(上段左から)ラメラ、ロラン、フィルミーノ、アリアス、モンテーロ、(下段左から)アラスカエタ、ディアス、ファビアン、ザンブラーノ、マトックス [写真]=Getty Images
文=河治良幸
現地時間11日(日本時間12日午前)に、南米王者を決める『コパ・アメリカ2015』が開幕する。アルゼンチンやブラジル、ウルグアイ、コロンビアといったスター選手が揃う強国、開催国として士気も高いチリなどが参加する、4年に一度の南米サッカーのお祭りだ。
コパ・アメリカで大活躍する可能性があるのはリオネル・メッシ、ネイマール、ハメス・ロドリゲスといったサッカーファンなら誰でも分かるスーパースターばかりではない。開幕を前に、チーム躍進のキーマンとなりうる要注目の10人をピックアップし、紹介する。
■エリック・ラメラ(アルゼンチン/MF/トッテナム)
成熟したスーパースター軍団のアルゼンチン攻撃陣にあって、希少な若手として攻撃にアクセントと勢いをもたらす。FWが務まるほど高いフィニッシュのセンスとシュート力を備えるが、サイドアタックを重視するヘラルド・マルティーノ監督のもとでは爆発的なスピードを主に右サイドで発揮している。途中出場で流れを変える役割が想定されるが、過密日程の大会が進めばスタメンで輝くチャンスも。
■ディエゴ・ロラン(ウルグアイ/FW/ボルドー)
ウルグアイの次代を担うと期待されるストライカーで、昨年の日本戦での活躍が代表定着に結び付いた側面も。1トップでもプレーが可能な選手だが、ウィングからチャンスメークとフィニッシュの両面で幅広くゴールに絡んでいる。特にサイドバックの背後を取る飛び出しは相手のDFラインにギャップを生み出す強力なオプションだ。
■ロベルト・フィルミーノ(ブラジル/FW/ホッフェンハイム)
テクニシャンを揃えるブラジルの攻撃陣でも異彩を放つスピードスターで、精力的なオフ・ザ・ボールからトップスピードに乗る迫力満点の仕掛け、献身性の高いディフェンスは、堅守速攻をお家芸とするホッフェンハイムのチャンスメーカーならでは。ブラジル代表ではネイマールと2トップを形成することも予想されるが、この気鋭のアタッカーがどうはまっていくかがブラジルの浮沈のカギを握ると言っても過言ではない。
■サンティアゴ・アリアス(コロンビア/DF/PSV)
智将ホセ・ペケルマンの信頼を勝ち取り、ワールドクラスのフアン・スニガを押しのけて右サイドバックのスタメン出場を飾ることが予想される。ライン際のマンツーマンに絶対的な自信を持っており、ゴール前に絞るカバーリングでも堅守に貢献する。非凡な守備センスは若くして定評があったが、オランダで攻撃面も向上しており、チームの躍進とともに、ビッグクラブ移籍の足がかりを掴む大会になるかもしれない。
■ジェフェルソン・モンテーロ(エクアドル/MF/スウォンジー)
コンビネーションより個で違いを生み出すドリブラーであり、ボールを持てば硬軟を織り交ぜた仕掛けで守備網を突き破る。大柄ではないが体幹が強く推進力が高いため、優れたDFであっても単独のタックルやプレスで阻止するのは困難だ。仕掛けの位置に応じてクロスもスルーパスも繰り出せるため、新エースであるエネル・バレンシアとのホットラインは開催国のチリやメキシコにとっても侮れない。
■ジオルジアン・デ・アラスカエタ(ウルグアイ/MF/クルゼイロ)
若くしてブラジルの名門クルゼイロで10番を背負うテクニシャンで、ロングパスも足下に吸い付けてしまうほど繊細なボールタッチと豊富なイマジネーションで、チャンスメークからフィニッシュまで相手の脅威となる。鋭いカットインを活かすなら左ウィング、卓越したキープ力と選択肢の多さを活かすならインサイドハーフ。多才な選手であるだけに、オスカル・タバレス監督の起用法がブレイクの仕方に大きく関わってきそうだ。
■マルセロ・ディアス(チリ/MF/ハンブルガーSV)
ブンデスリーガの1部・2部入れ替え戦で延長後半のアディショナルタイムに劇的な直接FKを決め、1月に加入した名門ハンブルガーSVを残留に導く“救世主”となった。技巧的なプレーメーカーであり、また何者も恐れないファイターでもある。大黒柱のアルトゥーロ・ビダルを攻撃的なポジションで起用できるのも、この男が中盤の底に構えているから。バイタリティに溢れるサッカーを披露するチリのスタイルに、もはや欠くことのできない選手だ。
■マルコ・ファビアン(メキシコ/MF/グアダラハラ)
ロンドン・オリンピックで金メダルの立役者となったサラブレッドは一時期のスランプを乗り越えた。今回は主力組がCONCACAFゴールドカップに参戦するが、南米の強豪相手に存在感を見せればA代表の主力に上り詰める大きなチャンスだ。攻撃的なパスサッカーを標榜する“エル・トリー(メキシコ代表)”には珍しく、一発のパスやシュートで勝負を決めにいくタイプのセカンドアタッカー。破壊的な右足は遠目からでもゴールを襲うが、逆足のマルセイユルーレットなど、時に英雄クアウテモク・ブランコもびっくりの妙技を見せる。
■カルロス・ザンブラーノ(ペルー/DF/フランクフルト)
母国出身のボクシング世界王者と同名のストッパーが相手エースに付けば、空陸で絶対的な対応力と粘り強さを見せる。ブンデスリーガではしばしば戦術的な柔軟性に欠ける部分も垣間見えるが、18歳から名を連ねる代表チームでは常に高いリーダーシップを発揮。対人の強さがものを言う南米の戦いにおいて、大車輪の働きでチームの勝利を支える資質は十分に備わっている。
■ダレン・マトックス(ジャマイカ/FW/バンクーバー・ホワイトキャップス)
米国の大学からMLS入りしたアタッカー。上背は178センチだが、垂直跳びで1メートルにも達する超人いや鳥人的なジャンプを誇り、GKのリーチより高い打点からゴールを狙う。足下のテクニックも非凡で、ゴール前の動き出しはアバウトだが規則性が無い分、守る側には厄介かもしれない。抜群の身体能力がはまればジャマイカを快進撃に導くかもしれない。