2得点を決めたエース大島（9番）【写真】=川端暁彦
文＝川端暁彦
それにしても、強かった。高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18プレミアリーグ。そのEAST第2節、コンサドーレ札幌U-18を4-0の大差で下したのは、昇格組の柏レイソルU-18だった。これで2位浮上である。
プレミアリーグ初参戦となった柏だが、もともと評価の高いチームではある。コンスタントにプロ選手を輩出しており、各種のカップ戦でチームとしての戦績も残してきた。ただ、昇格プレーオフのような大一番に弱さを見せることが多かったこともあり、なかなかリーグのカテゴリーを上げることができていなかった。しかし昨季は、昇格プレーオフで見事な戦いぶりを見せ、4年目のプレミアリーグに入り込む権利を得た。
その参入決定戦に出ていた先発メンバーの過半数が残っている今季のチームへの期待値は当初から高かった。トップチームのキャンプにも参加したFW大島康樹、MF中山雄太のほか、昨年のU-17ワールドカップ日本代表であるFW会津雄生、特別製の左足を備えるDF麦倉捺木など多士済々。ほとんどの選手がU-15からの持ち上がりで連係面でも確立されたものがあるとなれば、それはなおさらだ。
鹿島ユースとの開幕戦こそ「雰囲気を意識しすぎた」といった発言が選手から漏れたとおりに気負いすぎたこともあってスコアレスドローに終わったが、彼らにとっての聖地である日立柏サッカー場で行われたこの試合では違った。トップチームの試合が金曜日開催だったこともあって多数のサポーターも詰めかけたこの試合。「これに応えなかったらウソだぞ。たとえプロじゃなくとも、応援に応える責任はあるんだ」と、下平隆宏監督にハッパをかけられた選手たちは開始から躍動。持ち前のポゼッションサッカーで辛抱強く札幌を押し込むと、38分には左サイドバック麦倉のクロスから、最後はセンターFWの大島が押し込んで先制点を奪取。さらにロスタイムには右ウイングの白川恵士朗がスタンドの度肝を抜く左足のミドルループを決めて、2-0。U-18日本代表DF進藤亮佑ら負傷者が続出して苦しい陣容だった札幌も立ち上がりから勇戦してきていたが、この1点は重すぎた。後半にもさらに2点を追加した柏が、4-0で完勝となった。
ただ、柏側にこの勝利への安堵はあっても、満足感はない。「ペースダウンしたところがあるし、もっと圧倒しても良かった」と下平監督は言う。「当然そこが目標」（同監督）と語る明確な目的地があるからだろう。才気あふれる太陽王子が目指すのが、2011年にトップチームが果たしたのと同じ「昇格即優勝」であることは、言うまでもない。
