2019年はイタリア代表にとって勝負の年となりそうだ [写真]=Getty Images
2019年はアッズーリにとって、捲土重来を期す一年だ。
2018年はFIFAワールドカップ出場を1958年大会以来、60年ぶりに逃し、イタリア国民は大会期間中の32日間を抜け殻のように過ごしながら、隣国フランスの優勝を傍観するしかなかった。
昨年5月14日に指揮官に任命されたロベルト・マンチーニ監督の下、初開催のUEFAネーションズリーグでは、ポルトガル、ポーランドと同組のグループ3で、1勝2分け1敗の2位。かろうじて、リーグAからBへの降格を逃れたものの、勝利はホームで挙げたポーランド戦のみ。クリスティアーノ・ビラーギ(フィオレンティーナ)が後半アディショナルタイムに奪ったゴールが決勝点となった薄氷の勝利だった。しかし、ワールドカップでグループステージ敗退の醜態をさらしたドイツがリーグBへの降格を強いられたことを考えると、リーグAに踏みとどまれたことだけでもポジティブにとらえなければならないのかもしれない。イタリアと並び、ワールドカップ4度の優勝を誇るあの強国ドイツが、1勝も挙げられないまま降格してしまうのだから、一度躓いた者が再び立ち上がることがどれほど難しいことかと思い知らされる。
イタリアは昨年、ルイージ・ディ・ビアージョ暫定監督の体制で3月に再スタートを切り、アルゼンチンとイングランドとのテストマッチを経て(1分け1敗)、マンチーニを招へい。新体制では5月28 日のサウジアラビア戦を皮切りに、11月20日のアメリカ戦まで9試合を戦い、3勝4分け2敗の成績に終わった。サウジアラビア戦を2-1で勝利した以外は、白星を得た6試合で最小得点にとどまった。ただ、そんな中でも光明は見えてきた。
11月17日に行われたポルトガル戦(0-0)では、ユーロ2016王者を相手に66パーセントのポゼッションで圧倒。パスの成功数も相手の262に対して721と、技術力の高さを見せた。マニチーニが目指すスタイルが垣間見えた一戦だった。しかし、兎にも角にも決定力が物足りない。ポゼッションを高めることは比較的容易な作業なのだろうが、最後のフィニッシュ、得点力の向上はどのチームにとっても永遠の課題のようだ。昨年一年で11試合を戦い、総得点は9。しかも2得点以上をマークした選手が一人もいない。マンチーニがFWの選考に頭を抱えるのもうなずける内容だ。
ポジション別に現在のアッズーリのレギュラー候補を見ていきたい。
■エース不在のCF。サイドアタッカーは人材豊富
まずは、懸念されるストライカーのポジション。17-18シーズンのセリエAで得点王に輝いたチーロ・インモービレ(ラツィオ)は、代表に限っては不振を極める。2017年9月5日のイスラエル戦を最後に9試合で不発。今シーズンも所属クラブで11得点をマークしているのだから、コンディションではなくメンタル面に問題があるのかもしれない。となるとインモービレ以上に得点を挙げている選手を見なければならない。今シーズンのセリエAで14得点を挙げているファビオ・クアリャレッラだ。第20節を終えてクリスティアーノ・ロナウド(ユヴェントス)、ドゥバン・サパタ(アタランタ)と並び堂々の得点ランキングトップに立つ。ただ、ネックとなるのが年齢だ。1月31日には36歳の誕生日を迎える。仮にユーロ2020に出場するとなると、その時は37歳。2022年ワールドカップ時には39歳となる。ワールドカップ出場については非現実的だ。マンチーニは招へいを検討していると聞くが、一筋縄でいかない選考となりそうだ。アンドレア・ベロッティ(トリノ)も一時の勢いを失っている。パトリック・クトローネ(ミラン)やピエトロ・ペッレグリ(モナコ)といった将来を嘱望される選手も現れつつあるが、絶対的ストライカーの不在はしばらく続くことになりそうな課題だ。
一方、サイドアタッカーや攻撃的MFの選手には豊富な人材が集まっている。サイドアタッカーでは、2人の“フェデリコ”がアッズーリにとって不可欠な存在となった。キエーザ(フィオレンティーナ)とベルナルデスキ(ユヴェントス)だ。また、ステファン・エル・シャーラウィ(ローマ)はミラン時代のベストフォームを取り戻しつつあり、マッテオ・ポリターノ(インテル)はビッグクラブへの移籍1年目でレギュラーポジションを自らのものとしている。ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)はこのところ調子を落としているが、すぐに復調してくるはずだ。ただし、彼らもポジションが確約されたわけではない。2000年生まれのモイーズ・キーン(ユヴェントス)がすでに2018年の最終戦、アメリカ戦でデビュー。最前線だけでなくウイングやトップ下でもプレーできるこの有望株はユヴェントスでも徐々に出場機会を増やしつつあり、良い意味で代表に刺激をもたらすことができるだろう。
■激戦区
