ブンデスがいよいよ再開…最高峰に臨む日本人選手の前半戦振り返り

ブンデスリーガ日本人選手

後半戦に臨むブンデスリーガ所属の日本人選手 [写真]=Getty Images

 ワールドカップ・イヤーを迎え、ブンデスリーガがついに再開される。

 約1カ月に及ぶウインターブレイクを終え、ちょうど後半戦のスタートにあたる第18節が、24日から開催。ヨーロッパを席巻する絶対王者を中心に、シルバーに輝く優勝皿“マイスターシャーレ”をかけた争いが再び幕を開ける。

 今シーズン、首位でウインターブレイクを迎える“冬の王者”に就いたクラブは、昨シーズンにドイツ初の3冠に輝いたバイエルン。クラブ・ワールドカップに出場した影響から1試合消化は少ないが、既に2位と勝ち点7差と、早くも独走状態を築いている。優勝争いの焦点は、“進撃の巨人”という言葉が相応しい、絶対王者を止めるクラブが現れるかどうかの一点に注がれる。

 また、ブンデスリーガには、ヨーロッパの各国リーグでも最多となる8人の日本人選手が所属。もはや、日本人対決も珍しくないほど、日本人選手の評価は高い。

 その中で苦しんでいるのが、長谷部誠と清武弘嗣。所属するニュルンベルクは、18チーム中、開幕から唯一白星がなく、降格圏の17位に低迷している。ともに中心選手であるが、長谷部は冬季合宿中で負傷して、長期離脱を強いられることになった。前半戦は勝ち点を伸ばせなかっただけに、仕切り直しとなる後半戦のスタートでの躓きは許されない。勝ち切れない試合が多かっただけに、攻撃の中心となる清武がどこまでチームをけん引できるかに、ニュルンベルクの命運がかかってくる。

 反対に前半戦で大きな躍進を遂げたのは、マインツの岡崎慎司とヘルタ・ベルリンの細貝萌だった。ともに今シーズンから新天地に戦いの場を移したことが、功を奏した格好だ。岡崎はFWで起用されると、得点力が爆発。前半戦だけで、ドイツでの自己記録を更新する8ゴールを挙げた。細貝も、6位につけるヘルタで奮闘。岡崎同様、本職であるボランチで常時出場することによって、昇格チームの上位進出をしっかりと支えている。

 ドイツ4シーズン目となったシャルケの内田篤人と、移籍丸2年を迎えたシュトゥットガルトの酒井高徳は、着実に自身の地位を確立している。内田は、チームでけが人が続出する中、17試合中15試合でフル出場。試合中に声を張り上げる姿も見られ、ドイツきっての名門で、押しも押されぬ中心選手となった。酒井高徳も浮沈みの激しいチームで、安定したプレーを披露。開幕3連敗スタートや監督交代があったにも関わらず、起用され続けていることが、信頼の証明と言えるはずだ。

 対照的な前半戦を過ごしたのは、フランクフルトの乾貴士とハノーファーの酒井宏樹だ。乾は昨シーズン、昇格組ながら6位に食い込んだフランクフルト躍進の象徴だった。ところが、今シーズンは出場機会が激減した。チームも下位に低迷するが、後半戦で昨シーズン同様、浮上の原動力になれるかに注目が集まる。一方、酒井宏樹は出場機会に恵まれなかった昨シーズンとは打って変わり、飛躍の前半戦となった。16試合に先発出場し、第11節には周囲の度肝を抜くミドルシュートでドイツでの初ゴールも記録した。キャプテンのスティーヴ・チェルンドロが負傷から復帰する後半戦でも、ポジションを守れれば更なる成長も見込まれる。

 昨シーズンのチャンピオンズリーグ決勝では、バイエルンとドルトムントが激突。名実ともに、ブンデスリーガがヨーロッパサッカーの中心に躍り出たと言っていい。各クラブがしのぎを削る最高峰の舞台に臨む日本人選手達の戦いとともに、サッカー界の新たな時流を生み出す争いは必見である。

 ブンデスリーガに所属する日本人選手の前半戦成績は以下のとおり。

■内田篤人(シャルケ)
15試合/0得点・3アシスト
ブンデス4年目となった今季も安定したパフォーマンスを披露。負傷欠場した2試合を除く全試合でフル出場した。第8節のアウクスブルク戦では2アシストを記録し、英メディア選定の欧州ベストイレブンに名を連ねている。

■乾 貴士(フランクフルト)
11試合/0得点・0アシスト
リーグ戦33試合で6G8Aを記録し、大躍進の原動力となった昨季から一転、今季はベンチを温める時間が増え、15位に沈むチームと同様に苦しい前半戦を過ごした。限られた出場機会で結果を残し、巻き返しを図りたい。

■酒井宏樹(ハノーファー)
16試合/1得点・0アシスト
チェルンドロの負傷もあり開幕から定位置を確保。第11節のブレーメン戦ではブンデス初得点を記録した。現地紙に「新生ハノーファーの象徴」と評されるほど充実の前半戦を過ごしただけに、懸念材料は指揮官の交代か。

■清武弘嗣(ニュルンベルク)
17試合/2得点・4アシスト
攻撃陣の要として全試合に出場。第2節ヘルタ戦で決めた鮮やかなFKは、ブンデス公式HPでベストゴールに選出された。前半戦を終えて4度のゴールを演出しているが、大不振に陥るチームを残留に導くには更なる活躍が不可欠。

■長谷部誠(ニュルンベルク)
14試合/0得点・1アシスト
すぐさま指揮官の信頼を勝ち取り、加入以降は全試合フル出場。ボランチ起用で存在感を示すも、チームは未勝利で2013年を終え、巻き返しを誓って臨んだ冬季キャンプでは半月板を損傷する不運に見舞われた。2月下旬に復帰予定。

■酒井高徳(シュトゥットガルト)
13試合/0得点・1アシスト
3年目を迎えたブンデスリーガは開幕から3連敗スタートとなったが、指揮官交代後もレギュラーポジションは譲らず。新監督のリーグ戦デビューとなった第4節のホッフェンハイム戦ではゴールを演出し、勝利に貢献している。

■岡崎慎司(マインツ)
16試合/8得点・1アシスト
開幕戦でゴールを挙げて上々のスタートを切ると、その後も順調に得点を重ね、前半戦を終えた時点で自己最多となるリーグ戦8得点をマーク。第17節ハンブルガーSV戦では2G1Aの大活躍でブンデス公式の週間MVPに選出された。

■細貝 萌(ヘルタ・ベルリン)
17試合/0得点・1アシスト
アウクスブルク時代の恩師の下で全試合に先発出場。開幕戦での好パフォーマンスをはじめ、多くの試合で存在感を示し、昇格クラブの躍進に貢献。現地での評価は高く、独誌『キッカー』の新戦力採点では満点評価を得た。

モバイルバージョンを終了