『ローレウス世界スポーツ賞2022』が発表　レヴァンドフスキやイタリア代表が受賞

　世界40カ国以上でスポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいるローレウスは24日、『ローレウス世界スポーツ賞2022』全13部門の受賞者を発表した。

　2021年のスポーツシーンにおいて最も優れた功績を残した個人や団体の表彰のほか、スポーツ界を超えて様々な問題や対立に力強いインパクトをもたらしたアスリートらのメッセージも紹介された。

　日本からは堀米雄斗、西矢椛が最優秀アクションスポーツ選手部門、国枝慎吾が最優秀障害者選手部門、NPO法人モンキーマジックがスポーツ・フォー・グッド部門にノミネートされていたが、受賞には至らなかった。

　サッカー関連では、ユーロ2020を制したサッカー男子イタリア代表、ゲルト・ミュラーが持つブンデスリーガのシーズン最多得点記録を更新したロベルト・レヴァンドフスキ、子どもたちの生活支援を行ってきたレアル・マドリード財団、ドイツサッカー界における黒人選手たちの境遇を描いたドキュメンタリー映画『Schwarze Adler』に出演したゲラルド・アサモアが各賞を受賞している。

　ローレウスは、リシュモンとダイムラーにより設立され、現在はグローバル・パートナーであるメルセデス・ベンツ、IWCシャフハウゼン、三菱UFJフィナンシャル・グループにより支援されている。

　全13部門受賞者のリリースは以下の通り。

■ローレウス年間最優秀男子選手賞：マックス・フェルスタッペン（F1・オランダ）

F1チャンピオンを7度獲得している絶対王者ルイス・ハミルトンとスポーツ史に残る名勝負を繰り広げ、弱冠24歳で自身初F1チャンピオンに輝き、新F1王者となったことが評価され受賞にいたりました。

＜マックス・フェルスタッペン 受賞コメント＞
「とても嬉しいです。多くのハードワークを重ね、長い年月をかけて準備してきた結果ですので、我ながらとても誇らしく思います。幼いころから、優勝をし、表彰台の一番上に立つのが夢でした。父（元F1 ドライバーのヨス・フェルスタッペン氏）には、『やったぞ。このために何年も努力してきた結果、今、 僕ら2人でここまで来た。僕らはやり遂げたんだ』と伝えました。私はオランダ人ドライバーとして初めて世界選手権を制覇しました。オランダでのメディアの反応は驚くほどで、一生忘れることができません。 世界最高峰の賞、ローレウス世界スポーツ賞に選ばれることにはとても大きな意味があります。とても幸せです」

■ローレウス年間最優秀女子選手賞：エレイン・トンプソン＝ヘラ（陸上・ジャマイカ）

同じジャマイカ出身のウサイン・ボルト氏の三冠記録に並び、東京オリンピック100m、200m、4×100mリレーで金メダルを獲得したことが評価され、ローレウス賞の初受賞を果たしました。

＜エレイン・トンプソン＝ヘラ 受賞コメント＞
「ボルト氏が以前ローレウス賞を受賞していることは知っており、このトロフィーをカリブ海、それも ジャマイカに持ち帰ることは、とても特別なことです。あのレース（東京オリンピック100m）は、もう1000回くらい見ています。とても誇らしく感じています。ただ、過去に留まっているわけにはいきません。非常に特別な出来事ではありましたが、もうそれは思い出として置き、私は次へ目を向けています。より速くなることが私のモチベーションなので、トレーニングを続けていき、最高の女性スプリンターになるという夢に向かって集中しています」

■ローレウス年間最優秀チーム賞：サッカー男子イタリア代表（サッカー・イタリア）

ロベルト・マンチーニ監督の下、ジョルジョ・キエッリーニがキャプテンを務めるイタリア代表は、 イングランドとPK戦の末、チーム史上2度目となる欧州選手権優勝を果たしました。欧州選手権を制覇 するまで34試合連続の無敗記録、ボヌッチ、ドンナルンマ、スピナッツォーラ、ジョルジーニョ、キエーザの5選手が、大会ベストイレブンに選出されました。2006年に続き2度目の受賞となります。

■ローレウス年間最優秀成長選手賞：エマ・ラドゥカヌ（テニス・イギリス）

18歳にして、史上初めて予選から勝ち上がった全米オープン女王となり、世界を驚かせました。トーナメントでは、1度もセットを落とすことなくタイトル獲得という偉業を成し遂げました。338位であった世界ランキングも一気に23位までランクアップしました。

■ローレウス年間最優秀復活選手賞：スカイ・ブラウン（スケートボード・イギリス）

2020年6月、練習中に頭から転倒し、頭蓋骨と左手首などの骨折という大けがを負いました。病院に運ばれたときには意識がなかったという重傷ながら、東京オリンピックに出場できるまでに回復。見事女子 スケートボード パークで3位となり、13歳28日という若さで、銅メダルを獲得。イギリス史上最年少 メダリストとなりました。

■ローレウス年間最優秀障害者選手賞：マルセル・フグ（車いす陸上・スイス）

東京オリンピック車いす陸上800m、1,500m、5,000m、そしてマラソンで自身初となる4個の金メダルを獲得。1,500mでは世界記録、5,000mではパラリンピック記録を樹立し、ローレウス年間 最優秀障害者選手賞2度目の受賞にいたりました。