中盤は、最も競争力が高いポジションと言える。ジョルジーニョ(チェルシー)、マルコ・ヴェラッティ(パリ・サンジェルマン)の海外組に加え、ニコロ・バレッラ(カリアリ)、ロレンツォ・ペッレグリーニ(ローマ)といった若手も擁し、クオリティの高いメンバーで形成されている。さらに、ここに10代の有望株が割り込んでくることになりそうだ。稀代のレジスタ、アンドレア・ピルロと見紛うほどにプレースタイルが酷似するサンドロ・トナーリ(ブレシア)は、セリエBから異例の招集を受けた。18歳での代表入りは大きな話題を呼び、今夏の移籍市場でユヴェントスへの移籍が噂されている。
そして今、イタリアで最大の発見と言われる選手が、ニコロ・ザニオーロ(ローマ)だ。1月19日のトリノ戦で今シーズン2点目となるスーパーゴールを決めると、ロマニスタの間では19歳のトレクアルティスタ(トップ下)の話題で持ち切り。マンチーニは「アスリートとしての能力が高く、至るところに顔を出せる。ポール・ポグバ(マンチェスター・U)を彷彿とさせる」と称賛するほどだ。すでに代表入りも果たしており、早い時期にデビューが実現することになるに違いない。
■最終ラインは選手層に不安
ディフェンス面はどうだろう。かつては「守備の国・イタリア」と畏敬の念を抱かれたが、近年はセンターバックの人材難に陥っている。ジョルジョ・キエッリーニとレオナルド・ボヌッチのユヴェントス組は言うまでもなく、アンタッチャブルなコンビだ。そこにダニエレ・ルガーニ(ユーヴェ)とアレッシオ・ロマニョーリ(ローマ)の2人がレギュラー候補として続くのだろうが、まだまだ怖さもなければ狡猾さにも欠ける。同世代のマッティア・カルダラはミランに移籍後、ポジション確保に苦しみ、現在は負傷離脱中だ。そんな中、若手で勢いがあるのはアタランタの22歳、ジャンルカ・マンチーニだろう。高さ、強さ、速さの三拍子を揃えた1メートル90センチの長身DF。今シーズンはリーグ戦で5得点。得点力の高さも大きな魅力の一つである。
サイドバックもやはり、人材に物足りなさがある。ファーストチョイスは攻撃力が売りのアレッサンドロ・フロレンツィ(ローマ)が右に入り、パワフルなビラーギが左、そして相手の攻撃力に応じて、左右をこなす守備力の高いマッティア・デ・シリオ(ユヴェントス)が起用されることになりそうだが、競争力の低さが気がかりだ。長期負傷していたアンドレア・コンティ(ミラン)が復帰したことは、マンチーニにとって朗報だろう。
■高水準の正守護神争い
最後にイタリア代表で最多出場記録を誇るジャンルイジ・ブッフォンが退いたGKのポジションだ。ミランのジャンルイジ・ドンナルンマが、これからもブッフォンの後継者としてアッズーリの歴史を作っていくことになるだろう。しかし、ライバルは数多く存在する。マッティア・ペリンはユヴェントスで第2GKの座に甘んじるが、マッシミリアーノ・アッレグリ監督の信頼も厚く、代表レベルのGKであることに異論はないだろう。サルヴァトーレ・シリグ(トリノ)はパリ・サンジェルマン時代にリーグ・アンの最優秀GKに2度輝いた実力者だ。ほかにも、アレッシオ・クラーニョ(カリアリ)、エミル・アウデロ(サンプドリア)、シモーネ・スクフェット(カスムパシャ)、アレッサンドロ・プリッツァーリ(ミラン)といった有望株が顔をそろえる。中でも注目はナポリのアレックス・メレトだ。今シーズンは左腕の骨折で出遅れたものの、復帰後はコロンビア代表のダビド・オスピナとギリシャ代表のオレスティス・カルネジスを隅に追いやり、レギュラーの座を奪取。ドンナルンマの存在を脅かすポテンシャルを備えるスーパーなGKであり、マンチーニ監督はこのポジションの選考に良い意味で頭を悩ませることになるだろう。
2019年はユーロ予選がスタートする。イタリアは、グループJに入り、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、フィンランド、ギリシャ、アルメニア、リヒテンシュタインと同組となった。ローマのエディン・ジェコとユヴェントスのミラレム・ピアニッチが中心となるボスニア・ヘルツェゴヴィナが最大のライバルとなるだろうが、ローマのコスタス・マノラスを擁するギリシャも侮れない相手だ。
現在のところ、3月23日に行われるホーム(ウディネ)でのユーロ予選・フィンランド戦が2019年最初の試合と予定されている。アッズーリはこのグループをトップで通過し、ユーロで好成績を残すことが当面の目標だ。けれども、やはりワールドカップの注目度はユーロのそれ以上で、ワールドカップの出場権を取り戻し、優勝を狙えるチームに仕上げることがマンチーニの使命になる。中盤やGKにはそれを狙えるだけの人材が揃いつつあり、そのほかのポジションでも有望な若手が台頭しはじめている。まず求められるのは、18位のFIFAランキングを少しでも上位に押し上げること。2018年ワールドカップ欧州予選では、FIFAランキングを落としたことが影響し、スペインと同組となったことが予選敗退という悲劇を招いた。今年はユーロ予選突破を最大の目標に置きながら、FIFAランキングの上昇も考慮して戦わなければならない。
文=佐藤徳和/Norikazu Sato
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