代表チームを鞍替えした選手たち [写真]=Getty Images
現代のサッカー界では、複数の国籍を保有する選手が少なくない。そのため、年代別代表は自身の出生地を選びながらも、A代表では両親の祖国、あるいは自身のルーツである国を選ぶようなケースが増えてきている。さらに国際サッカー連盟(FIFA)は、国際親善試合だけの出場であった場合には代表チームの変更を認めており、2つのA代表チームでプレーしたという選手もいる。そこで今回は、現役選手に的を絞り、代表チームを鞍替えしたプレーヤーたちを紹介しよう。
■ジエゴ・コスタ(アトレティコ・マドリード)
ブラジル代表 → スペイン代表
生年月日:1988年10月7日(29歳)
代表を鞍替えしたケースとして、まず名前が挙がる選手だろう。もともとスペインとは何の縁もなかったが、2007年にアトレティコ・マドリードと契約を交わすと、2013年7月に同国のパスポートを取得。その4カ月前にはブラジル代表デビューを果たし、2試合に出場していたが、いずれも親善試合だったためにスペイン代表へ鞍替えすることとなった。本人は「自分を育ててくれた国に恩返しをしたい」と変更理由を明かしている。翌年にワールドカップ開催を控えるなか、当時、優勝候補筆頭だった両国が一選手を奪い合う格好になったことからも、世界的な注目を集めた。
■ウィルフレッド・ザハ(クリスタル・パレス)
イングランド代表 → コートジボワール代表
生年月日:1992年11月10日(25歳)
コートジボワールのアビシャンで生まれ、4歳のときにイングランドに移り住むと、2012年11月に当時20歳でイングランド代表デビュー。早熟のアタッカーとして将来を嘱望されていた。しかしその後は伸び悩むと、2016年になって、コートジボワールへ代表を変更する意向を示す。現イングランド代表監督のギャレス・サウスゲイト氏は思いとどまるように本人を説得したが、考えは変わらず、2017年1月に生まれ故郷の代表選手としてデビュー。現在までに、8試合に出場して2ゴールを記録している。
■ジョフレイ・コンドグビア(バレンシア)
フランス代表 → 中央アフリカ共和国代表
生年月日:1993年2月15日(25歳)
各年代別代表では出生地のフランスを選択し、2013年8月に行われたベルギー代表との国際親善試合で代表デビュー。フランス代表として通算5試合に出場している。しかし全て国際親善試合だったことから代表変更が認められ、今夏に自身のルーツである中央アフリカ共和国の代表へ鞍替えすることとなった。9月にも同国代表へ招集されたものの、負傷の影響でデビューはお預け。12日に行われるアフリカネイションズカップ2019予選のコートジボワール戦で初出場を目指す。
■ナセル・シャドリ(モナコ)
モロッコ代表 → ベルギー代表
生年月日:1989年8月2日(29歳)
2018 FIFAワールドカップ ロシアの日本戦で劇的な決勝点を叩き込んだナセル・シャドリも、代表を鞍替えした選手の一人だ。生まれはベルギーのリエージュながら、自身のルーツであるモロッコ代表を選択。2010年11月の北アイルランド戦でデビューを飾った。しかし、モロッコでの代表歴はその1試合のみ。わずか2カ月後には代表変更を決断し、翌年2月のフィンランド戦でベルギー代表として初出場を果たした。その後も常連メンバーとして名を連ね、4年前のブラジル大会、そして今夏のロシア大会と、2度にわたってW杯に出場。今となっては正しい決断だったと言えるだろう。
■フランコ・バスケス(セビージャ)
イタリア代表 → アルゼンチン代表
生年月日:1989年2月22日(29歳)
アルゼンチンで生まれたが、母親がイタリア出身であるため、2015年にイタリア代表デビューを果たす。2試合目の出場となったポルトガル戦では、背番号10をつけてプレーした。しかし、以降は招集外が続くと、帰化選手に否定的な姿勢を見せていたロベルト・マンチーニ氏が新たな代表監督に就任したこともあって、代表変更を決意。先月7日に行われたグアテマラ代表との親善試合で、「夢だった」というアルゼンチン代表のユニフォームに袖を通して初出場を果たした。
■ロマン・ノイシュテッター(フェネルバフチェ)
ドイツ代表 → ロシア代表
生年月日:1988年2月18日(30歳)
マインツの下部組織で育ち、2016年にフェネルバフチェに移籍するまでドイツでキャリアを積み上げてきたノイシュテッターは、2012年にはドイツ代表デビューを果たしたが、その4年後にロシア代表へ鞍替えした。同選手の父親はカザフスタン代表経験もあるロシア系ドイツ人であり、ノイシュテッターは旧ソ連のドニプロペトロフスク(現ウクライナ)で生まれたため、ロシア代表でもプレーする資格を持っていたのだ。ユーロ2016では、ロシア代表選手として2試合に出場。今夏のワールドカップでも予備登録メンバー入りを果たしたものの、最終選考で落選した。
■サマン・ゴドス(アミアン)
スウェーデン代表 → イラン代表
生年月日:1993年9月6日(25歳)
2016年末、自身の出生地であるスウェーデンの代表チームに招集されるとこれに応じ、親善試合2試合に出場して1ゴールを決めた。しかし、昨年8月にイランのパスポートを取得したことを公表すると、2カ月後にはイラン代表でデビューを飾った。鞍替えの理由は「W杯に出場したかったから」。スウェーデン代表もイタリア代表とのプレーオフを制して2018 FIFAワールドカップ ロシアの出場権を手にしたが、先に本選出場を決めていたイラン代表を選んだ。迎えた本番では、グループステージ3試合すべてに途中出場。子供のころからの夢を叶えてみせた。
(記事/Footmedia)
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