ローマで頭角を現している19歳のザニオーロ [写真]=Getty Images
インテルというと、「先見の明がないクラブ」と目に映る人は少なくないようだ。今年1月には、スペイン紙『アス』がインテルをこう皮肉った。「エースを失うスペシャリスト」。その理由は、手放した選手の多くが、新天地でブレイクしたからだ。
現在バルセロナに所属するコウチーニョはインテル時代に、たった1000万ユーロ(約12億8000万円)でリヴァプールに放出された。その後、バルセロナには1億6000万ユーロ(約204億8000万円)もの値で移籍しているのだから、インテルの落胆は想像に難しくない。
デニス・ベルカンプはインテルで2シーズンプレーした後に、200億リラ(現在の通貨で1000万ユーロに相当)でアーセナルへ、ロベルト・カルロスは1年プレーしただけで見切りをつけられ、6億ペセタ(同400万ユーロ=約5億円)でレアル・マドリードへと売却された。ともに移籍先では11年間に渡って主力として君臨し、ベルカンプはアーセナルでプレミアリーグの優勝に3度貢献、R・カルロスはレアル・マドリードでリーガ・エスパニョーラを4度、チャンピオンズリーグを3度も制し、双方がクラブの黄金時代を築く立役者となっている。
さらにもう一人、インテルにはこの男が在籍した。希代のレジスタ、アンドレア・ピルロだ。インテルは、ピルロが19歳の時にブレシアから買い取ったが、レッジーナとブレシアへのレンタルを経て、350億リラ(1800万ユーロ=約23億円)で、あろうことか永遠のライバル、ミランにあっさりと売りさばいた。その後のミランでの華やかなキャリアの説明は不要だろう。しかし、ミランもインテルのような失態を演じ、ピルロを自由契約にしてユヴェントスと無償で契約させたのだから、インテルの過ちを笑うことはできない。
そして今、インテルが悔恨の念にかられるような選手がいる。今夏にローマへと移籍した、ニコロ・ザニオーロである。フィオレンティーナの下部組織出身で、2016年に移籍したヴィルトゥス・エンテッラではセリエBながら17歳でプロデビューを果たした。200万ユーロ(約2億6000万円)で移籍したインテルでも将来を嘱望され、プリマヴェーラでは実績を築いていた。17-18シーズンは26試合の出場で13ゴール8アシストを記録。18歳の選手であれば、十分過ぎるパフォーマンスだ。ただ、トップチームでの出場はなかった。それがローマに加入すると、公式戦出場を待たずに、ネーションズリーグを控えたイタリア代表の招集メンバーとして9月6日に声がかかる。「Sky Sportを見ていて代表に呼ばれたことを知った。信じられなかった」とザニオーロが語るほどのサプライズ招集。ロベルト・マンチーニ監督の大抜擢だった。
「19歳で優れていれば、出場しなければならない」と間近でプレーを目にしたマンチーニが放ったコメントが影響したのか、同19日のチャンピオンズリーグ・グループステージ初戦、レアル・マドリード戦で欧州デビュー。しかも先発出場だから、これまた驚きだった。同26日にはフロジノーネ戦で54分からピッチに立ちセリエA初出場を成し遂げた。 11月3日のフィオレンティーナ戦では、リーグ初先発を記録。トレクアルティスタ(トップ下)という極めて難しいポジションで、及第点以上の活躍を見せている。そして、昨シーズンまで所属したインテル戦でも非凡なプレーを披露。当然、インテルのフロントがザニオーロの譲渡をどのように感じたのかに関心が集まる。ピエロ・アウジーリオSD(スポーツディレクター)は、「彼はプリマヴェーラのカテゴリーでプレーしただけに過ぎない。幸運なことに、彼のような選手はたくさんいる」と吐き捨てたが、単なる強がりにしか聞こえない。トレクアルティスタを必要としていたルチアーノ・スパッレッティ監督が一度でも起用していれば、評価は違ったのではないか。果たして本心はどうなのだろうか。
ザニオーロは今夏の移籍市場で、ラジャ・ナインゴランの移籍オペレーションでローマに加入した。2400万ユーロ(約30億円)の金銭に加え、ダヴィデ・サントンとともに移籍したこともあり、単に金銭を埋めるためのトレード要員でしかなかったように思える。しかし、実際のところは事情が違ったようだ。プロ選手としてセリエBやセリエCのカテゴリーでプレーした父、イゴールが移籍交渉の舞台裏をこう説明する。
「ローマは、ニコロを獲得できないならナインゴランの譲渡を拒否する姿勢を示した。そのため、インテルは少し主導権を握られる形となった。ともかく、トレード要員が誰であれ、スパッレッティはナインゴランを強く必要としていた。そういったことで、インテルはニコロの放出に『イエス』と言わざるを得なかったんだ」
ナインゴランをインテルに譲渡したことにロマニスタたちは憤慨した。全身全霊をかけて戦い、魂の塊のようなナインゴランは、ローマに欠かせない存在だった。ただ、その時はロマニスタたちもザニオーロがこれほど短期間で化けるとは想像できなかった。それはモンチSDも同じ考えだったようだ。「トップチームでプレーするまでに6カ月は待たなければいけないと思われたが、こんなに早くから出場できるとは」と舌を巻く。
1メートル90センチの長身で、希少なレフティー。スピードとテクニックを兼ね備え、守備能力も高い。利き足こそ異なるが、ボール捌きやドリブルなどはミラニスタたちを熱狂させたあのスタープレーヤーを想起させる。「アイドルはカカ! 彼のような選手になることが夢なんだ」とザニオーロ自身が目標とするフオリクラッセ(規格外の選手)だ。U-21イタリア代表で4試合に出場させたルイージ・ディ・ビアージョ監督も大きな期待を寄せていて、「ジェノア戦では試合中に3つのポジションを担った。信じられないほど要求に応えられるだけの能力を持っている。現代サッカーのプロトタイプだ」と高く評価する。
ローマはチャンピオンズリーグこそ決勝トーナメント進出を決めたが、リーグ戦は低空飛行。勝ち点24の7位と、今一つ波に乗ることができていない。そんな中、ザニオーロの出現は数少ない明るい材料だ。負傷離脱しているハビエル・パストーレやロレンツォ・ペッレグリーニが復帰となれば、激しい定位置争いが待つことになるだろう。しかし、ジェノア戦で見せたように、複数のポジションをこなせる柔軟性も備えていることを証明した。後半戦の巻き返しに向け、ザニオーロがチームにとって必要不可欠な選手であることは間違いない。
文=佐藤徳和/Norikazu Sato
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