開幕2連勝スタートを切ったユヴェントス [写真]=Getty Images
無双のユヴェントス。セリエAで前人未到の7連覇を成し遂げ、イタリア国内では圧倒的な強さを誇りながら、今夏はクリスティアーノ・ロナウドの獲得を成功させて、世界を仰天させた。8月18日に開幕したセリエAでは、2戦2勝。開幕節のキエーヴォ戦は、勇戦奮闘した相手に苦しみながらも、後半ロスタイムにフェデリコ・ベルナルデスキの逆転弾で勝利。開幕戦という難しい試合を、ユーヴェ”らしさ”とも言える粘り強い試合運びで切り抜けた。たった2試合を終えたばかりだが、この強いユーヴェをどのチームが止めるのかが、序盤戦での焦点となっている。
ユーヴェは移籍市場で主役となり、Bチームの設立も大きな話題となった。AチームがセリエA開幕前の8月15日に最後のテストマッチで対戦した相手がユヴェントスU-23。8-0と完膚なきまでに叩きのめされているが、実はチーム結成から間もない時間での対戦だった。
ミランの黄金時代をセンターバックとして支えた、イタリア・サッカー連盟(FIGC)のアレッサンドロ・コスタクルタ副会長の肝いりで誕生したBチーム構想。当初はミランやローマの参加も噂されたが、蓋を開けてみれば、申請したのはユーヴェだけだった。Bチーム登録における今季の規則は1チームが23選手で構成され、そのうちの19選手は、1996年1月1日以降の生まれでなければならない。したがって、オーバーエイジは4選手が認められる。
また、16選手は、少なくとも7シーズンにおいて、FIGCの支配下選手であった必要がある。さらに、AチームとBチーム間の行き来は自由だが、セリエAで5試合以上出場した選手は、Bチームでプレーできなというのが決まりだ。チームとしてはセリエBまでの昇格は可能だが、仮にセリエBで優勝してもAチームが在籍するセリエAには昇格することはできない。しかし、セミプロのカテゴリーであるセリエDに降格することもない。
セリエCは今季、19チームの登録でリーグがスタートしたセリエBへの昇格措置問題などによって、組み合わせ抽選が9月8日、リーグ戦開幕が16日と当初の開催よりも延期となっているが、セリエCのコッパ・イタリアはすでにスタートしている。8月21日に行われ、ジュゼッペ・マロッタGMも応援に駆けつけた記念すべき公式戦の第1戦、クネオ戦には1-0と勝利。アルビッソラとの第2戦では2-2と引き分けたが、今夏にアーセナルから獲得したU-20イングランド代表FWステフィー・マヴィディディによるゴールが生まれている。グループステージの2試合は1勝1分け、得失点差により惜しくも突破することはできなかったものの、チームはクラブの歴史に新たなる1ページを刻んだ。
ユーヴェU-23の初シーズンを指揮するのは、マウロ・ジロネッリ、48歳の監督だ。現役時代にはフィオレンティーナなどでプレーした実績はあるが、ユーヴェでは選手としても、コーチとしても在籍経験はなかった。2006年から指導者としての道を歩み、アマチュアやセミプロのチームを歴任し、昨季に指揮したセリエDのメストレをセリエCに昇格させた。8月にはセリエBのバーリの指揮官に就任する可能性が高かったが、バーリは財政難を理由にリーグ登録を抹消され、破談となった。
そして、途方に暮れていた矢先に、ユーヴェから白羽の矢が立った。寝耳の水のオファーに「冗談かと思った」と笑うジロネッリは「選手には、自分たちがどこに向かいつつあるのか、そしてどの場所にいるのかを分からせるように努めなければならない」。プリマヴェーラからトップチームへの橋渡し役となることが、優先課題として挙げられるが、当然優勝も視野に入れているはずだ。トップチームと共に”ダブル優勝”を祝すことも夢ではない。
常勝軍団のクラブには、新たなプロジェクトも持ち上がっている。ユーヴェU-23の本拠地となるスタジアム建設の構想だ。今季はアレッサンドリア県のジュゼッペ・モッカガッタ・スタジアム(セリエCのアレッサンドリアとの併用)を使用することとなるが、将来的に自前のスタジアムを所有する計画が浮上。アリアンツ・スタジアムから通り一つを隔て、廃墟となっているイベントホールがある敷地が候補地に挙がっており、5000から6000人の収容能力を持つことになるようだ。
ユーヴェU-23のほか、2017年に設立され、加盟1年目でトップリーグ優勝という離れ業をやってのけた、女子チームのユヴェントス・ウーマン、そして、UEFAユースリーグに出場するプリマヴェーラが使用することになるという。今春にはトップチームのトレーニングセンターが、アリアンツ・スタジアムに隣接するJヴィレッジに移設。今後は土地を所有する市との交渉となるが、セカンド・スタジアムの建設が実現されれば、この地区に”ユーヴェ・タウン”が誕生することとなる。ユーヴェの投資は、スター選手の獲得だけに留まらない。これまでにない斬新的なエンブレムを採用したように、これからも革新的なアイデアが淀みなく生み出されていくことになりそうだ。
文=佐藤徳和
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