文=小川由紀子 Text by Yukiko OGAWA
写真=小川由紀子、アフロ、ゲッティ イメージズ Photo by Yukiko OGAWA, AFLO, Getty Images
フィリピン代表の“オーナー”
Dan Palami
ダン・パラミ(フィリピン代表チームマネジャー)
鉄道関係の会社を経営する実業家にして、惜しみなく私財を投じる無類のサッカーファン。「フィリピンサッカーを蘇生した男」とも言われる。2010年のAFFスズキカップ・ベスト4入りの立役者で、同国史上初のAFCアジアカップ出場に導いた功労者でもある。元U-20日本代表DF柳川雅樹ら日本人選手も数多く所属したグローバルFCの創立者にして元オーナー。来年の選挙で会長就任もうわさされる。選手や監督の選考にも絶大な権限を持つ、フィリピンサッカー界の最重要人物。
貢献度絶大の超人気セレブ
Phil Younghusband
フィル・ヤングハズバンド(ロヨラ・メラルコ・スパークス所属/フィリピン代表キャプテン)

イングランド生まれのフィリピン代表フィル・ヤングハズバンド [写真]=小川由紀子
ポジションはFW。イングランド生まれで、1歳年上の兄ジェームズと共に9歳でチェルシーFCに加入、ユース時代はチームの得点王だった。2008年、チェルシーとの契約満了と共に母の祖国フィリピンに移住。代表初招集は2006年で、98キャップ、51得点の記録は共に同国で歴代最多。甘いマスクで国民的女優と浮名を流すなど、ヤングハズバンド兄弟はフィリピンで超人気のセレブで、フィリピンサッカーの人気向上への貢献度は絶大。
海外リーグも視野に入れる有望株
Patrick Deyto
パトリック・デイト(ダバオFC所属/フィリピン代表GK)
海外組が中心のフィリピン代表にして、フィリピンで生まれ育ち、代表まで上り詰めたローカル選手の代表格。サッカーは大学進学の奨学金を得るための手段だったが、大学リーグで傑出した才能を発揮して関係者の目に止まり、卒業と同時にプロ入り。現在はダバオFC所属だが、海外リーグからも声が掛かる有望株。コンプリートなGKになることが目標で、マンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘアを敬愛している。
東南アジア人初のプレミアリーガー
Neil Etheridge
ニール・エザリッジ(カーディフFC所属/フィリピン代表GK)
カーディフFCの昇格で東南アジア人初のプレミアリーガーに。イギリス人の父とフィリピン人の母のもとロンドンで生まれ、9歳でチェルシーFCのアカデミーに加入。そこではヤングハズバンド兄弟とチームメートだった。イングランドU-16代表に招集された経験を持つが、フィリピンサッカー連盟の強い誘いに応じて18歳でフィリピンA代表入り。2010年のAFFスズキカップ・ベスト4からAFCアジアカップ出場に至るフィリピンサッカー躍進の時代を築いたメンバーの一人。
経営においてサッカー界を牽引
Paul Tolentino
ポール・トレンティーノ(KAYA FC チームマネジャー)
KAYA FCのOB。現役引退後はアメリカで経営学を学び、現在はKAYAでクラブ運営の一切を取り仕切る。スポーツマネジメント界に人材が乏しく、突拍子もない運営をするクラブが多いフィリピンにおいて、豊富な知識とシャープな頭脳でKAYAを同国きっての良質クラブに育て上げたマネジメントのプロ。フィリピンサッカーを正しい方向に導くことができる希少な人物として、連盟やリーグへの彼の参画を望む声も多い。
経験豊富な未来の代表監督候補
Chris Greatwich
クリス・グレートウィッチ(フィリピン代表アシスタントコーチ/KAYA FCヘッドコーチ)
イングランドで生まれ、ブライトン&ホーヴアルビオンのアカデミーで育成を受けた後、アメリカのカレッジやイングランドの下部リーグでプレー。元フィリピン代表MF。現在はKAYA FCでヘッドコーチと育成部門の責任者を務める。サッカーの母国で培ったノウハウを明確な言葉で伝える指導力は国内随一で、今シーズンから代表のアシスタントコーチも担当する。ローカル選手についての豊富な情報や、海外育ちの選手とのネットワークを持つ彼の入閣は新代表にとって大きなプラス。未来の代表監督候補。
ユース代表も支援する資産家
Jefferson Cheng
ジェファーソン・チェン(ダバオFCオーナー)
空港運営会社を経営し、莫大な資産をスポーツに投じる。息子がフィリピンU-23代表でプレーしていたことから、ユース代表も支援。セブパシフィック航空やビール会社のサンミゲルなど国内の大手企業をスポンサーにつけた欧米流のクラブ運営を敢行し、ヤングハズバンド兄弟ら人気のある代表クラスの選手を集めてダバオをギャラクティコ化している。彼の資金力はフィリピンサッカー隆盛のカギ。オーストラリアのウェスタン・シドニー・ワンダラーズの共同オーナーでもある。
カリスマ性に優れたレジェンド
Alexander Borromeo
アレックス・ボッロメオ(フィリピン代表レジェンド)
『Aly』の愛称で親しまれる、フィリピンで最も有名なサッカー選手の一人。現代表のヤングハズバンド兄弟らにとってはビッグブラザー的な存在で、KAYA FCと代表でキャプテンを務めた現役時代はGKからFWまであらゆるポジションをこなす異色の存在だった。引退後はKAYAのマネジメントに参画。強力なリーダーシップとカリスマ性を持ち、サッカー界への影響力も絶大。今後はマネジメント側で力を発揮してくれることを期待する声は多い。
“フィリピンのレアル・マドリード”を保有
Leo Rey Yanson
レオ・レイ・ヤンソン(セレスFCオーナー)
一台のジプニー(乗り合いタクシー)から興したバス会社で巨大な富を築き、資金力でダバオのチェン氏と双璧をなすフィリピンサッカー界の大番頭。彼が有するセレスFCは「フィリピンのレアル・マドリード」とも言われ、海外育ちの選手を集めてPFL立ち上げから2連覇を達成。IT産業が活発でシリコンバレー化している地元バコロドを基盤に、今年のAFFスズキカップの開催権もゲット。その資金力を後ろ盾に、協会やリーグ運営にもじわじわと権力を広げている。
多様な指導経験で代表チームを強化
Scott Cooper
スコット・クーパー(フィリピン代表監督)
指導歴20年のベテランイギリス人監督。代表監督に決まりかけていたテリー・ブッチャーとの契約が白紙になり、アシスタントだった彼が正監督に昇格、来年1月のAFCアジアカップでアスカルズを率いる。地元イングランドのクラブやカリブ海沿岸諸国から、タイ、インドネシアといったアジアのクラブまで多様な指導経験があり、多彩なルーツを持つ選手が集まるフィリピン代表の指導者には適任者。初陣となった9月のバーレーン合宿での戦績は1分け1敗。
フィリピンサッカー再興の切り札
マネジメント集団X(名称はまだ非公開)
来シーズンからフィリピンのプロリーグを運営する予定の東南アジアのマネジメント会社。2017年に発足したPFLの失敗を受け、よりフィリピンに適したリーグへと修正を行うことが目的。PFLの後退でサッカーに対する世間のイメージは悪化。スポンサーやテレビ局にもネガティブな印象を与えるなど影響は小さくなく、かえって衰退した感のあるフィリピンサッカーを再び盛り上げるための最後の切り札と言われている。彼らの招致にはパラミ氏も絡んでおり、氏の権力は今後リーグにも広がりそうな気配。
By サッカーキング編集部
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