[サッカーキング No.012(2020年4・5月合併号)掲載]
せっかくカルチョを特集するのだから、セリエAの全20クラブを取り上げたい! そんな編集部からの無茶振りに、“いつもの”3人衆が応えてくれました。
【登場人物】
北川義隆/フリーアナウンサー(中央)
DAZNでセリエAの実況を担当。現地の情報や選手の小ネタを含んだ“雑談実況”がセリエファンの人気を集める。生粋のロマニスタで、ローマに1999年から10年間移住した。
伊東聡志/元サッカーキング統括編集長(右)
三浦知良の影響で、高校卒業後にイタリアへ留学。帰国後はサッカー番組の制作やWebサイト、雑誌編集に携わる。推しはフィオレンティーナ。今回は02-03シーズンのユニで登場。
細江克弥/サッカーライター(左)
サッカー専門誌の編集部を経て2009年に独立。インタビューや記事執筆だけでなく、雑誌や書籍の編集、企画&構成なども手がける。公にはしていないが心のクラブはユヴェントス。
伊東(以下I)――えっとですね、皆さん。今回は「セリエAの20クラブについて、おもしろおかしく自由に話してください」という編集部からのオーダーでして。
北川(以下K)――20クラブ! かー!
細江(以下H)――原稿書くの誰ですか?
I――細江さんです。
H――かー!
K――こりゃ大変だ。
I――というわけで、時間ないからどんどんやりましょう! アルファベット順!
H――オッケーです。
K――やりましょう!
>>第1話(アタランタ/ボローニャ/ブレシア/カリアリ/フィオレンティーナ)
GENOA ジェノア/17位
日本人観光客は
「ジェノヴェーゼ」に注意
H――個人的にはイタリアで一番熱いと思っているジェノヴァ・ダービーを争う2チーム、ジェノアとサンプドリアがセリエBに落ちちゃうのは、ちょっとイヤですね~。
I――大ピンチですもんね。2チームとも。
K――あ、そうそう、カルチョファンならジェノヴァの街に足を運ぶ機会もあると思うんですけれど、パスタの“ ジェノヴェーゼ”を食べたいと思ったら気をつけてくださいね。「ジェノヴェーゼ」と注文したら、日本人がイメージする緑色のアレとはまったく違うものが出てきますよ。実は、あのパスタの名前は「ペスト・ジェノヴェーゼ」なんです。パスタの「ジェノヴェーゼ」は赤いんです。これはみんな間違えるので、注意してください。
H――(検索中……)ホントだ! これは知らなかった!
INTER インテル/3位
インテルは本当に
PIRELLIを失っていいの?
H――いやいや、今シーズンは本当に、インテルのおかげでめちゃくちゃおもしろくなっているので、最後までユーヴェ、ラツィオとスクデット争いをしてほしいと思うんですけど。
I――細江さんはいつも言ってますけど、やっぱり“プランB”がカギですか?
H――だと思います。前半戦のスタイル“構えて守ってカウンター”は完全に研究されまくっているので、クリスティアン・エリクセンを加えた“プランB”がどれくらい機能するか。そこに懸かっている気がするんですよね。延期になったイタリア・ダービーがいつ開催されるのかが重要になってくる(編集部注:3月8日に開催され、0-2で敗戦)。
K――インテルはねえ、もちろん優勝争いも気になるところではあるんですが、やっぱり僕は、来シーズンいっぱいで「PIRELLI」との胸スポンサー契約が終了してしまうことが、どうしても納得できなくて。
I――納得できない(笑)。
H――気持ちは何となく分かります(笑)。
K――だって、ほかのクラブはコロコロと胸スポンサーが変わっていますけれど、インテルだけは確か1994年からずっと「PIRELLI」ですからね。もちろんイタリアの企業であることもそうですけれど、それ以外にないって感じで、完全に定着しているものを変えるってのはちょっと……。やっぱり「PIRELLI」ですよ。絶対。あの文字でないと。
I――でも、それってPIRELLI側ではなくクラブの問題ですよね。
K――多分そうです。だから、もしかしたら中国企業のロゴが入るかもしれません。となると漢字。ヒエー。もちろんこれは差別的な意味ではなく、「インテルは変わらないでほしい」という願望なんですけれどね。
I――その気持ち、セリエAファンなら誰もが分かるでしょうね。インテルは「PIRELLI」。それが終わっちゃうなんて、確かに残念だなあ。
JUVENTUS ユヴェントス/1位
どうなるサッリ・ユーヴェ!
解任ならアッレグリ再登板?
I――今シーズンのユーヴェは、ちょっと苦しそうですよね。
H――間違いない。監督交代の難しさはもちろんですけど、やっぱりちょっと、「らしくないな」と思わされることが多くて。
I――僕は、マッシミリアーノ・アッレグリ前監督が復帰すると見ているんですけど。
K――実は、最近になって仕事し始めたんですよ、あの人。イタリア“国外”のメディアのインタビューに答えたりして。動き始めてるんです。ちなみに、マネージャーを務めているのはあのマルチェロ・リッピ元イタリア代表監督の息子ダヴィデなんですけれど、昨年に自叙伝を出してから表に出てこなかったんです。ところが、年明けくらいから急に動き始めた。
H――アピール?
K――でしょうね。僕はユーヴェには戻らないと思いますよ。でも確かに、マウリツィオ・サッリ監督はもう厳しい。だって、今シーズンのユーヴェは選手個々の能力で勝っているだけですから。それじゃあ監督がサッリである意味がないでしょ?
