途中出場から最も多くのゴールを挙げている選手は…? [写真]=Getty Images
10月26日に行われたセリエ第9節、19位に低迷していたジェノアは、アウレリオ・アンドレアッツォーリ監督を解任し、クラブOBのチアゴ・モッタを新監督に迎えてジェノア戦に臨んだ。チームは34分に先制を許す。しかし、トップチームの指揮はこれが初めてのモッタ監督が、素晴らしい采配で窮地に追い込まれたチームを救う。交代のカードを切って送り出した3選手すべてが得点を決めるという、まさに監督冥利につきる結果を挙げるのだ。66分にケビン・アグデーロのゴールで追いつくと、75分にはクリスティアン・クアメのアクロバティックなボレーで逆転に成功。さらに、その4分後にはモッタ監督とインテル時代にチームメイトだったゴラン・パンデフがカウンターからとどめの一撃を見舞い、3-1と華麗な逆転勝利を収めた。
途中交代の選手に与えられる役割は様々だが、前線の選手であれば、その最大のミッションはゴールを挙げることにほかならない。ビハインドからの追撃弾や同点ゴールとなれば、勝利への希望を与える。逆転ゴールや勝ち越しゴールであれば、チーム、そしてサポーターに歓喜をもたらし、スタジアムを熱狂の渦に巻き込むものとなる。先発を外れたとはいえ、“切り札”、“スーパーサブ”、“ジョーカー”と呼ばれる選手たちは頼られる存在であり、最後の望みでもあるのだ。今回は、セリエAにおける途中出場からのゴール数ランキングを紹介する。
■セリエA 途中出場からの得点数TOP20(☆=現役選手)
20位 フィリッポ・インザーギ
元イタリア代表/46歳
主なクラブ…ユヴェントス、ミラン
途中出場99試合/12得点
アタランタ時代の96-97シーズンに24ゴールを奪いセリエA得点王に。その後はユヴェントスやミランで活躍した。セリエA通算156得点は、レジェンドのジジ・リーヴァ、現イタリア代表監督のロベルト・マンチーニと並び歴代19位。今シーズンからセリエBのベネヴェントを指揮し、第12節を終えて首位につける。監督になっても、現役時代のような情熱的なリアクションでチームを鼓舞している。
19位 クマ・ババカル
セネガル代表/26歳☆
主なクラブ…フィオレンティーナ、レッチェ
途中出場77試合/12得点
ペスカーラ下部組織の練習生を経て、2007年にフィオレンティーナに加入。同クラブでプレーした16-17シーズンにキャリアハイの10得点を記録した。今夏にはサッスオーロから昇格組のレッチェにレンタル移籍してプレー。今シーズンは先発出場が多く、唯一の得点を挙げた第8節ミラン戦でもスタートからピッチに立っている。
18位 マルコ・ボリエッロ
元イタリア代表/37歳
主なクラブ…ミラン、ジェノア、ローマ、カリアリ
途中出場118試合/13得点
19年に渡るプロ生活でミランやローマ、ユヴェントスなど15クラブに所属したさすらいのボンバー。昨シーズンにスペイン3部のイビサ・エイビッサで現役を引退し、現在は同クラブのスポーツディレクター兼助監督を務める。
17位 アルベルト・パロスキ
イタリア/29歳☆
主なクラブ…ミラン、キエーヴォ
途中出場90試合/13得点
ミランに所属した2008年2月のシエナ戦で、途中交代からわずか18秒でゴールを叩き出すというセンセーショナルなセリエAデビューを飾る。だが、今シーズンは在籍3年目を迎えたSPALで4試合出場ノーゴールと降格圏に沈むチームとともに不振が続いている。
16位 クリスティアン・ヴィエリ
元イタリア代表/46歳
主なクラブ…インテル
途中出場75試合/13得点
セリエA通算142得点(歴代29位)に加え、アトレティコ・マドリーで24得点、モナコで3得点を記録した巨漢ボンバー。多くのモデルや女優たちと浮名を流してきたが、今年3月にコスタンツァ・カラッチョロと結婚し、独身生活に終止符を打った。
15位 ニコラ・ヴェントラ
イタリア/41歳
主なクラブ…インテル、アタランタ
途中出場91試合/14得点
バーリの下部組織出身で、アタランタやインテルでプレーした。2011年の現役引退後は、ロサンゼルス、アブダビで生活。18-19シーズンは『DAZNイタリア』で解説者を務め、2019年5月に通信大学で経済・通信技術学の修士号を取得した。
14位 セルジオ・ペリッシエール
元イタリア代表/40歳
