1得点1アシストの活躍を見せた立正大淞南FW 井上直輝(右) [写真]=川端暁彦
平成26年度全国高等学校総合体育大会サッカー(男子)が2日に開幕し、トーナメント1回戦で海星(三重)と立正大淞南(島根)が対戦した。
日本有数の「暑さ」で知られる山梨県での開催とあって、「10時キックオフなのはいいね」と胸をなで下ろしていたのは立正大淞南を率いる南健司監督。灼熱地獄となる第2試合ではなく第1試合になったことで、消耗を避けられたと安堵した様子だった。
優勝を狙う淞南にとっては当然の発想だったが、4年ぶりの出場となる海星はこの一回戦へ全力傾注の構え。試合前の入場、集合写真の段階から「ウキウキ気分」が出ており、「久々の全国」というステージ感が、緊張ではなく適度な高揚感につながっていることをうかがわせた。
海星は立ち上がりから集中力を見せ付ける。9分に訪れたCKからの立て続けのピンチでは、MF上村大悟、FW井上直輝が放ったヘディングをいずれもライン上でギリギリのクリア。このピンチをしのいで試合を膠着させると、迎えた19分だった。浮き球のパスからDFと競りつつラインの裏へと抜け出した海星FW小林賢正が、飛び出したGKの鼻先をかわすような左足シュートを流し込んで、先制点を奪い取る。
熱狂する海星イレブンと応援団に対し、すかさずベンチの青栁隆監督からは「いまからキックオフのつもりでやれ!」との声が飛ぶ。立ち上がりからの集中力を持続できねばやられる。そんな確信があったのだろう。海星は指揮官の声に応えるように、主将のCB山本裕太が核となって淞南の攻撃を弾き返し続ける。ロスタイムにはMF近藤巨岳がドリブル突破から抜け出す決定機も作り出したが、これは惜しくも枠外にそれていった。
終わってみれば、この前半最後の決定機を決めたか否か。それが勝敗の分かれ目だったと言えるかもしれない。ハーフタイムを挟んで淞南は気分一新。強気の攻勢をかけて、後半立ち上がりの勝負所を制した。まずは39分に、ショートCKから井上が決めて同点とすると、その直後の40分にもスローインから抜け出した井上のクロスをエースFW中島隆司がシュート。いったん防がれるも、自ら押し込んで、2-1。一瞬にして、試合をひっくり返してみせた。
結局、そのままのスコアで試合は終了。山陰の優勝候補が冷や汗の勝利で、2回戦へと駒を進めた。
立正大淞南は3日に、2回戦で大津(熊本)と対戦する。
(取材・文=川端暁彦)
【得点者】
1-0 19分 小林賢正(海星)
1-1 39分 井上直輝(立正大淞南)
1-2 40分 中島隆司(立正大淞南)