セリエAも残すところあと6試合となった。2位ローマが第32節で引き分けたため、首位ユヴェントスとの勝ち点差がまた8と開いた。最終節を待たずにユーヴェがスクデット5連覇を決める可能性もかなり高くなってきた。UEFAヨーロッパリーグ出場権争いも最後の最後まで見ごたえがありそうだ。ただ今回は個人成績でのセリエA 2016-17シーズンの得点王争いに注目したい。
現在、ローマのエディン・ジェコとトリノのアンドレア・ベロッティがそれぞれ25得点を挙げており、トップに立っている。続く2位には昨シーズン、ナポリで36ゴールを叩き出し、セリエA最多得点記録を更新したゴンサロ・イグアイン(ユヴェントス)が23得点。それに続いて14-15年にルカ・トーニ(当時ヴェローナ)と同じ22ゴールで得点王となったマウロ・イカルディ(インテル)となっている。
まずは大型ストライカー、ジェコから見てみよう。ローマに移籍していた昨季は8得点だった。それが2シーズン目の今年、イタリアのサッカーに慣れたのもあってか25得点と大爆発している。それだけではない。チームメイトのモハメド・サラーの存在が大きい。最近6試合で9アシストを達成しているのが、何よりの証拠だ。フィオレナティーナ時代からサラーは自身でもゴールを決められるし、アシストもできることで評価が高かったが、ローマでのジェコとのコンビもうまく機能している。もしジェコがセリエA得点王のタイトルを獲れば09-10年、ヴォルクスブルク時代以来の2カ国目のリーグでの成功となる。
そして今シーズン、プレーヤーとして大きく開花したのがトリノのベロッティだ。ゴール後に頭に手をひらひらさせ”めんどりポーズ”で走り回る姿もすっかりおなじみとなった。ウルバーノ・カイロ会長が国外リーグへの移籍は違約金1億ユーロ(約120億円)という細則をつけて、イタリアの才能を国内で育てる方針をとっている。25得点の次の目標は、イタリア・サッカー界で語り継がれる「グランデ・トリノ」時代のヴァレンティーノ・マッツォーラ氏のクラブ最多得点記録29ゴール(1946-47年)だろう。
ミハイロビッチ監督は得点王争いについて「ベロッティは素晴らしいシーズンを過ごしている。最後の最後まで我々は、彼の得点王獲得のためにプレーしていく覚悟だ。彼のライバルたちはビッグクラブにいるため、得点のチャンスも多くなるだろう。でも我々は”ガッロ”(めんどりの意味、ベロッティの愛称)が得点王にふさわしいと信じている」と全面的なバックアップを約束した。同会長も、2018 FIFAワールドカップ ロシア大会までのあと1シーズン、トリノに残ってほしい願っている。また同じトリノ本拠地のユーヴェのDFレオナルド・ボヌッチの息子、ロレンツォくんはベロッティの大ファンでベロッティの選手カードを片手に、ご機嫌で”めんどりポーズ”を決めている姿がSNSにアップされた。
イグアインの昨年の36得点には及ばないだろうが、おそらく30点台前半が最多ゴールとなるだろう。また15日のダービーでミラン相手に初めて得点したイカルディ、ナポリのドリース・メルテンスにもチャンスはある。ただ個人的には、イタリア人のペロッティに獲ってもらいたい。
文=赤星敬子