主なクラブ…キエーヴォ
途中出場151試合/15得点
トリノやヴァレーゼ、SPALなどに所属したが、セリエAのカテゴリーでプレーしたのはキエーヴォのみ。セリエA通算517試合出場112得点は同クラブの歴代最多記録に輝く。昨シーズン限りで現役生活にピリオドを打ち、キエーヴォのテクニカル・エリア・マネージャーに就任した。
13位 アルベルト・ジラルディーノ
元イタリア代表/37歳
主なクラブ…パルマ、ミラン、フィオレンティーナ
途中出場108試合/15得点
パルマ、ミラン、フィオレンティーナなどでゴールを量産した正統派ストライカー。セリエA通算188得点はアレッサンドロ・デル・ピエロと並び歴代9位の記録だ。2018年にセリエBのスペツィアで現役引退し、今シーズンからセリエCのプロ・ヴェルチェッリで指揮官を務める。
12位 アンセルモ・ロッビアーティ
イタリア/49歳
主なクラブ…フィオレンティーナ
途中出場90試合/15得点
99年まで6シーズン所属したフィオレンティーナを中心にプレー。39歳まで現役を続け、2009年1月にセリエDのフィリーネ(現ヴァルダルノ)でキャリアに終止符を打った。そのまま同クラブで指導者の道を歩み、現在もスクール部門のテクニカル・ディレクターを担っている。
11位 アントニオ・カッサーノ
元イタリア代表/37歳
主なクラブ…ローマ、サンプドリア
途中出場83試合/15得点
天才にして悪童。だが、ピッチ上ではゴールよりもアシストを優先し、利己的ではなく利他的なプレーを披露した。水球イタリア代表選手の妻との間に生まれた二児の良きパパで、今もジェノヴァで生活。パドルテニスやフットサルを満喫する日々を送っている。
10位 マウリツィオ・ガンツ
元イタリア代表/51歳
主なクラブ…サンプドリア、インテル、ミラン
途中出場81試合/15得点
インテルからミランに禁断の移籍を果たし、両クラブのコッパ・イタリアの対戦では古巣インテルを相手にゴールも奪った。ブレッシャではセリエB得点王に。現在はミランの女子チームで監督を務めている。息子のシモーネはセリエCのコモでプレー。
9位 マルコ・ディ・ヴァイオ
元イタリア代表/43歳
主なクラブ…パルマ、ユヴェントス、ボローニャ
途中出場72試合/16得点
ラツィオ下部組織出身で、97-98シーズンに所属したサレルニターナでセリエB得点王に輝く。パルマやユヴェントスのほか、バレンシアやモナコでもプレーし、キャリア晩年にはボローニャで活躍。4シーズンで65ゴールを挙げ、再び花開いた。現役最後はMLS(メジャーリーグサッカー)のモントリオールでプレーした。今夏から、古巣ボローニャでスカウト責任者を務める。
8位 ニコラ・アモルーゾ
イタリア/45歳
主なクラブ…ユヴェントス、レッジーナ
途中出場99試合/17得点
マルチェッロ・リッピ監督が指揮したユヴェントスで切り札役として重宝され、出戻りした01-02シーズンはリーグ戦でこそ得点はなかったものの、コッパ・イタリアで6ゴールを稼ぎ得点王に。セリエAの13チームでプレーし、2009年1月から半年間所属したシエナを除き12チームで得点を記録。2008年まで3シーズン所属したレッジーナではリーグ戦で通算40ゴールをマークし、本拠地レッジョ・カラブリアの名誉市民となった。現在は若手選手の代理人業に従事。
7位 ヴィンチェンツォ・イアクインタ
元イタリア代表/40歳
主なクラブ…ウディネーゼ、ユヴェントス
途中出場87試合/18得点
189センチの長身でありながら、豊富な運動量とスピードも備えていた万能型FWで、ウディネーゼ、ユヴェントス、チェゼーナといずれもビアンコネロ(白黒)をチームカラーとしたクラブでプレーした。2006年ワールドカップではガーナ戦で1ゴールをマークし、4度目の世界制覇に貢献。現役引退後は故郷のカラブリア州を拠点とする犯罪組織ンドランゲタとの関係が取りざたされ、2018年10月には銃器所持により懲役2年の判決を受けた。
6位 ミルコ・ヴチニッチ
元モンテネグロ代表/36歳
主なクラブ…レッチェ、ローマ、ユヴェントス
途中出場80試合/18得点
分裂前のセルビア・モンテネグロリーグで16歳と1日でプロデビューし、モンテネグロ最優秀選手賞7回の栄誉を誇る。レッチェのスカウトをしていたパンタレオ・コルヴィーノに見出され、2000年に同クラブに入団。ローマ、ユヴェントスと渡り歩き、2017年にUAEのアル・ジャジーラで現役を引退。今月20日、脱税によりイタリア財務省に約600万ユーロの資産が差し押さえられた。
