[写真]=ダノンネーションズカップ in JAPAN実行委員会
取材・文=北健一郎
ジュニア年代の世界一を決める「ダノンネーションズカップ」の国内大会・大阪予選が3月9日、大阪・J-GREEN堺で行われた。セレッソ大阪U-12、ガンバ大阪堺ジュニア、サンフレッチェ広島F.CジュニアなどJクラブの下部組織や個性豊かな街クラブが顔を揃え、決勝大会に出場できる4枠を争った。
強豪チームの実力を見せつけたのが日本代表FW柿谷曜一朗の出身チームでもあるセレッソ大阪U-12だ。ピンクのユニフォームに身を包んだ“桜軍団”は、地元大阪のピッチで躍動。試合が進むに連れて調子を上げていき、代表決定戦では西宮サッカースクールを4-0で下した。
「絶対に優勝して、ブラジルに行きます!
応援に来ていた父兄サポーターにこう宣言したのは川上航立(こうたつ)くんだ。決勝トーナメント1回戦では双子の姉・然(さら)ちゃんが所属するpazduro selecaoと対戦。双子対決を制した。姉の悔しさを背負って全国のピッチに立つ。
Jクラブからはもう1チーム、サンフレッチェ広島F.Cジュニアが決勝大会に名乗りを挙げた。初戦はセットプレーからの1点を守り切る辛勝スタートだったが、その後はコンスタントにゴールネットを揺らし5試合で16得点2失点。ガンバ大阪堺ジュニアとのJクラブ対決となった代表決定戦も4-0と寄せ付けなかった。
「Jクラブのチームもたくさんいるので、強い気持ちでプレーし たい」と決勝大会に向けて決意を語ったのは、キャプテンの湯谷杏吏(あずり)くん。2012、2013シーズンとJリーグ2連覇を達成したトップチームと同じように、ダノンネーションズカップでも優勝して「広島の強さ」を見せつけたいところだ。
アイリスFC住吉は代表決定戦でPK戦を制しての決勝大会進出。「みんなが元気で、非常に明るいチーム」というアピールポイント通り、試合中は味方同士で声を掛け合い、カバーする姿が印象的だった。その中でも、最後尾で身体を張ったディフェンスでチームを支えたのがエゼ・トベチクくんだ。
日本とナイジェリアのハーフというエゼくんは、広い守備範囲を活かしてゴールに向かってくる相手をことごとくストップ。PK戦では「決めれば勝利」というPKを冷静に決めて、アイリスFC住吉を全国大会へ導いた。「優勝します」と笑顔を見せたエゼくんのプレーにも注目が集まる。
もう1チームも、アイリスFC住吉と同じく街クラブの大阪東淀川FC。突出した選手こそいないが、最後まで落ちない運動量、積極的なシュートを打つ姿勢が光った。キャプテンの池田喜晴くんは「うれしいです。みんなが一つになることができました」と笑顔を見せた。
さらに、大阪東淀川FCは「フェアプレー賞」も受賞した。フェアプレー賞は全チームの中で最もお手本になる行動をしていたチームに与えられる。チームを引率していた宇高寛朗コーチは「僕は何もしていません。子供たちが自主的にやったことが、こうやって評価してもらったのはうれしいし、一つの自信になると思います」と語った。
代表4チームは3月29・30日に駒沢オリンピック公園で開催される決勝大会で、シードチーム(18チーム)と共に優勝を争う。優勝チームはブラジルで開催されるダノンネーションズカップの世界大会に「日本代表」として出場する。
実は、ダノンネーションズカップ世界大会には関東以外のチームが出場したことはない。大阪代表となった4チームは歴史を塗り替えることができるか。