21日の練習後、ファンのサインを求める声に応じるバロテッリ [写真]=Getty Images
ブラジル・ワールドカップに出場するイタリア代表は20日から本大会へ向けた合宿を開始。しかし、合宿2日目にして事件が起きた。
今シーズン、各国の試合で度々問題となっていた人種差別行為だが、フィレンツェ郊外コヴェルチャーノで行われている合宿に参加中のFWマリオ・バロテッリに対し、練習の一般公開中にある男性から「バロテッリ、ネーグロ!(黒い奴)クソ野郎!」という罵声が飛んだ模様だ。
バロテッリに関しては、セリエAのシーズン中も人種差別主義のコールが対戦相手から起こったため、制裁を受けたクラブがあった。そのこともあって、現地では応援ムードの和やかな練習風景観戦が一気に凍りついた。バロテッリは「信じられない。こんなことが起こるのは、ローマとフィレンツェだけだ」と静かな怒りを近親者にもらしたという。
この日の練習後に、代表会見に臨んだFWチーロ・インモービレは、「彼はとても落ち着いていて静観していた。自分自身がやるべき義務をこなしていた。人種差別主義のヤジ? その部分に関してこの国は改善が必要だ。ナポリ人だとか(インモービレはナポリ出身)、中国人だとか、イエローだとか…そんなことじゃなく冷静になるべきだ」と話している。
イタリアサッカー連盟のジャンカルロ・アベーデ会長は、イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』とのインタビューで、「容認できない行動。あってはならないことだ。重要なことは、こういうことをする人間はごく少数派で、人間が共存していくということに敬意を抱いていないということだ」と非難している。
なお、人種差別コールが起きた事により、地元警察が練習が滞りなく行われるよう介入したと、大手メディア『BBC』は報じている。