5位 フリオ・クルス
元アルゼンチン代表/45歳
主なクラブ…ボローニャ、インテル
途中出場74試合/18得点
バンフィエルド、リーベル・プレート、フェイエノールトを経て、2000年にボローニャに加入。同クラブでの3シーズンで27得点の成績を残してインテルへ移籍すると、宿敵ユヴェントスからはキャリアで通算10ゴールを奪うほどの“ユーヴェ・キラー”として活躍した。貴重な控え役として、数々の監督に頼りにされるだけでなく、ティフォージからも“エル・ハルディネロ(庭師)”の愛称で愛される存在だった。
4位 ヴィンチェンツォ・モンテッラ
元イタリア代表/45歳
主なクラブ…サンプドリア、ローマ
68途中出場試合/18得点
ゴール後のパフォーマンス、“アエロプラニーノ(小型飛行機)”で名を馳せたゴール製造機。エンポリの下部組織出身で、ジェノア、サンプドリア、ローマで活躍。ローマでは中田英寿とともにプレーし、2000-01シーズンのスクデット獲得に尽力した。2013年には、1982年ワールドカップ優勝指揮官のエンツォ・ベアルツォトの名を冠した監督賞を受賞。昨シーズン途中からフィオレンティーナを指揮する。
3位 ジャンパオロ・パッツィーニ
元イタリア代表/35歳☆
主なクラブ…フィオレンティーナ、サンプドリア、ミラン、ヴェローナ
途中出場140試合/19得点
アタランタ下部組織出身のワンタッチゴーラー。“パッツォ(クレイジー)”の愛称で親しまれ、ゴール後には、人差し指と中指をそれぞれ両目の下にあてがうゴールパフォーマンスを披露。これは、フィオレンティーナ時代にチームメイトだったルカ・トー二の耳の周りで手をくるくる回すパフォーマンスに対抗するものとして生まれ、「今のゴール見た!?」ということを意味するもの。サンプドリアでカッサーノとコンビを組んだ09-10シーズンにはセリエAでの自己最多となる19ゴールを記録した。レバンテ時代にはデビュー戦となったレアル・マドリード戦で途中交代からゴールをマーク。昨シーズンはヴェローナで2度目のセリエA昇格に貢献した。今シーズンはここまで2試合と出場機会は少ないが、ベンチスタートからゴールを狙う。
2位 アレッサンドロ・デル・ピエロ
元イタリア代表/45歳
主なクラブ…ユヴェントス
途中出場100試合/19得点
言わずと知れたユヴェントスのバンディエラ。途中出場からの19得点はもちろんすべて同クラブで挙げたもので、単独クラブでのゴール数で今回のランキングに入ったのはペリッシエールと並び2人だけだ。セリエA通算188得点、公式戦290得点、インターナショナルマッチの54得点はいずれもクラブレコード。今年2月にはロサンジェルスを拠点とし、白と黒をチームカラーとするサッカークラブ、“LA10FC”のオーナーとなったことを発表した。
1位 アレッサンドロ・マトリ
元イタリア代表/35歳☆
主なクラブ…カリアリ、ユヴェントス、サッスオーロ
途中出場143試合/25得点
堂々の1位に輝いた“ジョーカー”はマトリだった。ミラン・プリマヴェーラ出身で、2003年5月に黄金時代にあったミランでプロデビューを果たす。09-10シーズンにはマッシミリアーノ・アッレグリが監督を務めたカリアリで13ゴールをマークして一躍脚光を浴びると、2011年冬の移籍市場でユヴェントスに引き抜かれた。ユヴェントスでは69試合で27ゴールを記録。2013年冬には恩師アッレグリが指揮するミランに出戻ったが、目立った成績は残せず、それからフィオレンティーナ、ジェノア、ユヴェントス、ラツィオとレンタルで渡り歩き、2016年夏にサッスオーロに完全移籍した。今夏にはセリエA昇格を果たしたブレシアにレンタル移籍し、これまで7試合に途中出場しているが、まだネットを揺らすことはできていない。幼少期には自転車競技にも情熱を捧げ、いくつもの大会で優勝するほどの実力の持ち主だった。妻は人気モデルのフェデリカ・ナルジ。今年3月に第二子が誕生した。
文=佐藤徳和/Norikazu Sato
写真=Getty Images
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