専修大と慶應義塾大の一戦は引き分けに終わった [写真]=内藤悠史
文=内藤悠史
関東大学1部リーグ第4節が19、20日に各地で行われた。味の素フィールド西が丘では、20日の第2試合で専修大学と慶應義塾大学が対戦した。
開幕3試合で13得点を挙げ、3連勝と好スタートを切った専修大。3連覇中の王者は、今年もその強さを内外に示している。対する慶應義塾大も、2勝1分けと負けなし。昨年、最終節で1部リーグ残留を決める苦しいシーズンを過ごしたことを考えれば、3戦無敗という滑り出しは上々と言えるだろう。そんな無敗チーム同士の対戦は、劇的な結末を迎えることとなった。常に先行される展開を強いられながらも、最後まで諦めなかった慶應義塾大が、土壇場の同点弾で引き分けに持ち込んだ。
スコアが動いたのは52分だった。専修大がペナルティーエリア手前、やや左側でFKを得ると、FW仲川輝人(4年・川崎フロンターレU-18出身)が中央へクロスボールを供給。慶應義塾大の選手に当たり、ファーサイドに流れたボールをFW山川翔也(3年・新潟西高校出身)が頭で押し込んだ。しかし、慶應義塾大もすぐに反撃。55分、左サイドからドリブルでカットインしたFW加瀬澤力(2年・清水東高校出身)がシュートを放つと、走り込んでいたMF増田湧介(4年・清水東高校出身)に当たってコースが変わったボールが、ゴールに吸い込まれた。幸運な形ではあったが、慶應義塾大が失点から3分で同点に追いついた。
激しく動き始めた試合は、さらに3分後、得点が記録される。58分、専修大のFW深澤知也(1年・横浜F・マリノスユース出身)がボールを持つと、ドリブルでシュートコースを作り、左足を一閃。コントロールされたシュートが、ゴール左上隅に突き刺さった。
再びリードを許した慶應義塾大。須田芳正監督は、終盤に入って交代策で勝負に出る。76分、ボランチのMF浅間翔大(4年・暁星高校出身)に代えて、MF山内浩道(4年・國學院久我山高校出身)を投入。浅間については、「すごく良かった。堅実にやってくれた」と高評価を口にしたが、「彼は守備的な選手だから、バランスを崩してでも」攻めにいくために、ベンチに下げた。さらに、FW平戸奨眞(4年・暁星高校出身)とFW山本哲平(2年・國學院久我山高校出身)をピッチに送り出して前線の圧力を強め、パワープレーも敢行した。同点弾は92分。ロングボールが前線で収まり、混戦から生じたセカンドボールを途中出場のFW山本を拾うと、ドリブルで前方へ。左サイドから中央へ切り込み、右足を振り抜くと、狙いすましたシュートがゴール右隅に決まった。劇的な結末で、打ち合いとなった一戦は2-2の引き分けに終わった。
試合後、慶應義塾大の須田監督は、「まずは守備からということで、今年は(シーズンを)始めた。集中を切らさず、本当に良くやったと思う」と、選手たちを評価。2失点こそ喫したものの、「とにかく縦パスを入れさせない。中央を閉めて、外へ追い出す」守備で、「価値ある勝ち点1」を手に入れた。主将を務めるMF増田も、「専修大を相手に引き分けることができたのは、自信につながると思う。現状に満足せず、上を目指していきたい」と、手応えを掴んでいる様子だった。
一方、終了間際に追いつかれ、勝ち点2を逃すこととなった専修大。土壇場の失点よりもむしろ、“らしい”形からの得点がなかったことが目につく。先制点はセットプレー、2点目も個人技によるもの。流動的なパス交換で相手の守備網を突破し、ゴールネットを揺らす場面は見られなかった。源平貴久監督も、「2-1で終わらせれば、何ということはない試合だった。勝てれば良かったが、良い経験にはなったと思う。思った以上に(慶應義塾大が)引いてくるな、という印象だった。普通の流れの中から崩せなかったことが、引き分けになった要因」と、振り返った。
関東大学1部リーグ第4節の結果および順位表は以下のとおり。同リーグは2回戦総当たり方式で開催され、前期日程は6月15日まで行われる。
順天堂大4-1桐蔭横浜大
早稲田大2-1中央大
明治大2-0駒澤大
流通経済大4-3東京国際大
専修大2-2慶應義塾大
国士舘大3-0筑波大
1位:専修大学(勝ち点10/得失点差+11)
2位:順天堂大学(勝ち点10/得失点差+7)
3位:早稲田大学(勝ち点10/得失点差+5)
4位:流通経済大学(勝ち点9/得失点差+1)
5位:国士舘大学(勝ち点8/得失点差+4)
6位:慶應義塾大学(勝ち点8/得失点差+3)
7位:明治大学(勝ち点6/得失点差+2)
8位:筑波大学(勝ち点2/得失点差-5)
9位:中央大学(勝ち点1/得失点差-3)
10位:東京国際大学(勝ち点1/得失点差-5)
11位:駒澤大学(勝ち点1/得失点差-10)
12位:桐蔭横浜大学(勝ち点0/得失点差-10)