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京都橘のエース小屋松をマンマークで封じた星稜が完勝

2014.01.12

[写真]=鷹羽康博

第92回全国高校サッカー選手権大会 準決勝 星稜-京都橘
鈴木智之(スポーツライター) 取材・文

14年1月11日(土)/14:25キックオフ/東京都・国立競技場/観客27335人/試合時間90分

星稜 4(1-0、3-0)0 京都橘

得点者
星稜
仲谷 前半3分
寺村 後半7分
原田 後半19分
森山 後半30分

 初戦に5得点を挙げて以降、攻撃陣が沈黙していた星稜が爆発。大量4得点を奪うとともに、J1名古屋加入内定のエース・10小屋松知哉を擁する京都橘を完封して、悲願の決勝進出を決めた。

 ふたを開けてみれば、星稜の完勝だった。開始直後の3分に「練習どおり」(星稜・河崎護監督)という形で右サイドから2森下洋平がアーリークロスをあげると、ニアサイドで一人がつぶれ、ボールが流れる。ファーサイドから中央へ走り込んできた11仲谷将樹が左足で押し込み、最初のチャンスでゴールを決めた。「先制点で浮足立ってしまった。あの失点がなかったら、もう少しよい形で時間が経過したのかな」とは、京都橘の米澤一成監督。

 以降も星稜が持ち前のボールポゼッションを中心にチャンスを演出する。ストロングポイントである右サイドの2森下、16原田亘が積極的に相手陣内に侵入し、攻撃の主導権を握る。星稜は3回戦の玉野光南、準々決勝の修徳と自陣に守備ブロックを形成し、ゴール前を固める相手と戦ってきた。この試合の相手、京都橘は引いて守るのではなく、持ち前のパスワークで攻撃を組み立て、星稜との主導権争いを展開したこともあり、互いに持ち味を発揮することとなった。

 前半は星稜ペースで試合が進むが、京都橘は10小屋松知哉にボールが入ると、攻撃に鋭さを増していく。24分、左サイドで粘ってボールをキープした10小屋松が中央の8藤村洋太へパスを出し、右の11中野克哉へと展開。11中野は中央の10小屋松へパスを返す。10小屋松は星稜守備陣の注意を引きつけると、9中山俊輝へスルーパスを送る。ゴール前でエアポケットに入ったかのようにフリーになった9中山。決定機を迎えたが、放ったシュートは星稜GK1近藤大河の正面を突いた。10小屋松は星稜18平田健人のマンマークにあいながら、広範囲を動いてボールを受けると、星稜守備陣の一瞬の隙を突いてスルーパスを通すというさすがのプレーだった。

 後半7分。攻勢に出る星稜は中央から右サイドへと展開すると、2森下と16原田があうんの呼吸でパスを交換し、ファーサイドへクロスを送る。それに反応した10寺村介が相手DFと競り合いながらボールを追いかけ、倒されてPKをゲット。自らが得たPKをキャプテンが沈めて、リードを広げることに成功した。「これまで守備陣ががんばってくれた。国立では攻撃陣ががんばって、絶対にゴールを決めたい」と強い気持ちで試合に臨んだ10寺村が有限実行のプレーを見せた。

 京都橘はエースの10小屋松を中心に攻勢を仕掛けるが、この日、『小屋松番』を任された、星稜のアンカー18平田がマンマークで任務をきっちり遂行。18平田の壁を突破したとしても、今大会無失点のセンターバックコンビ、長身の3寺田弓人と6藤田唆作が体を張った守備でシュートブロック。チャンスらしいチャンスを与えなかった。

 すると後半19分、試合を決定づける3点目が生まれる。星稜は自陣でのCKをしのぐと、すぐさまカウンター発動。右サイドから11仲谷が中央へパスを送り、中央で16原田がDFと競り合いながら、こぼれ球を拾ってGKとの1対1を制し、左足でゴール右に突き刺した!

 直後、一矢報いたい10小屋松がドリブルで持ち込んでシュートを放つ。スタンドがどよめいた強烈なシュートは、ゴールの枠をそれた。すると後半30分、星稜は右からのクロスを中央で9森谷将樹が押し込んで4点目をゲット。その後は危ないシーンを作らせず、守備陣がきっちりと仕事をし、4試合連続となる完封勝利でファイナルの切符をつかみとった。

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