日本と同じく、欧州組の招集見送りが確実持される。国内組(Kリーガー)が注目を集める機会になるだろう。
では8月31日に就任後初采配をふるったシン・テヨン監督は誰を選ぶ? 10月中旬時点で国内専門誌記者も「まだどういったチーム構成になるか情報がない」というなか、あえて予想をするなら……9月5日のワールドカップ予選最終節では、6人の国内組が選出された。彼らはシン監督にとってもプライオリティの高い選手ではないか。
GKチョ・ヒョヌ(大邸)、DFキム・ミンジェ(全北現代)、キム・ジンス(同)、MFコ・ヨハン(ソウル)、MFキム・ミヌ(水原三星)、ヨム・ギフン(同)、イ・ジェソン(全北現代)、FWキム・シヌク(同)、イ・グノ(江原)、イ・ドング(全北)。
元Jリーガーのキム・ジンス(元アルビレックス新潟)、キム・ミヌ(元サガン鳥栖)、イ・グノ(元ジュビロ磐田、ガンバ大阪)が選出されれば、久々に日本のピッチに立つことになる。
一方で、せっかくならそれまであまり知られてこなかった存在の紹介を。
左利きMFイ・ジェソン。
全北で2016年のアジアチャンピオンズリーグ優勝に貢献した。プロ4年めにしてすでに国内リーグでも2度優勝に貢献している。フル代表でも22試合出場4ゴールの実績がある。現在、Kリーガーでもっともヨーロッパ移籍に近い存在とされる。実際に昨年秋の韓国メディアとのインタビューでは「イングランド・プレミアリーグが終着地点」と宣言した。
全北の名将チェ・ガンヒ監督はプロ入り1年めのキャンプからすぐに彼をトップチームで起用した。絶賛を惜しまない。
「Kリーグでこんな存在はなかなかいません。入団してすぐにKリーグですでに2度優勝、アジアカップ(2014年仁川大会)でも優勝。しかもフル代表にまで入ってしまうんですから」
1992年8月10日生まれ。180センチ70キロ。MFならあらゆるポジションをこなす。右サイドからのカットインOK、トップ下OK、左サイドでウイング的動きもOK、さらに時にはボランチにも入る。
日本の中村俊輔が178センチ71キロだから、体型は近い。細身。柔軟なプレースタイル。ここまではよく似ている。いっぽうこちらイ・ジェソンのほうがややソリッドなプレースタイルだ。自らボールを持ち、前に進む推進力も売り。いっぽうで中村ほどにキックのインパクトはない。
“韓国にもこんなMFが出てくる時代になったか”と、時代の流れを感じながら眺めるのが彼の通な鑑賞法だ。決して既存の「パワー」「闘志」といったものを前面に出すスタイルではないからだ。
蔚山の高校サッカーの名門ハクソン高時代から高校チャンピオンシップで得点王になるなど、高い得点力を誇った。近年、韓国代表でも合理的な指導を受けてきたKリーグユース育ちが目立ち始めたが、イ・ジェソンは高校サッカー部出身。柔軟なスタイルも潰されることなく育っていく土壌が出来上がっているのだ。
高麗大時代にも着実に成長し、デンソーカップでも活躍。2014年にKリーグのトップクラブ全北に入団した。当時まだ、Kリーグはドラフトを実施していたが、イ・ジェソンは自由獲得枠で全北のオファーを受けている。プロ野球でいえばさしずめ「巨人を逆指名で1位入団」といったところか。
そんな彼に関して、2015年11月に国内地上波SBSがちょっとした秘話を紹介した。
タイトルは「欠点をプラスに転じさせた少年」。
なんと、極端なO脚なのだという。膝近くに大人の拳が入るほどに開いている。その距離、約15センチ。番組ではイ・ジェソンは「スピードがやや落ちるうえに、力が外に逃げるため、疲労を感じてきた」と伝えた。
いっぽう、彼はこの身体的特徴をむしろ自分の長所にする術を編み出しているのだという。それはボールキープの際に現れる。番組で本人はこう語った。
「足の間にボールを置いてキープしたら、相手はボールに触りにくいんですよ。足が内側に入ってますから。角度があって、奪いにくいんです」
日韓戦では”ガチ勝負”に持ち込み、彼の本気度あふれるプレーを目にしたいものだ。
文=吉崎エイジーニョ
協力=アジアサッカー研究所