W杯開幕戦のブラジル対クロアチア戦を観戦するジウマ大統領(中央)[写真]=Getty Images
ブラジル・ワールドカップでドイツとオランダに連敗して4位が確定したブラジル代表。多くのブラジル国民と同様に失意の中にいるジウマ・ルセフ大統領は、ブラジルサッカー界の徹底的な改革を呼びかける声明を出した。ブラジルのスポーツメディア『ESPN Brasil』が伝えている。
首都ブラジリアのアウボラーダ宮殿(大統領官邸)で外国メディア特派員を前に、ジウマ大統領は次のように述べた。
「失敗は、すべての勝利の母となるようにしましょう。失敗から何を学び何を伸ばすかが重要です。ゆえにドイツに大敗した事実も、未来のための布石としなければなりません。まずはドイツとの差を受け入れて、その差を縮めるためにやるべきことを実行することです」
ブラジル国内のトップリーグである「ブラジレイロン(ブラジル全国選手権)セリエA」では、全体的にスタジアムの空席が目立つ。ジウマ大統領はこの点にも触れた。
「ブラジレイロンをもっと魅力的なリーグにする必要があると思います。スタンドが観客で埋まらないのは、リーグとしての魅力が薄いからだと思うので、まずは『スタジアムを埋める』ために対策を講じていく必要があるでしょう」
そしてブラジルは経済成長を続けているにも関わらず、クラブチームにおいて選手への給与遅配や未払いが頻発していることにも言及した。
「我が国は世界6、7位の経済大国になりましたが、クラブチームの経済状況は思わしくなく、賃金の支払い遅延や未払いが頻繁に起こっている。ゆえにクラブチームの経済状況を改善しなければならないと思います」
ジウマ大統領はクラブの経営改善に公的機関が援助できる可能性を示唆しつつも、「それは政府の問題ではないので、むやみに税金を費やすのは望ましくない」と説明。クラブの収益向上のためにも、ブラジレイロンにおける観客動員数の向上が必要との見解を示した。
ブラジル代表が準決勝で歴史的大敗を喫した直後、自身のツイッターで「国民の皆さんと同じように、深い悲しみに沈んでいます」とツイートしたジウマ大統領は、ドイツが立て続けにゴールを決めていく様を見て「あらゆる毛が引き抜かれたような感覚にとらわれた」と表現。その一方で、批判の標的になっているルイス・フェリペ・スコラーリ監督を次のように擁護した。
「自国開催の優勝という大目標は達成できませんでしたが、フェリペは12年前に日本でワールドカップ優勝の偉業を成し遂げた名将です。政治家の立場として彼を批判するのはアンフェアだと考えています」
(記事/Cartao Amarelo)