身も蓋もないことを言えば、今年のインターナショナル・チャンピオンズカップ(ICC)はこの試合のためにある。実際、今年3月に先陣を切って発表された対戦カードこそ、レアル・マドリードとバルセロナによる“エル・クラシコ”だったからだ。
「これは、スーパーボウルで勝つのと同じくらいの意味を持つ試合だ」。そう語ったのは、ICCを主催するレリバントスポーツ社の創業者であり、NFL(ナショナルフットボールリーグ)のマイアミ・ドルフィンズのオーナーを務めるスティーヴン・ロス氏である。なんともアメリカ人らしい表現だが、彼の尽力がなければ今回のマッチメークは実現しなかった。
ロス氏は昨年12月、プライベートジェットでスペインに飛び、バルセロナで行われたクラシコを観戦。そこで両クラブの幹部と交渉を行ったという。しかし、大一番を迎えていた当事者たちにとって大事なのは、アメリカでのクラシコよりも目の前のクラシコ。そんな当たり前の理由から、最初は軽くあしらわれたそうだ。クラシコに敗れたクラブからは色よい返事を貰えないかもしれない――そんな不安も頭をよぎったという。
果たして、迎えた本番では、セルヒオ・ラモスが90分に得点を挙げて、1-1のドロー。もちろん、ホームのバルセロナにとっては不満の残る結果だったが、痛み分けに終わったことはロス氏らICCの主催者たちにとっては好都合だった。彼らにとっても、まさに起死回生の同点弾となり、交渉が成立したのだ。