がきっちりとゴール右下に流し込んでおり、迎えた5人目のフリストス・ツォリスも見事なチップキックで成功。“守護神”の活躍もあり、デュッセルドルフがPK戦を制した。
この結果、デュッセルドルフが1995-96シーズン以来、28年ぶりのDFBポカール準決勝へ駒を進めた。準決勝の組み合わせ抽選は2月11日に開催され、試合は4月2日または3日に行われる。
【スコア】
ザンクト・パウリ 2-2(PK戦:3-4) デュッセルドルフ
【スコア】
0-1 38分 フィンセント・フェルマイ(PK/デュッセルドルフ)
1-1 60分 マルセル・ハルテル(PK/ザンクト・パウリ)
1-2 99分 田中碧(デュッセルドルフ)
2-2 120+1分 カルロ・ブカルファ(ザンクト・パウリ)
By サッカーキング編集部
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