ベンフィカが15日、プリメイラ・リーガ(ポルトガル1部リーグ)にて史上最多勝ち点で3連覇を達成した。だが、強いのはリーグ戦だけではない。近年の移籍市場でも“勝ち組”ぶりを発揮している。
ベンフィカの最有望株・ポルトガル代表MFレナト・サンチェスは、ブンデスリーガ史上初の4連覇を達成したバイエルンへ移籍することが決まった。移籍金は推定3500万ユーロ(約43億円)。ボーナス込みだと最大8000万ユーロ(約98億円)に上るとも言われている。
下部組織出身のまだ18歳のR・サンチェスを売却することで、破格の移籍金を得ることとなったベンフィカだが、この移籍は氷山の一角にしか過ぎない。特にこの7年間、数々のタレントを輩出し、毎年のように高額の移籍金を手にしている。スペイン紙『アス』によると、この7年間に選手売却で得た移籍金総額は4億3400万ユーロ(約535億円)。その始まりは、2010年夏に実現したアルゼンチン代表MFアンヘル・ディ・マリアのレアル・マドリード移籍だったという。
2007年にアルゼンチンのロサリオ・セントラルから800万ユーロ(約10億円)でディ・マリアを獲得したベンフィカは、3年後の2010年6月、南アフリカ・ワールドカップ開催期間中に3300万ユーロ(約41億円)でレアル・マドリードへ売却した。2010-11シーズンはディ・マリアに加えて、ラミレス(現・江蘇蘇寧)とダヴィド・ルイス(現パリ・サンジェルマン)のブラジル代表コンビがチェルシーに移籍。3選手で合計8000万ユーロの移籍金を記録した。
2011-12シーズンには、2007年から在籍していたポルトガル代表DFファビオ・コエントランが3000万ユーロ(約37億円)でレアル・マドリードに移籍。2012-13シーズンには、前年に5年契約で加入したばかりのベルギー代表MFアクセル・ヴィツェルが、クラブ史上最高額の移籍金4000万ユーロ(約50億円)でゼニトに加入した。
2013-14シーズンは、2011年にチェルシーから500万ユーロ(約6億)で獲得したセルビア代表MFネマニャ・マティッチを、冬の移籍市場で5倍の2500万ユーロ(約31億円)で再びチェルシーへと売却する離れ業もやってのけた。2014-15シーズンには、スロヴェニア代表GKヤン・オブラク、ポルトガル代表MFベルナルド・シルヴァ、アルゼンチン代表MFエンソ・ペレス、セルビア代表FWラザル・マルコヴィッチらを放出し、シーズン合計で約1億500万ユーロ(約130億円)とクラブ史上最高額を記録。今シーズンもスペイン代表FWロドリゴやポルトガル代表MFアンドレ・ゴメスらを放出し、合計移籍金は約9200万ユーロ(約113億円)に上った。
ベンフィカはここ数年、若手選手を獲得しては、数年後に高額な移籍金で売却しており、『アス』紙も「“販売力”を徐々に強化してきた」と、移籍市場での“勝ち組”ぶりを伝えるほど。逆にベンフィカが“支払った”史上最高額の移籍金は、2013-14シーズンにアトレティコ・マドリードからポルトガル代表MFピッツィを獲得したときのもので、わずか1400万ユーロ(約17億円)。対して、売却で得た移籍金は、総額4億3400万ユーロを記録しているこの7年間で実現した移籍によるものがトップ10を占めている。
今夏はすでにR・サンチェスの移籍が決まったものの、市場が本格化するのはまだこれから。ベンフィカには、ポルトガル代表DFアンドレ・アルメイダ、ギリシャ代表MFアンドレアス・サマリス、アルゼンチン代表のMFエドゥアルド・サルビオとMFニコラス・ガイタンらが移籍するとの噂も浮上しており、選手売却で得る移籍金は上昇する可能性が高い。リーグ3連覇を果たして迎える2016年夏の移籍市場、“勝ち組”ベンフィカの動向に注目が集まる。
■ベンフィカが売却した選手の移籍金ランク
▼1位 アクセル・ヴィツェル(2012-13シーズン)
加入:900万ユーロ(=約11億円/スタンダール・リエージュ)
↓
移籍:4000万ユーロ(=約50億円/→ゼニト)
▼2位 レナト・サンチェス(2016-17シーズン)
加入:フリー(下部組織から昇格)
↓
移籍:3500万ユーロ(=約43億円/→バイエルン)
▼3位 アンヘル・ディ・マリア(2010-11シーズン)
加入:800万ユーロ(=約10億円/ロサリオ・セントラル)
↓
移籍:3300万ユーロ(=約41億円/→レアル・マドリード)
▼4位 ロドリゴ(2015-16シーズン)
加入:600万ユーロ(=約7億円/レアル・マドリード・カスティージャ)
↓
移籍:3000万ユーロ(=約37億円/→バレンシア)
▼4位 ファビオ・コエントラン(2011-12シーズン)
加入:90万ユーロ(=約1億円/リオ・アヴェ)
↓
移籍:3000万ユーロ(=約37億円/→レアル・マドリード)
▼6位 ラザル・マルコヴィッチ(2014-15シーズン)
加入:1000万ユーロ(=約12億円/パルチザン・ベオグラード)
↓
移籍:2500万ユーロ(=約31億円/→リヴァプール)
▼6位 ダヴィド・ルイス(2010-11シーズン)
加入:50万ユーロ(=約6000万円/ヴィトーリア)
↓
移籍:2500万ユーロ(=約31億円/→チェルシー)
▼6位 エンソ・ペレス(2014-15シーズン)
加入:240万ユーロ(=約3億円/エストゥディアンテス)
↓
移籍:2500万ユーロ(=約31億円/→バレンシア)
▼6位 ネマニャ・マティッチ(2013-14シーズン)
加入:500万ユーロ(=約6億円/チェルシー)
↓
移籍:2500万ユーロ(=約31億円/→チェルシー)
▼10位 ラミレス(2010-11シーズン)
加入:750万ユーロ(=約9億円/クルゼイロ)
↓
移籍:2200万ユーロ(=約27億円/→チェルシー)
(データは『アス』紙&ドイツの移籍情報サイト『Transfermarkt.de』より/日本円は現在のもの)