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アルゼンチン名門でブレイク中の31歳が刑務所での日々を語る 「生命の危険を感じた」

2024.02.29

アドリアン・マルティネス(写真は2023年インスティトゥートACコルドバ所属時のもの)[写真]=Getty Images

 アルゼンチンメディアの『オレ』は27日、同国1部リーグ名門ラシン・クラブでブレイク中のアルゼンチン人FWアドリアン・マルティネスが過酷な過去を乗り越えた体験を語るインタビュー記事を掲載した。

 1992年生まれで現在31歳のマルティネスは、10代後半の頃ゴミ収集人やレンガ職人として働いていたが、バイク事故でそれらの職を失った。そして2014年、マルティネスが22歳の時に悲劇が起こる。兄(弟)が射殺され、更にその後、マルティネスは襲撃犯の自宅を放火し強盗をした疑いで逮捕され、刑務所に入ることになった。

 だが、捜査の結果マルティネスの無実が確認され、6ヶ月後に釈放されたマルティネスはアルゼンチンの下部リーグのチームのトライアウトに参加し、無給という条件で23歳にして初めてクラブと契約。その後、アルゼンチンの下部リーグやパラグアイ1部クラブなどで実績を残し、2023年にアルゼンチンのインスティトゥートACコルドバにフリー移籍した。そこで公式戦41試合に出場し18ゴールを挙げた実績が評価され、2024年にアルゼンチンの名門ラシンに加入した。

 そんなマルティネスは24日に行われた、ラシンのホームスタジアムと約300メートルの距離に本拠地を構える「隣人」インデペンディエンテとのクラシコで決勝ゴールを決めるなど、今シーズンこれまで7試合6ゴールを挙げアルゼンチンで話題の人物となっている。

 マルティネスは、『オレ』に刑務所での日々を問われると「朝7時に南京錠が開けられる。そこで必ず目を覚まさないといけない。さもなければ、他の人たちがスキを突いてモノを盗んでくるんだ」、「生命の危険を感じたことは何度かある。メッタ刺しにされ殺される寸前だった。電話の使い方でもめ事になり、ほうきに刃物をつけたもので攻撃された(中略)。人が殺されるのを目撃した。刑務所では人が簡単に殺されてしまうんだ」など過酷な日々を語った。

 そして、昨シーズンに母国に復帰し、実績を残しながらも無名であったために、今シーズンのラシン加入時、マルティネスが周りから冷たい目で見られていたことを『オレ』に指摘された同選手は「そのことに気づいていた。有名選手だったら大きな期待をかけられるけどね。自分は新しいクラブに加入するときに『どうなるか見てみよう』と考えるんだ。うまくいけばいいけど、そうでないこともある。皆が自分に大きな期待をかけているかわからない。けど、自分はこの状況を負担に感じていないよ」と語り、母国での注目が急上昇している状況に落ち着いて対応していると語った。

By サッカーキング編集部

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