ここまで2試合左WBで先発の遠藤(左)と3試合右WBで先発の清水(右) [写真]=須田康暉
FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023も決勝トーナメントに突入。なでしこジャパン(日本女子代表)は5日にノルウェー女子代表との1回戦に臨む。
この試合のキーポイントの一つにサイドの守備が挙げられる。ノルウェーはサイド攻撃に強みがあり、大黒柱のFWアーダ・ヘーゲルベルグは鼠径部の負傷で出場が不透明だが、FWソフィー・ロマン・ハウグがフィリピン戦(○6-0)で右サイドからのクロスをボレーとヘディング、左サイドからのクロスをヘディングで決めてハットトリックを達成するなどしている。
そのハウグとエミリー・ハーヴィのノルウェー代表2選手とローマで一緒にプレーしている南萌華は、「ソフィーはとにかくヘディングが得意。エミはクロスがうまいので、そこのホットラインがある。自分も知っている情報を共有しながら、守備のところはまたゼロで引き続き抑えられるように」と引き締め、高橋はなも「(南のように)一緒にやったことがある選手たちから特徴はしっかり聞いて対策はしています」と警戒しつつ、情報は整理していると話す。
左ウイングバックで2試合先発している遠藤純は「自分と対峙する相手の右サイドが脅威だと感じている」とし、「間合いや1対1の強さは出していかなければいけない」と対人守備への意識を高め、右ウイングバックで3試合先発している清水梨紗も「ボールを持たれる前に自分がどういうプレスをかけられるかだったり、球際が大事だとスペイン戦でも改めて思ったので、そういったところにこだわってやっていきたい」と、クロスをいい形で上げさせない守備をポイントの一つに置いている。
また、今大会はグループステージ3試合を無失点で終えた日本だが、ノルウェーの高さを生かしたセットプレーでの守備も警戒したい点。清水も「北欧のチーム戦うとセットプレーの強みは毎回味わってきている」と話すと「(セットプレーは)自分が関わってくる問題だとは思うので。どこを切っていくのか、3バックとの関わり、自分個人のスキルもある」と続けたように、セットプレーを作らせない守備も大切になる。遠藤は「ゴール前や自分たちの陣地でいらないファールをするのではなく、その前の段階で止められるところは止めておかないといけないですし、そういう判断はチーム全体で共通理解としてある」と、ファーストディフェンダー、チーム全体での“いい守備”をこの試合でも実行していく構えだ。
一発勝負の決勝トーナメント。ここまでの3試合はうまく試合を運べたが、まだ経験していないビハインドの展開も十分考えられる。「修正できなければ負けて帰るだけ。それはもう一度選手にも伝えるつもりですし、チームとしても時間帯や戦い方によっては、少し変わることもあるのかもしれない。そういった想定があると無いでは全く違うので、そういった想定も自分たちができるように準備をしていきたいと思っています」と、主将の熊谷紗希も言うように、一方でここまでの戦いで日本が見せ、示してきたしっかりとした準備と修正力ともに、まず前回大会の成績を越えるベスト8進出を目指す。
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長