ヴァスコ・ダ・ガマに所属するヤーゴ・ピカチュウ [写真]=Getty Images
今年6月のFIFAワールドカップで4大会ぶり6度目の頂点を目指すブラジル代表。チッチ監督はすでにチームの大枠を固めているが、そこにある選手を“推薦”する声がある。そのある選手とはブラジル全国選手権1部のヴァスコ・ダ・ガマに所属するヤーゴ・ピカチュウだ。
まずヤーゴ・ピカチュウという名前に引っかかる人も多いことだろう。そもそもブラジル人の名前は長いため、登録名は短縮されたもの、あるいはニックネームを用いることが一般的である。サッカーの王様ペレの本名はエドソン・アランテス・ド・ナシメント。かつて日本代表を率いたジーコの本名はアルトゥール・アントゥネス・コインブラだ。
ヤーゴ・ピカチュウの本名はグライビソン・ヤーゴ・ソウザ・リスボア。『ポケットモンスター』に登場するピカチュウと同様、小さくてすばしっこい動きをすることが由来で、幼少期に在籍していたトゥナ・ルソのコーチがこの名前を授けたと言われている。
ヤーゴ・ピカチュウはトゥナ・ルソを経て、2005年にパイサンドゥへ移籍。2012年にはトップチームに昇格し、通算4シーズンで62得点40アシストを記録した。この数字を見て「ポジションはFWかな?」と普通は想像するが、本職はなんと右サイドバック。前への推進力と正確なキックが武器で、得意の直接FKで幾度となくゴールネットを揺らしてきた。
2016年にリオ・デ・ジャネイロ州の名門クラブ、ヴァスコへステップアップ移籍。新天地では主に2列目の右サイドを務め、加入初年度から自らの地位を確立した。そして今月1日に行なわれたリオ・デ・ジャネイロ州選手権決勝第1戦では、2得点をマークする活躍でボタフォゴ撃破に大きく貢献。これを受けてヴァスコサポーターによる「ヤーゴ・ピカチュウをブラジル代表へ!」運動が加熱し、SNS上ではブラジル代表のユニフォームを着用したヤーゴ・ピカチュウの写真が拡散され、“本家ピカチュウ”が人気ゲームソフト『FIFA18』で選手カード化された画像なども出回った。
SEGURA QUE O MENINO ⚡️ TÁ DEMAIS! O app Vasco da Gama Live pegou de pertinho os 2 gols do @YagoPikachu02! ⚽️💢⚽️ pic.twitter.com/nW3fCteRmE
— Vasco da Gama (@VascodaGama) 2018年4月1日
ブラジル代表の右サイドにはダニエウ・アウヴェス(パリ・サンジェルマン)が君臨しており、ダニーロ(マンチェスター・C)やファグネル(コリンチャンス)といった選手たちも虎視眈々とポジションを狙っている。現実問題として今のブラジル代表に割って入ることは難しい状態だが、ヤーゴ・ピカチュウは1992年生まれの25歳。まだまだチャンスは十分に残されている。ヴァスコでさらなる活躍を見せればブラジル代表初選出、そして欧州移籍の道も切り開けてくるかもしれない。そしていずれはポケモン発祥の地である日本でも、ぜひそのプレーを見てみたいものである。
By 三島大輔
サッカーキング編集部