H――そこなんですよね。でも、サッリのサッカーをチームに落とす込むことが簡単じゃないなんて、最初から分かっていたと思うんです……。フロントの計算違いとしては、あまりにも初歩的というか。
I――そうそう、だからこそ、手っ取り早くCL優勝を狙うなら、やっぱりアッレグリさんがいい気がして。
K――アッレグリさん自身がどう考えているかでしょうね。まあ、ユーヴェは1970年以降、監督はディディエ・デシャン以外すべてイタリア人という伝統がありますから。監督が替わるにしても、間違いなくイタリア人になると思います。
I――デシャンもイタリア人みたいなものですからね。長くユーヴェでプレーしていたし。
K――はい。で、唯一候補として考えられる外国人監督がマウリシオ・ポチェッティーノなんです。彼の祖父母はまだトリノに住んでいて、ルーツがこの街にありますから。
H――イタリア人ならシモーネ・インザーギ。
K――もしラツィオが優勝したら、選手も出ていくでしょうからね。そうなると、シモーネも次のステップを踏みやすい。ラツィオが優勝したら、シモーネのユーヴェ就任は一気に加速するかもしれませんね。
I――ラツィアーレとしては複雑(笑)。優勝してほしいけれど、優勝したらみんないなくなっちゃうみたいな。
H――それでもほしいだろうなあ、スクデット(笑)。
LAZIO ラツィオ/2位
“オリンピコ以北”騒然!
最もスクデットに近いチーム
K――これはもう、優勝するかもしれませんね。僕の予想どおり。
I――インテル戦(第24節)も会心の試合でした。
H――ローマ市民の雰囲気というか、心境はどんな感じなんでしょう?
K――いやあ、当たり前ですけれど、ラツィアーレは盛り上がっているし、ロマニスタは忸怩たる思いがありますよね。ちょうどスタディオ・オリンピコを基準として、北側にラツィアーレ、南側にロマニスタが多いんですよ。ただ、最近は分からないですけれど、ラツィオの選手たちでもよくヴァチカンの近く(オリンピコより南側)までご飯を食べにきていましたね。僕もよく行っていたダルトスカーノというレストラン。そこはあのハリウッドスターのショーン・コネリーもよく来るんですけれど、ロベルト・マンチーニ(現イタリア代表監督)やセルジオ・クラニョッティ元会長も御用達だったみたいで。
I――おもしろい(笑)。ちなみに、市長選挙で候補者がラツィアーレなのか、ロマニスタなのかによって、票の動きが変わったりしますよね?
H――今の市長って……。
K――“美しすぎる市長”として有名なヴィルジニア・ラッジさん。最初はなかなかラツィオの会合に参加しなかったみたいですよ。というのも、ラッジ市長はあのフランチェスコ・トッティと同じ中学校の後輩なんです。確か、トッティが2つ年上なのかな。そういうプロフィールが支持率に影響したかは分からないですけれど。
H――もろに影響しそう(笑)。
I――優勝しますかね、ラツィオ。
H――可能性としては十分ですよね。ユーヴェはイマイチだし、インテルは後半戦に入って苦しんでいるし、そういう意味で「順調」と言えるのはラツィオだけ。選手層の薄さが指摘されてきたけど、シモーネ・インザーギの手腕によっていつの間にかバックアッパーが急成長しちゃって、すっかり戦力が整っちゃってますから。
K――特にセリエAの場合、終盤になるほど下位のチームがガチガチに守るので、そこで取りこぼさないチームが優勝するでしょうね。ユーヴェはやらかしちゃう気がするんだよなあ。そうなると、やっぱりラツィオが優勝しそうな気がします。
LECCE レッチェ/18位
“大物食い”の暴れ馬
指揮官の評価急上昇中
H――ここに来て、レッチェはちょっとした旋風を巻き起こしていますよね。おもしろいサッカーをしている。
K――ファビオ・リヴェラーニ監督が2019年のセリエB監督賞「パンキーナ・ダルジェント」を受賞しましたよね。セリエA監督賞の「パンキーナ・ドーロ」はガスペリーニさんが受賞して、そのガスペリーニさんはリヴェラーニに投票したみたいです。
I――下位クラブで監督を替えていないのはレッチェだけですからね。
K――しかも、今シーズンのレッチェは“大物食い”。ユーヴェとインテルにドロー。ナポリには勝ってますから。ちなみにレッチェは、南部の街にしてはとても裕福なところなんですよ。
H――どうしてもズデネク・ゼーマン時代を思い出しますよね。ヴァレリ・ボジノフ、ハビエル・チェバントン、ミルコ・ヴチニッチ……。カッコ良かったなあ。
K――南イタリアのチームは残ってほしいですよねえ。カルチョらしさの象徴なんだから。
文=細江克弥
写真=須田康暉、ゲッティイメージズ
※この記事はサッカーキング No.012(2020年4・5月合併号)に掲載された記事を再編集したものです。そのほかのクラブも順次公開していきます。お楽しみに!
第1話:アタランタ/ボローニャ/ブレシア/カリアリ/フィオレンティーナ
6月19日(金)公開予定:ミラン/ナポリ/パルマ/ローマ/サンプドリア
6月20日(土)公開予定:サッスオーロ/スパル/トリノ/ウディネーゼ/ヴェローナ
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By 細江克弥