■ローレウス年間最優秀アクションスポーツ選手賞：ベサニー・シュリーバー（BMX・イギリス）

オリンピックと世界選手権の両方でBMX金メダルを獲得するという女子選手初の快挙を達成し、歴史を作り ました。保育施設でアシスタントとして働く、22歳のシュリーバーは、イギリスのスポーツ省がBMXの 強化費用を男子チームにのみ支給すると決めたため、必要資金を自らクラウドファンディングで集め、 ようやく五輪出場を叶えました。

■ローレウス生涯功労賞：トム・ブレイディ（アメリカン・フットボール・アメリカ）

史上最高のクォーターバックと称えられ、その素晴らしいキャリアが認められました。10度目の出場となる2021年スーパーボウルで、チームを優勝に導き、自身7度目のスーパーボウル優勝を達成しました。これで2000年代、2010年代、2020年代のそれぞれでスーパーボウル優勝を果たした唯一のクォーターバックと なりました。43歳にしてスーパーボウル最年長MVPに選出されました。
＜トム・ブレイディ 受賞コメント＞
「私はアメリカンフットボールというスポーツを31年プレーしてきました。人生にこれほどの思い出深い 瞬間をもたらしてくれた、このスポーツを愛することができて本当に幸運でした。ローレウス賞は、 ネルソン・マンデラ氏が『スポーツには世界を変える力がある』と語った2000年に創設されましたが、私もまったく同じ思いを持っています。スポーツは国境、人種、宗教、民族を超えるのです。多くの人々をポジティブな形で一つにします。スポーツは、個人の能力を最大限に引き出してくれると私は考えています。 ペレ氏は2000年にこの賞を受賞しました。昨年は、ビリー・ジーン・キング氏が選出されました。私が本当に尊敬している方々です。心から感謝いたします。今夜この賞を受賞できたことを、大変光栄に思います」

■ローレウス・アカデミー偉業達成賞：ロベルト・レヴァンドフスキ（サッカー・ポーランド）

バイエルン・ミュンヘン（ドイツ）でプレーするレヴァンドフスキは、2021年5月、2020/21シーズン最終節の試合時間残り僅か数分というところで、ゴールを決め、ブンデスリーガ41得点目を記録しました。
1971/72シーズンにゲルト・ミュラーが打ち立てた1シーズン40得点というリーグ記録を更新した功績が評価をされました。
＜ロベルト・レヴァンドフスキ 受賞コメント＞
「この賞をいただき、ローレウス・アカデミーの皆様に感謝いたします。世界中のスポーツ界の素晴らしい人々、アスリート、レジェンドたちに認められ、評価していただけたことは、非常に大きな意味があります。 アスリートとして、一人の人間として、本当に特別な意義を感じます。プロスポーツはただ楽しいだけではなく、大きな情熱と喜びをもたらしてくれるものです。そして、成功には責任が伴います。ネルソン・マンデラ氏は『スポーツには世界を変える力がある』と言いました。特に、ウクライナで罪のない人々が命を落としている今、このメッセージを思い出し、声をあげましょう。平和なくして、スポーツは存在しません」

■ローレウス・スポーツ・アイコン賞：バレンティーノ・ロッシ（オートバイ・イタリア）

世界選手権で9度優勝、115勝を記録、表彰台に235回登壇と、数多くの記録を残し、2021年のMotoGP シーズンを最後に引退しました。125cc、250cc、500ccとMotoGPの全クラスで世界チャンピオンとなった唯一のライダーです。2006年のローレウス・スピリット・オブ・スポーツ賞、2011年のローレウス年間 最優秀復活選手賞に続き、3度目のローレウス世界スポーツ賞の受賞となります。

＜バレンティーノ・ロッシ 受賞コメント＞
「この賞は、スポーツ界のレジェンドたちに表彰していただけるため、格別です。2006年のバルセロナ（での授賞式）は、憧れの人々に合うことができ、素晴らしい体験でした。ローレウス・アカデミーの皆様にはこれまでに2度、賞をいただいています。今回の受賞も皆様に感謝しなければいけません。本当に素晴らしいことです。キャリアにおいて多くの業績を成し遂げられたことは、幸運だったと思っています。勝つことはもちろん重要なことです。しかし、一番重要なことは、私をきっかけとし、多くの人がMotoGPを知り、モーターサイクルレースに興味を持ってくれることです。MotoGPは私が愛するスポーツであり、それを 誇りに思っています」

■ローレウス・スポーツ・フォー・グッド・ソサエティ賞：レアル・マドリード財団（スペイン）

1997年に設立されたレアル・マドリード財団は、教育、統合、相互協力を通し、スポーツによって100カ国以上の子どもたちを主とする150万人の生活を向上させてきました。スポーツを通じた青少年の育成を推進するため、設立以来、数多くのサッカーやバスケットボールのコーチを養成し、今回、ローレウス・スポーツ・フォー・グッド・ソサエティ賞の栄誉に輝きました。

■ローレウス・スポーツ・フォー・グッド賞：Lost Boyz Inc.（アメリカ）

Lost Boyz Inc.は、アメリカ・シカゴで、野球の練習をベースにサウス・ショアのコミュニティにおける暴力を減らし、社会の状況を改善し、若者に経済や勉学の機会を提供していることが評価をされ、ローレウス・スポーツ・フォーグッド賞を受賞いたしました。

■ローレウス年間アスリート支援者賞：ゲーラルド・アサモア、ブラックイーグルス（ドイツ）

ドイツのサッカークラブ シャルケ04でプレーした元サッカー選手のアサモア氏は、人種差別と闘う活動家としても知られ、ドイツサッカー界における黒人選手たちの境遇を描いた2021年公開のドキュメンタリー映画『Schwarze Adler』（ブラックイーグルス）に出演したサッカー選手の1人です。