ドイツ代表の一員としてW杯優勝を果たしたドラクスラー(左)とグロスクロイツ(右) [写真]=Getty Images
15日、ドイツ代表は祖国へ凱旋し、50万人弱が集まった首都ベルリンのファンマイルで優勝報告会を行った。
ブランデンブルク門前の特設ステージ上では、ブラジル・ワールドカップのキャンプ地カンポ・バイアでの5つのルームシェアごとに分かれてパフォーマンスを披露した選手達。
そして“シュヴァインシュタイガー・ハウス”が2番手として登場した際、シャルケMFユリアン・ドラクスラーが音頭を取り、同ハウスの面々は「ケヴィン、ドネル・ケバブをどこかにやってしまえ」と歌い始めた。
もちろんこれは、5月上旬にケルンのドネル・ケバブ屋で、ケルンのファンに対し、手に持っていたケバブを投げつけたドルトムントMFケヴィン・グロスクロイツの愚行を“いじる”もの。これを見ていた他の選手も爆笑するなど、チーム全員の仲が良いことが分かる瞬間であった。
しかしグロスクロイツにとってドラクスラーは“クラブの永遠のライバル”シャルケの選手。
20歳の時に、「僕はシャルケのことが大嫌いだ。まるでペストのようにね」と公の場で語るほどドルトムントを愛し、そしてシャルケを忌み嫌っている同選手が、このまま終わるわけもなかった。
翌16日、グロスクロイツは自身のインスタグラムを更新したが、そこにはマイスターシャーレ(ブンデスリーガ優勝皿)を持つ自分の写真が掲載され、更にこう記されていた。
「親愛なるユリアンへ。僕はドネル・ケバブをどこかにやってしまうことはできないけど、君から何度でもこの優勝皿を奪ってみせるよ。これで1-1(の引き分け)だ。黒と黄色の敬具。君のケヴィンより」
ブンデスリーガ創設以降、8回優勝を飾っているドルトムントに対し、シャルケはいまだゼロ。約50万人を前にブラックジョークをぶつけられたグロスクロイツは、ドラクスラーに痛烈なカウンターをくらわしたのだ。
しかしこれはあくまで冗談の一環。100年続くライバル関係すらも一時停戦に持ち込まれるほど、ワールドカップ優勝には凄まじい平和の力があるということだろうか。