U-17日本代表と対戦するU-17アルゼンチン代表 [写真]=Getty Images
インドネシアで開催されているU-17ワールドカップでU-17日本代表は好スタートを切った。初戦に勝利した彼らは14日、サッカー大国アルゼンチンと相まみえる。それでは、日本の前に立ちはだかるU-17アルゼンチン代表の戦力を見てみよう。
U-17日本代表は、11日に行われたポーランド戦で苦しみながらも途中出場のFW高岡伶颯(日章学園高)の豪快な一発で1-0の勝利をもぎ取った。幸先良いスタートを切った日本だが、まったくもって安心できない。それほど彼らの入ったD組は“死のグループ”なのだ。ポーランド戦後に、日本を率いる森山佳郎監督は「FIFAランク1位のアルゼンチンを、何とか叩き潰して2勝目を挙げたい!」と力強く語ったが、その言葉通り次の相手はA代表が昨年のワールドカップを制してFIFAランク1位に君臨するアルゼンチンだ。そして第3戦ではアフリカ王者のU-17セネガル代表も待ち構えている。
まずはアルゼンチンである。今大会のU-17アルゼンチン代表は、初戦でセネガルに1-2で敗れて後がなくなっており、死に物狂いで日本に襲い掛かってくるだろう。初戦では、15歳にして既にセネガルのA代表でもデビューを果たしているFWアマラ・ディウフという圧倒的なタレントに2ゴールを許して黒星スタートとなった。ゲームを支配する時間は長かったが、今大会最注目の15歳の前に屈したのである。とはいえ、もちろんアルゼンチンにだって輝かしい才能がいる。彼らには“アイマールの再来”や“若きメッシ”がいるのである。
チームを率いるのは、往年のサッカーファンにとって懐かしい名前であるディエゴ・プラセンテ(46歳)だ。現役時代には長い髪を結んで左サイドを疾走したディフェンダーで、レヴァークーゼンでの活躍が有名だ。2001-02シーズンに、ブンデスリーガ、DFBポカール、UEFAチャンピオンズリーグの3つの大会で2位となり“ネバークーゼン”と呼ばれたチームの主力だった。引退後には指導者の道に進み、前回の2019年U-17ワールドカップではパブロ・アイマール当時監督のアシスタントとして大会に参加していた。
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■クラウディオ・エチェベリ
そんなプラセンテ監督が率いる今回のチームには絶対的なエースがいる。それが背番号10を背負い、腕章を巻くMFクラウディオ・エチェベリである。名門リーベルプレートの下部組織で育った彼は“アイマールの再来”と呼ばれ、同クラブの大先輩と比較される才能だ。今大会の予選を兼ねていた今年4月のU-17南米選手権では大会最多5ゴールに加えて3アシスト。チームの全15ゴールのうち半数以上に絡む圧倒的な活躍を見せた。
171㎝のプレーメーカーは、細かい足技はもちろん、一瞬で抜き去るドリブル、そして正確無比の右足を有しており、何もないところからチャンスを生み出してしまう。リーベルでは今年6月にトップチームデビューを果たし、デビュー戦でいきなりアシストまで記録した。A代表のリオネル・スカローニ監督からも注目されるタレントで、今年3月には正式な招集ではないがA代表の練習にも参加し、アンヘル・ディ・マリアに「才能ある」と言わしめた。英紙『The Guardian』が10月に発表した「世界の若き才能60名」にも日本のFW名和田我空などと一緒に選出されている。
■バレンティノ・アクーニャ
エチェベリが“アイマールの再来”なら、次のメッシは背番号17のMFバレンティノ・アクーニャだ。いや、むしろ“メッシそのもの”と言っても過言ではない! 左ウィングを務めることが多いアクーニャは“メッシ役”を任されたことがあるのだ。メッシの古巣ニューウェルズ・オールドボーイズに所属する彼は左利きのテクニシャンで、子供の頃に“メッシ役”として映画に出演しているのだ。
2014年に制作された映画『MESSI』(メッシ 頂点への軌跡)で、メッシの生い立ちを再現するシーンがあった。メッシ役には、ちゃんとした子役が選ばれたが、サッカーシーンでは左利きのメッシのような動きができる子供が必要だった。そのため制作陣は300人以上もの子供をリサーチしたあと、アクーニャにたどり着いたという。大役を任されたアクーニャは、顔こそ映らなかったが、見事な身のこなしやボールさばきでメッシを再現したという!
■強力な前線
右サイドのFWサンティアゴ・ロペスも注目選手だ。スピードを活かした縦への突破が魅力のアタッカーは、今年7月に所属するインデペンディエンテでリーグ戦デビューを果たし、その後も定期的にベンチ入りしている。
前線には185㎝のFWアグスティン・ルベルトが君臨する。U-17南米予選で4ゴールを奪ったアタッカーは、空中戦にも強く、両足で強いシューを放てる危険なアタッカーだ。リーベルプレートの下部組織に入団した頃はDFだったが、抜群のフィジカルを買われて前線で起用されるようになった。そして今はポーランドのFWロベルト・レヴァンドフスキを目標に何でもできるストライカーを目指している。
一方で、今大会には選ばれなかった逸材もいる。17歳のFWジャンルカ・プレスティアーニは、既にベレス・サルスフィエルドのトップチームでレギュラーとして試合に出ており、同世代では極めて稀な才能だ。しかしクラブチームでの活動があったため、プラセンテ監督は「事前合宿に呼べなかった。チームの和を考えて」招集を見送ったという。
いずれにせよ、今回のアルゼンチンが目指すのは頂点だ。A代表は昨年のカタール大会を含めてワールドカップを3度制覇している。U-20ワールドカップに至っては歴代最多となる6度の優勝を誇る。しかし、U-17ワールドカップでは一度もタイトルを獲れていないどころか、決勝の舞台にも立てていない。だからこそ、キャプテンのMFエチェベリは「監督に言われた。アルゼンチンに足りないのはU-17ワールドカップのタイトルだけだってね。その夢を叶えたいんだ。もちろん、楽しむことも忘れない」と強い決意で今大会を戦っている。
果たしてU-17日本代表は、タレント揃いのU-17アルゼンチン代表を封じて、2連勝スタートを切れるのか? 注目の一戦は今夜9時(日本時間)にキックオフだ。
(記事/Footmedia)
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