長友は3試合フル出場で日本の決勝トーナメント進出に貢献した [写真]=Getty Images
日本代表がワールドカップで2大会ぶり3回目の決勝トーナメント進出を決めた。ポーランド戦での敗戦とゲーム終盤の“時間稼ぎ”が賛否両論を呼び、それまでの素晴らしい戦いにケチが付く格好となったが、大会前のチームの混乱を思えば望外の結果。逆風の中で「結果」を残した選手たちには心から拍手を送りたい。
グループステージでは香川真司、大迫勇也、乾貴士、本田圭佑と試合ごとにヒーローが誕生したが、柴崎岳と並んで最も安定したパフォーマンスを見せているのが長友佑都だ。特にコロンビア戦では対峙するフアン・クアドラードに全く仕事をさせず、前半のうちに交代へと追いやった。クアドラードが第2戦、第3戦で示した存在感を考えると、コロンビア戦での長友の貢献はとてつもなく大きい。
現在31歳、いつの間にかベテランと呼ばれる年齢に達したが、衰えるどころかまだまだ進化を感じさせるプレーを連発している。セネガル戦では絶妙なトラップ&ダッシュで乾の同点ゴールを演出。身体能力自慢のセネガルの選手を上回る瞬発力と体幹の強さは、日々重ねてきた努力の賜物なのだろう。
今大会はピッチ外での存在感もずば抜けている。開幕直前にいきなり髪を金色に染めてメディアやファンの度肝を抜いた。本人は「スーパーサイヤ人になってチームを救いたい」とおどけたが、その行動の裏には、自らが注目を浴びることで批判にさらされる他のチームメートを守りたい、との思いがあったはずだ。
4年前、強豪インテルでレギュラーを担い、年齢的にもキャリアのピークを迎えていた長友は、確かな自信とともにブラジル大会に臨んだ。しかし、その自信はもろくも崩れた。結果は1分け2敗の惨敗。本人はこの大会を「人生で一番の挫折」と振り返っている。
その後しばらくはモチベーションを保つことさえ難しかった。それでも、時間が経つにつれて長友の心に「W杯で活躍したい。勝ちたい」という思いが再びフツフツと湧き上がった。そこからは一切の迷いはなかった。クラブでの出場機会を確保するために、居心地の良かったインテルを離れる決断もした。そうやってたどり着いた3度目の大舞台で、長友は4年分の鬱憤を晴らすかのように躍動している。
日本は7月2日、初の準々決勝進出を懸けて強豪ベルギーと対戦する。長友が目指していた目標にあと一歩のところまできた。大きな挫折を乗り越え、4年越しで目標を達成する……そんな絵に描いたような展開を体現している長友は、日本代表にとって本当に「スーパーサイヤ人」のような存在なのかもしれない。
By サッカーキング編集部
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