セリエA、そしてイタリアの未来を背負うFWベラルディに今季は注目

ベラルディ

U-21ユーロでは10番をつけてプレーしたベラルディ [写真]=Getty Images

文=赤星敬子

 チェコで開催されたU-21ユーロで、イタリアはイングランド、ポルトガル、スウェーデンとグループリーグで対戦したが、決勝トーナメント進出はならなかった。

 しかし、この大会のイタリア人メンバーで最も注目を浴びたのが、FWドメニコ・ベラルディだった。ルイジ・ディ・ビアジョ監督の用いる[4-3-3]のシステムでセンターフォワードを務めるベラルディだが、若き才能に目を付けていたユヴェントスと共同保有していたサッスオーロが大会敗退後、保有権の完全買い取りを決めた。

 そのプレースタイルはスピードのあるドリブルと正確なセットプレーで魅せる。昨年1月、本田圭佑のミランでのデビュー戦となった試合で4得点を決め、日本人にも強烈な印象を与えた。8月に21歳になるベラルディは、チェコでのこの大会でイタリア代表を率いるアントニオ・コンテ監督からもチェックされていた。親善試合などでA代表に呼ばれる可能性も出てきたのだ。

 U-21ユーロでアンバサダーに任命された、現在ユヴェントスの幹部である元チェコ代表MFパヴェル・ネドヴェド氏は、ベラルディについて次のように語った。

「非常に高いレベルにある選手だ。ここ2年の活躍は信じられないほど素晴らしいものだった。リオネル・メッシとの比較を見てさらに驚いたよ。量、質とともにまだまだ伸びていくだろう。『イタリアには才能のある若い選手はいない』なんて声を聞くと、いつも笑いがこみ上げてくる」と大絶賛している。

 そう、2013-14シーズンは16得点、2014-15シーズンは15得点を挙げたベラルディは、メッシの20歳時点のゴール記録を上回ったということでずいぶんと大きな話題にもなった。過去のネガティブな話題といえば、2014年に代表の合宿に参加せず、ペナルティを科せられたことぐらいか。プレッシャーが少ないサッスオーロというチームで、コンスタントに出場。けがが少ないことも長所の一つになっている。

 サッスオーロでの手腕により、自身もビッグクラブから注目されているエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督は、「私のもとでやりたいと言ってくれたのはうれしかった。お互いの信頼関係があり、その存在が刺激になっている証だよ。これも喜ばしいことだ。一年前より1ゴール少なくても、コンスタントにプレーしていることに変わりはない。チームの最優秀プレーヤーだと言ってもいいのではないだろうか」と、語った。早くからその才能を見出され、次世代のセリエA、そしてイタリアを背負っていくベラルディから今後も目が離せない。

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