左からパブロ・モレノ、ベンタンクール、モイーズ・キーン、ニコロ・ファジョーリ [写真]=Getty Images
ユヴェントスは今シーズン、悲願のチャンピオンズリーグ制覇に向けて歴代最高とも称されるチームを作り上げた。しかし、新エースとして君臨するクリスティアーノ・ロナウドは34歳、自慢の堅守を形成するジョルジョ・キエッリーニとレオナルド・ボヌッチも、前者が34歳、後者が31歳と高齢化が進んでいる。イタリアの“絶対王者”といえども、世代交代は避けられない。
ただ、クラブの動きは早かった。今シーズンより各クラブのセカンドチームのセリエC参戦が認められると、ユーヴェはU-23チームを発足し、セリエCに登録。これまでは有望な選手をレンタルに出して経験させるケースが多かったが、自前のチームで成長を見守る環境を整えた。
プリマヴェーラ(下部組織)やレンタル移籍による武者修行に加えてU-23チームを発足させたことで、イタリアで最も多くの有望選手を抱えるクラブになったと言っても過言ではない。もちろん、勝者であり続けるためには他クラブから即戦力やスター選手を獲得することも不可欠ではあるが、今回はユーヴェが保有権を持つ選手に限定して次世代のベストイレブンを組んでみた。
《選出ルール》
◎現在クラブが保有権を持つ選手(U-23、下部組織、他クラブにレンタル移籍中の選手含む)に限定して選出を行う。
◎各選手は適正のないポジションには配置しない。
◎現チームが採用することの多い4-3-3を使用する。
GK マッティア・デル・ファヴェーロ(20歳)
年代別のイタリア代表に選出されている実力者で、16-17シーズンからはプリマヴェーラの試合に出場しつつ、トップチームの試合にも帯同して経験を積んできた。今シーズンは、新たに発足したセリエC所属のユヴェントスU-23で正GKを務め、ユースカテゴリーよりも上のレベルで実力を磨いている。イタリアでは次から次へと将来有望な若手GKが育つが、クラブの生え抜きがトップチームのゴールマウスを守ることを望むファンも多いはずだ。
DF ジョアン・カンセロ(24歳)
ウインガーとしても通用するほどの高い技術を武器に、左右どちらのサイドでも遜色なくプレー。加入直後から定位置を確保し、今や不可欠な選手となった。近い将来、「世界最高のサイドバック」と呼ばれる日が来ても不思議ではない。
DF ダニエレ・ルガーニ(24歳)
将来を嘱望されながら、今ひとつ殻を破りきれずにいるルガーニだが、ジャンルイジ・ブッフォンやジョルジョ・キエッリーニ、レオナルド・ボヌッチらとともにプレーを重ねてきた経験は何ものにも代え難い。今後のディフェンスリーダーは“イズム”を知り尽くした彼以外に考えられないだろう。
DF ジャンマリア・ザナンドレア(19歳)
昨年行われたU-20欧州選手権ではセンターバックとして全5試合に出場し、イタリア代表の準優勝に貢献。今シーズンはユヴェントスU-23の一員としてセリエCで経験を積んでいる。左サイドバックでもプレー可能なレフティーで、キエッリーニの後継者として期待がかかる。
DF ピエトロ・ベルアット(20歳)
シーズン開幕前のプレシーズンツアーでトップチームのメンバーに入り、ベンフィカ戦で先発出場を果たした。開幕後はU-23チームの中心選手として主に「3-5-2」の左ウイングバックを担っている。右サイドでのプレーも可能で、左足の“一発”も持っている。
MF ロドリゴ・ベンタンクール(21歳)
若さ故かやや調子にムラがあり、不用意なファウルで警告を受ける場面も散見されるが、すでにチームの主力に成長した。攻守両面でのハードワークに加えてゲームメイクも可能な万能タイプで、長きに渡って「8番」を背負ったクラウディオ・マルキージオの正統後継者と言える。
MF レアンドロ・フェルナンデス(19歳)
昨シーズン、PSVからユーヴェのプリマヴェーラに加入し、すぐさまチームの中心選手となった。今シーズンはU-23チームでの活躍が期待されたが、開幕戦でひざを負傷し長期離脱を強いられている。ただ、開幕前のプレシーズンツアーではトップチームでデビューを果たすなどクラブの期待は高く、ケガから順調に復帰すれば近い将来、セリエAの舞台でそのプレーを見ることができるはずだ。
MF ニコロ・ファジョーリ(17歳)
イギリス紙『ガーディアン』選出の2018年版「ネクスト・ジェネレーション:世界のヤングタレント・ベスト60」に選出された逸材。高い技術とパスセンスを備える“ファンタジスタ”タイプで、ユーヴェのみならずイタリア代表の将来を背負って立つ選手として期待される。
FW ルカ・クレメンツァ(21歳)
プリマヴェーラで10番とキャプテンを務めた期待のレフティー。昨シーズンはレンタル先のアスコリで28試合に出場し、得意とするトップ下や左右のウイングだけでなく、インサイドハーフでもプレーした。今シーズンは大先輩のアレッサンドロ・デル・ピエロがプロデビューを果たしたクラブとして知られるパドヴァにレンタル移籍し、再びセリエBの舞台で経験を積んでいる。
FW モイーズ・キーン(18歳)
16歳の頃からトップチームに帯同し、16-17シーズンには2000年以降生まれの選手として史上初めてCLに出場。セリエAで初ゴールも記録した。昨シーズンはヴェローナへレンタル移籍し、19試合出場4ゴール。復帰を果たした今シーズンはコッパ・イタリアで得点を挙げている。クラブ内で最も期待されている若手選手の一人で、このまま成長すれば間違いなく中心選手になるはずだ。
FW パブロ・モレノ(16歳)
バルセロナのカンテラから引き抜いたスペインの逸材で、加入初年度の今シーズンはプリマヴェーラを主戦場とし、センターフォワードや左右のウイングでプレーしている。また、16歳の若さですでにU-23チームのメンバーとしてセリエCでのデビューも果たした。細かいタッチのドリブルと正確なシュートを武器とする期待の星だ。
最後まで悩んだのは、パウロ・ディバラ(25歳)とフェデリコ・ベルナルデスキ(24歳)を選出するかどうか、ということ。彼らは今後数年間、チームをけん引していかなければならない存在だからだ。けれど今回は、そのもう少し先の未来を想定したメンバーを構成してみた。C・ロナウドの加入からもわかるように、今後も他クラブから超大物選手がやってくる可能性は十分に考えられるが、このベストイレブンからユヴェントスの象徴となる選手が育つことを期待したい。
文=本間慎吾
写真=Getty Images
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