いよいよ明日14日、2018 FIFAワールドカップ ロシアが開幕する。今大会では、初の試みとしてビデオ・アシスタント・レフェリー制(VAR)を導入。ドイツのブンデスリーガを始め、欧州各国で続々と実践導入されているVARの基本的な情報をおさらいする。
■VARとは?
このシステムは、試合を決定づけるプレーが行われた際に、主審がビデオ判定を用いてジャッジをするものである。
サッカーの試合は主に、ピッチ上で笛を吹く主審(1人)と、サイドライン側でオフサイドやスローインの判定を行う副審(2人)で試合を裁くことになる。しかし試合中、審判の死角でラフプレーが行われたり、誤った判定が行われることがある。このようなことを防ぐため、そして主審をサポートするために導入されたのがVARだ。
ロシアW杯で導入されるVARでは、審判1人、アシスタント・レフェリー3人、リプレーオペレーター4人が、スタジアム外でつねに数台のモニターで試合を監視しており、ビデオ判定を行うべきだと判断した時に主審に伝える。また、主審が重大な判定ミスを行なった、あるいは見逃してしまった場合はVARにビデオ判定を求めることができる。その後、当該シーンをピッチ外にあるモニターで主審が確認し、改めて判定を下すことができるのだ。
なお、ビデオチェックに使われた時間はアディショナルタイムに加算されるので、審判はある程度時間をかけて正確に判断できるようになる。
■対象となるシーン
VARはすべての判定に用いられるものではなく、以下の4つの場面でしか活用されない。
・ゴール判定…ボールがきちんとゴールラインを割ったか、クロスボールがラインを割っていないか等、試合に直接大きく影響する場面。
・PK判定…ペナルティエリア内でのファールが、PKを与えるのに値するプレーかどうか不明確な場面。
・一発退場…一発レッドカードに値するファールだったかどうか不明確な場面。
・選手への処分…主審が選手を注意したり退場処分にした際、その処分が正しかったどうか不明確な場面。
■大型モニターでの周知
VARによる判定が行われた際、スタジアム内に設置されている大型モニターにその模様が映し出される。モニターでは、問題のシーンや審判がビデオ確認をしている最中の映像などが流れ、判定が変わった場合には、改めてその情報がスタジアムにいる観客に伝えられる。
大まかにVARを説明すると、上記のようなものになる。W杯を観戦する際は、選手や監督だけでなく、こういった新システムに注目してみるのも楽しいかもしれない。