なでしこジャパンの宮本ともみコーチ [写真]=須田康暉
FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023も決勝トーナメントに突入。なでしこジャパン(日本女子代表)は5日にノルウェー女子代表との1回戦に臨む。
グループステージを3連勝11得点無失点で勝ち上がったなでしこジャパン。チームを表すキーワードの一つに“一体感”がある。「チームのために走る」「誰が出ても大丈夫」「最初から出る選手と途中から出る選手に役割があって、それぞれがそれを理解している」。どの選手からも聞こえてくる言葉だ。
その“一体感”はもちろん選手だけで醸成されるものではない。今大会は選手とほぼ同等数の24名のスタッフが現地入り。コーチやメディカルスタッフだけでなく、総務や広報、シェフなども含まれる。池田太監督の右腕として、トレーニング中は主にチームの攻撃面を担当している宮本ともみコーチは、「準備ではスタッフがそれぞれの分野に役割をしっかり持たせていて。選手たちが躍動してくれて結果に結びついていることは、準備する私たちにも励みになるし、スタッフワークもさらに良くなっている実感はあります」と口にする。
大会前はチャーター機で現地入りをするなど、バックアップ体制は以前より充実。今大会では男子代表やJリーグクラブのアジアでの戦いなどでも帯同してきた西芳照シェフが同行し、代表初帯同となる中原剛シェフとともに、選手たちの栄養を支えている。
その2人も、「日本を、世界を熱くしようという気持ちで一品一品作っています。選手を少しでも後押しして、少しでも勝率が上がったりしてもらえれば一番」(西シェフ)、「ともに戦っている気持ちです。それは料理で表現するしかないので、そこに全力を注いで日々作っています」(中原シェフ)と語るように、チームとともに戦い抜く覚悟は、形は違えど同じだ。
選手としては日本代表として3度ワールドカップに出場した宮本コーチ。現役時代は「自分たちが何とかしなければ、女子サッカーが終わってしまうか、それとも良くなるのか」と、未来を背負う意識が強かったというが、「今、スタッフとしては、選手がピッチには立ちますが、(その責任は)このチームが背負わなければいけないし、チームとして歴史を変える、環境を良くすることを選手がすべて背負うよりも、みんなで一体感を持って、一丸となって未来を変えていく。それは今まで女子サッカーに関わった人たちすべての人の力なので、選手がプレッシャーを感じないように、みんなで戦っているようにできたら」と選手、スタッフということではなく、“日本代表チーム全員”として、決勝トーナメントに入ってからも戦っていく。
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長